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不思議な人4



その十年ほど経った後、カカシは例の人を見つけて責任を取ってもらうことの成功した。
執念深く覚えていて自分も大人になってから、大人になっていた、あの人を見つけたのだ。


人懐こい笑顔は相変わらずで、顔には横に走る一文字の傷跡、黒い髪は頭の天辺で一括りにしてあって、あの夜に逢った姿、まんまであった。
金色の子どもが誰なのかは、今では分かっている。
そっちの線から探せば良かった、とちょっと後悔したりもした。


あの後、カカシなりにイルカのことを探してはいたのだが、カカシは里外の任務が続き里に帰れない期間が長く、探すのに手間が掛かったのだ。


「見いいいつけ〜た〜。」
再会したときイルカがカカシを覚えていなかったのが、またカカシの癪に障った。
イルカは、あの老婆にされたことをカカシに話してしまったので記憶を忘れてしまったのだ。
カカシは、といえば大人にもならず魔法にもかかることもなく、平穏無事に日々を送っていた。
しかしカカシには、そんなことは関係ない。
ずっと想っていたのだ、運命の人を。
その妄想は、十八歳を超えて愛読書ができると更に広がった。



「責任取ってもらいますからね。俺の心を掻っ攫っていった責任を。」
「えええ?」
「イルカ先生は俺の運命の人なんで。」
やっと名前が分かり、名前を呼ぶこともできた。
「もう逃がしませんよ〜。」
にやり、と笑ったカカシは、あの夜の気持ちを思い出す。



あれが好きとか恋とかは分からなかったけど、もう一度再会したいと願ううちに、自分の中で変化があったらしい。
いつも間にか、運命の人、つまり好きな人に変わっていたのだ。
それでもいい、とカカシは思った。
だって、握った手の温かさは本物だった。




「これからはイルカ先生に、存分に抱きしめてもらいますからね。」
ふふふふ、と年季の入った笑いをしてカカシは断言する。
「あの夜、イルカ先生は言ったでしょう?寂しい時は抱きしめてもらえって。」
いいながらイルカを抱きしめてカカシは言う。
「大事な人に抱きしめてもらえばいいって。」
だから、とイルカの耳元で囁いた。
「もう寂しくないよ、俺もイルカ先生も。」



最初は訳が分からずカカシに押し切られていたイルカであったが、だんだんとカカシと付き合い人となり、が解るにつれてカカシを拒むこともなくなり、次第に気がつくと一緒にいる仲になっていた。



「不思議だなあ。」
ある冬の夜、カカシと一緒に炬燵に入りカカシの入れてくれた、あったかい茶を飲み、暖を取りながらイルカは言った。
「カカシさんと、こんな親しくなれるなんて。」
「もう親しいって域を超えて、俺とイルカ先生の新密度、最高潮でしょ。」
「そうですけどね。」
やや頬を染めてイルカは言った。
「カカシさんの話してくれたことって、すごくありませんか?」



イルカはカカシとの最初の出逢いを聞かされたのだが、とんと覚えがなかったのだ。
「それにカカシさんて超現実主義者だと思っていたのに、そんな超常現象を信じていたなんて。」
「俺だって、自分のこと、そう思っていましたけど目の前で現実とは懸け離れた現象が起きれば、信じざるを得ませんよ。」
「へええ。」
「まあ、イルカ先生と逢えたんで結果オーライってことで俺は気にしてませんけどね。」
あのババア、グッジョブです、とカカシが口悪く言ってみせると、イルカは、くすりと笑った。
「その口調、なんか懐かしいです。」
聞いた覚えがあるような、ないような、と懐かしそうにしている。



「まあ、切っ掛けはなんにしろ、イルカ先生に逢えて本当に良かったです。」
「そうですね。」とイルカは微笑んだ。
なんとなく、どちらともなく、寄り添ってカカシとイルカは顔を見合わせて笑う。
今、ここに二人いることが大切なことで大事なことだ。
世の中、不思議なことや謎めいたことが多いけど、総てを解き明かす必要はない。



それでいいんだとカカシは思い、大事な人を手に入れた幸福感に酔いしれて、カカシはイルカを優しく抱きしめたのだった。



終わり



不思議な人3



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