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不思議な人1



十月も末のある日。
カカシは、むしゃくしゃしながら、夕暮れ時の森の中を歩いていた。
道に迷ったのだ。
里に帰るために何回も通っている道なのに迷うなんて在り得ない。
憤慨しながらも、現に道に迷っているカカシは現実を認めるしかなかった。



道に迷って現在地が、どこかも分からなくなってきていた。
「ありえん。」
カカシは呟き、顔を顰める。
この俺が迷うなんて!


この時のカカシの年齢は、十三だか十四だかで反抗期真っ盛りの生意気さ絶頂な年頃であった。
ついでに世間を斜め後ろから見ていて、冷静沈着と言えば聞こえはいいが同じ年頃の子供と比べると、とてつもなく物事を醒めた目で見ている傾向にある。



そんなカカシが道に迷って、うろうろとしていると前方に小さな人影を見つけた。
近づいてみると、腰の曲がった老婆が杖を付き、小さな風呂敷包みを抱えて、えっちらおっちら歩いている。
小さい荷物は重そうに見え、歩くのが難儀そうであった。



カカシは老婆に近づき声を掛けた。
「ねえ、ちょっと。」
老婆は足を止めてカカシを見た。
その顔は、皺だらけで妖しい雰囲気が漂っている。
そんなことにお構いなしにカカシは聞いた。



「ここ、どこか知っている?俺、この森から出たいんだけど。」
簡潔に老婆は答えた。
「さあねえ。」
「あ、そう。」
老婆に教える気がなさそうだと敏感に悟ったカカシは、くるっと踵を返した。
「じゃ、いいよ。邪魔したね。」



「こら、お待ち!」
老婆が、どうやったのかカカシの服に持っていた杖を絡ませて歩みを止めた。
「道に迷ったんだろう。教えてやらないわけじゃないよ。」
にやり、と口の端を吊り上げて老婆は笑った。
「ちょっと手伝いをしてくれたらだけどね。」
「手伝いって何?」
カカシは、素っ気無く聞く。
変なババアが、おかしなこと言うなあ、と少し警戒していた。



「これこれ。」と老婆は自分の持っていた荷物を指差す。
「この荷物を、ちいーとばかり運んでくれたら道を教えてあげようかね。まあ、荷物が持てたらの話だがねえ。」
「荷物運びねえ。」
カカシは遠慮なく老婆を、じろじろと見た。
どこかの忍が変化している様子も術にかかっている風でもない。



しょうがない。
道を教えてくれるなら、とカカシは念を押すと老婆から荷物を受け取った。
小さな風呂敷包みだ。
重そうに見えたが、実際大したことあるまい、と高を括って受け取ったカカシだったが、荷物を受け取ったカカシは、その重さに思わず、よろめいた。
「なんだ、これ!すっげー・・・。」
重いと言い掛けてカカシは口を噤む。
それを言ってしまうと老婆に負けたように感じたからだ。



老婆は、そんなカカシを面白そうに見て顔を歪めて笑った。
「おやおや、そんなに重かったかい?」
「重くなんてないよ。」
強がりを言うカカシは荷物を両手で持ちながら、踏ん張っている。
「そうかい。なら、ついておいで。」
とことこ、と老婆は歩き始めカカシは、その後を追いかけた。



老婆の歩みは決して速くはないのに、カカシは半ば駆け足でついて行く。
重い荷物を持っている所為か、額から汗が滲み出ていた。
そんなカカシを見やりながら老婆は呟く。
「その荷物が、そんなにも重いとはお前さん、相当、業が深いようだねえ。」
やれやれ、と老婆は遅いカカシを待つため歩みを止めると腰を、とんとんと叩いた。
「さっき、荷物を運んでくれた子供も重くて死にそうになっていたし。いったい、人間の世界は、どうなっちまってんだい。」
不可思議ともとれる老婆の発言は、荷物運びに集中しているカカシには届いていなかった。




何十分か経った頃、老婆は足を止めた。
「もう、ここらでいいよ。」
息を切らしているカカシから荷物を、ひょいと受け取る。
老婆が持っても重そうだったがカカシよりは軽々と持っていた。
「み、道は・・・。」
肩で息をするカカシは久しぶりに疲れた、と額の汗を拳で拭う。



「ああ、道だね。ここを真っ直ぐに行くと、知った道に出られるだろうよ。」
老婆は杖で、あちらだよ、と指した。
「分かった、ありがと。じゃね。」
カカシは用は済んだとばかりに立ち去ろうとしたのだが、老婆に呼び止められた。
「ちょいとお待ちよ。」
「まだ、何か用なの?」
不機嫌を隠さないカカシに老婆は、あるものを差し出した。



「ご褒美にあげようかね。食べてごらん。」
老婆の萎びた手の平の上には、二粒の木の実が乗っていた。
毒々しい紫色の木の実と鮮やかな黄緑色の木の実だ。
「いらない。」
カカシは即座に断った。



素性も分からない妖しげな人物から、同じくらい妖しげな物を貰うつもりは、更々なかった。
「おや、そうかい。」
老婆は、ひひひ、と低く暗い笑い声を上げる。
「食べないと後悔するよ。もしかして運命の人に逢えるかもしれないのに。」
「運命の人?」
「そうさね。これから、お前さんが人生を共にするかもしれない大事な人のことだよ。」
カカシは二粒の木の実を、じっと見た。



「・・・食べてみる。」
吸い寄せられるように手を出して老婆から木の実を受け取る。
ぱくりとカカシが口に入れたのは紫色の木の実であった。
「まっずー。」
カカシは顔を顰めた。
「なに、これ。不味すぎでしょ。」
「あらま。」
老婆は、びっくりした顔をした。
「お前さんには効き目がないんだねえ。さっきの子供には、どんぴしゃで効いたのに。」
不思議なこともあるもんだ、と老婆は首を傾げる。



そして今度こそカカシが去ろうとすると老婆が三度、呼び止めた。
「そうそう、お菓子はいるかい?」
懐から、どこに入れていたのか大量の飴やチョコレート、ビスケットやパイやキャラメルなどを取り出したのである。
「いらない。」
甘いものが苦手だったカカシは、きっぱり断り老婆の前から完全に姿を消した。



おかしな老婆に教えられた道を行くと、ようやく見知った景色の道に出て、カカシは一息吐いた。
「よかった、あのまま、道に迷ったままだったらどうしようかと思った。」
里への道を急ぐ。



勢い良く、走り出したカカシは、どんと誰かにぶつかった。
今日は、よくよくついてない。
子供らしくない溜め息を吐いた時、ぶつかった相手は平身低頭にカカシに謝ってきた。
「ご、ごめんなさい。大丈夫?怪我してない?ごめんね。」
相手は、おろおろとカカシに近寄ってくる。
「・・・大丈夫だよ。」
仏頂面で愛想もなくカカシが答えると相手は、ほっとしたようだった。



「そっか、よかった。」
ふとカカシが、ぶつかった相手を見ると長身で黒髪の若い男性であった。
髪を頭の高い位置で一つに括り、顔には横に走る真一文字の傷があり木の葉の額当てをしている。
カカシを見ると、にこ、と人懐こそうに笑った。



不思議な人2





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