うちの子どんな子かわいい子、おれのあの子はかわいい子
番外篇 あの子の決意




休日のある日。
イルカは熱心にテレビを見ていた。
因みにホラー映画ではない。
あるコマーシャルに釘付けになっている。
そのイルカの横でカカシは寝転がり、イルカに付き合ってテレビを見つつ本を読んでいた。



「決めた!」
テレビを見ていたイルカが、突然、立ち上がった。
「俺、ダイエットする!」
イルカの握った拳に力が入っている。
本気らしい。
「えええ〜。」
カカシは真面目に驚いた。
「どっからダイエットなんて発想が出てくるの?」
ちょっと呆れたようにイルカを見ている。



「イルカに必要なのはダイエットと真逆のことでしょう。どっこも痩せる必要ないじゃない?」
そう諭してみたがイルカは首を振る。
「カカシさん、時代は今、ダイエットなんだよ。」
真剣な顔で言われた。
「時代って、どの時代よ・・・。」
「とにかく、健康のためにダイエットだ!」
「健康のために、もう少し食べて大きくなる方でしょ、イルカは。」
カカシが言ってもイルカには聞こえないようである。
目が何かに取り付かれたように、きらきらと輝いている。
イルカは何事かに心を奪われているようだった。



「いったい、どうしたっての?」
起き上がったカカシはイルカから何がダイエットなのか詳しく訊こうとしたのだが、それよりも早くイルカは、すててて〜と玄関に向かっていってしまった。
こんな時ばかり、行動が素早く、もう靴を履いている。
「俺、ダイエットのためにスーパーで買ってくる!」
そういい残すと勢いよく、家を飛び出して行ってしまった。
「スーパーで買ってくる・・・。って何を?」
訳が分からず、首を傾げているカカシの耳に付けっぱなしだったテレビのコマーシャルの音が飛び込んできた。
これは、さっきイルカが熱心に見ていたような気がする・・・。
それは新発売の飲料水のコマーシャルであった。




「やっぱり、ここにいた。」
カカシはイルカの後を追いかけて、いつも二人で買物をしているスーパーに行くと、やっぱりイルカはいた。
「あ、カカシさん。」
イルカの手にしている買い物籠の中味は、先ほどテレビのコマーシャルで見た新発売の飲料水がたくさん入っている。
「これを買いに来たわけ?」
「ま、まあね。」
あはは〜と笑ってイルカはカカシの視線を避けて明後日の方向を見る。
「カロリーゼロでダイエットに最適です、とかテレビで言っていたから、急に『ダイエットする』なんて言ったんだね。」
「まあ、そうです。」



罰が悪そうな顔になったイルカは上目遣いでカカシを見る。
「だって、新発売って気になるんだもん。」
飲みたいな〜、と目でカカシに訴えてきた。
「買っちゃ駄目?」
なんて訊かれると、駄目とは言えないカカシである。
「ちゃんと牛乳も飲むなら、いいよ。」
「え〜。」
「え〜じゃありません。」
「甘くてカロリーゼロで新発売の牛乳ってないの?」
「ないです。」
ちぇ〜とイルカは口を尖らせた。



「いいじゃないの。」
拗ねる顔のイルカが妙におかしくて、ついカカシは笑ってしまう。
そしてイルカの持っていた買い物籠を取り上げて、イルカの手を取り握った。
「この新発売の飲料水と牛乳買って、あとはアイスを買って食べながら帰ろ。」
偶にはいいでしょ、食べながら帰るのも、と提案するとイルカの顔に笑みが浮かんだ。
「うん、すっごくいい!」
とっても嬉しそうだ。
「じゃあ、アイスを買おう!」とイルカは俄然、元気になりカカシの手を、ぐいぐいと引っ張る。
「はいはい。」
イルカに手を引かれながらカカシはアイス売り場へと行く。



そして帰り道。
イルカと二人で手を繋ぎアイスなんて食べながら、ゆっくりと歩く。
そんな日常に幸せを感じるカカシであった。






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