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うちの子どんな子かわいい子、おれのあの子はかわいい子
番外篇 あの子の愛情




イルカとカカシはテレビの前に座ってテレビを見ていた。
正確にはテレビを見ていたのはイルカでカカシは、その隣に座り本を読んでいた。
時間は零時近くで明日は任務があるというのに、イルカは寝ないで頑張ってテレビを見ている。
うつらうつらとしているのか、隣に座っているカカシに寄り掛かり、カカシに肩に頭を預けていた。
その体勢でテレビを見ていたのだが。
自分に寄り掛かってくるイルカが可愛いくて、カカシは寝ようと言い出せずにいた。
寝させた方がいいとは思うんだけど・・・。
滅多にしないイルカの甘えた仕草にカカシの胸はときめく。
自然な感じで触れ合うのって、すごく恋人って感じだよね。
本を読みながら頭の中では、そんなことを思っていた。



テレビを見ていたイルカが不意に身を乗り出して、テレビを食い入るように見始めた。
「イルカ?」
さっきまで眠そうにしていたのに、どうしたんだろう。
イルカが熱心に見始めたテレビにカカシも目をやった。
テレビでは料理番組らしきものがやっている。
料理番組といっても正統な料理番組ではなくて、変わった食材を用いて料理を作っている。
テレビの中では菓子を用いた料理が作られていた。
「すっごーい。」
作っている料理にイルカが目を輝かす。



「チョコとかアイスも、あんな風にしてアレンジすれば、ちゃんとした料理になるんだねえ。」
ひどく関心している様子だ。
そして「美味しそう!」と宣った。
その言葉を聞いてカカシは、ひどく不安になる。
・・・また、独創的すぎる斬新かつ不可解な料理を作るんじゃないだろうなあ。
イルカには以前に、カカシの誕生日にとんでもない料理を作ろうとしたのことがあった。
一抹、いやニ抹三抹の不安を覚える。
「あ、あのねえ、イルカ。」
カカシはイルカを諭すように、もしくは方向転換させようと言ってみた。
「あ、れ、は!テレビの中だから、やっているの。実際に作っても美味しくないんだよ?」
「えー、そうなの?」
イルカが残念そうな声を上げる。
「今度、作ってみようと思ったのになあ。」



・・・やっぱり、作ろうと思っていたのか。
カカシは阻止すべく少しだけ、きつい口調で言う。
「お菓子はご飯のおかずにはなりません。」
分かった?と念を押すとイルカは素直に頷いた。
「分かったよ、カカシさん。」
「そう。じゃ、もう寝ようか。」
「はーい。」
返事をしたイルカは歯磨きをしてベッドに入る。
カカシも歯磨きをしてから部屋の電気を消した。
「おやすみ、イルカ。」
「おやすみなさい、カカシさん。」
暗闇の中からイルカの声が聞こえてくる。



「カカシさん、明日、任務だったよねえ。」
「ああ、うん。でも日帰りで夜には帰ってくるよ。」
「お弁当っている?」
「あってもなくてもいいけど。」
「じゃあ、俺、お握り作るね。」
そこでイルカが、ふわーと欠伸をしたようだ。
「特製のやつだから楽しみにして、いて、よ・・・。」
最後は語尾が途切れてしまい、イルカは眠ったようだった。
「特製のやつねえ。」
嫌な予感がするなあ・・・。
暗闇の中でカカシは体を起こしてイルカの寝顔を見る。
すやすやと何の悩みもなさそうに寝ていた。
そんなイルカの寝顔を見つめてイルカの額に、そっとキスを落とすとカカシも眠りに就いた。



次の日の朝。
カカシが起きたときにはイルカは既に起きていて、昨夜、寝る前に言っていたお握りを作り終えていた。
お握りは可愛い布に包まれてカカシに手渡される。
イルカは、にこにこしながら言った。
「きっとびっくりするよ、カカシさん!」
「ありがと、イルカ。」
お握りを受け取ったカカシは、やはり不安を拭いきれない。
いったい、どんなお握りなんだろう・・・。
まさか、普通のお握りだよね?とは訊けない。
イルカに訊いてみたいが、万が一、訊くことでイルカを傷つけてしまったらと思うと躊躇ってしまう。
「ちゃんと食べてね!」
「うん、食べるよ。」
カカシは受け取ったお握りの包みを任務の荷物に入れた。
「行って来ます。いい子にしていてね、イルカ。」
そう言ってイルカの額に頬にキスするとイルカは擽ったそうに笑った。



「カカシ、昼飯食べないのか?」
昼飯時、イルカに貰った包みを前に考え込むカカシに声を掛けてきたのは例の暗部の同僚であった。
この暗部の同僚はイルカとは顔見知りでイルカには、お兄さん、と呼ばれている。
「え、うん、いやね、食べるけど。」
「何を悩んでいるんだ?」
「これさあ。」
カカシはお握りの入った包みを持ち上げて見せた。
「イルカが作ってくれたお握りが入っているんだけど。」
「へええ、イルカが。」
まめだなあ、と暗部の同僚は言う。
「だったら食べたらいいじゃないか。」
「そうなんだけどねえ。」
カカシは、はあ、と溜め息をついた。



「あの子、特製のお握りを作ってくれたらしいんだよね。」
どんなお握り作ってくれたのやら、と心配だった。
昨日、眠る直前に見ていたテレビ番組の菓子で料理のこともある。
とんでもないお握りを作ったんじゃないのか、と不安になっているのだ。
そして、それを自分が食べられるのかも。
中に飴やらチョコやら入っていて甘かったらどうしよう、甘いの苦手なのに。
それを言うと暗部の同僚は肩を竦めた。
「あー、そりゃあ、ありそうだな。」
実は、この暗部の同僚はカカシの誕生日に、とイルカが作った試作品のデザートを食べて、えらい目に合っている。
だから耐性がついているのか、悩むカカシに言った。
「それ、俺が食べてやろうか?」
「えっ。」
「だいたい、イルカの作るものは予想がつくしなあ。」
甘い飯もたべれるぞ、と胸を張った。
「それに、まだ腹も空いているし。」
「でもなあ。」
「食べなかったら、イルカが可哀想じゃないか。」
「それはそうだけど。」
「イルカには俺が食べた感想を伝えればいい。」



「捨てるわけにはいかないだろ。」
そっちの方がひどいぞ、と言われるとカカシは、なんとなく納得がいかないと思いながらもイルカの作ってくれたお握りを包みごと、暗部の同僚に渡してしまった。
暗部の同僚は、いそいそと包みを開けた。
中には銀紙で包まれたお握りが三つ。
「お、三個もある。」
ラッキーと喜んでいる。
そこへ、ばらばらと他の仲間も寄ってきた。
「お握りじゃないか、余分があるならくれよ。」
「あ、俺も。」
イルカの作った三つのお握りは、それぞれ、人の手に渡ってしまった。
「いただきまーす。」
仲間たちは銀紙を剥いて早速、お握りを食べようとした。



「あ!」
暗部の同僚が声を上げる。
「字が書いてある!」
「え!」
慌ててカカシはあげてしまったお握りを覗き込む。
お握りは平たい円盤状になっていて周りに海苔が巻いている。
真ん中の平たい部分には海苔を切って書いたと思われる字が書いてあった、カタカナの。
「えーと、これは『カ』。」
「俺も『カ』。」
「こっちは『シ』だ。」
お握りには『カカシ』と書いてあったのだ。



「イルカ、凝っているなあ。」
「愛情弁当ってやつだなあ。」
「すっごい美味そう。」
三人は一斉に、ぱくっとお握りに食いついた。
「あ、ちょっと待て!」
カカシが急いで止めたものの、時既に遅し。
イルカの作ったお握りは二口で食べられてしまっていた。
「・・・ああ。」
悲しそうな声がカカシから漏れた。
対してイルカのお握りを食べた仲間から楽しそうな声が聞こえる。



「このお握り、美味いなあ。」
「うん、絶妙な塩加減。」
「愛情もタップリと入っているし。」
「俺の具は梅で。」
「俺はおかかで。」
「俺は昆布だったぞ。」
美味かった〜と食べた全員が言った。
「ご馳走さま、とイルカに伝えておいてくれ。」
「美味かったってな。」
「また、作ってくれってのも。」
その言葉を聞いたカカシは大後悔して、がっくりと肩を落としていた。
イルカが特製と言ったのは、お握りに『カカシ』と海苔で時を書いたことで。
あとは至って普通のお握りだったのである。
きっと一生懸命考えて作ってくれたに違いない。
・・・ごめんね、イルカ。
カカシは心の中で何度もイルカに謝った。



家に帰ると、にこにことしてイルカが出迎えてくれた。
「カカシさん、お帰りなさい!」
「・・・ただいま。」
一番にお握りのことを訊いてきた。
「ねえねえ、お握り、どうだった?食べてくれた?」
「・・・うん、食べたよ。」
ありがとう、とカカシはイルカの頭を撫でた。
「びっくりしたでしょ?」
それはお握りにカカシの名前を海苔で書いていたことを言っているのであろう。
「・・・うん、びっくりしたよ。」
「美味しかった?」
「・・・うん、美味しかったよ。」
「良かった〜。」
イルカはカカシの言葉を信じて嬉しそうにしている。 カカシが、ちゃんとお握りを食べてくれたと思い、少しも疑っていないのだ。



「美味しくて、愛情がたくさん入っているって。」
「そう?」
イルカは照れたように笑った。
「あれ、カカシさんが美味しいって食べてくれますように思いながら作ったんだ〜。」
「そっか・・・。」
「うん!」
イルカの言葉が、ぐさぐさとカカシの胸に刃となって突き刺さってくる。
罪悪感で胸が非常に痛かった。
しかし、こんなに喜んでくれているイルカを前にしてカカシ以外の人間がお握りを食べたなどと口が裂けても言えなかった。
「イルカ!」
がばっとカカシはイルカを抱きしめた。



「また、今度!」
ぎゅうーっとイルカを抱きしめた。
「お握り作ってね!絶対!」
今度は絶対に食べるから、と心の中で付け足す。
「うん、いいよ。」
なにやら不思議そうにイルカはカカシを見ている。
「どうかしたの、カカシさん?」
カカシの態度が、どことなくおかしいのを敏感に察しているようだ。
「いや、なんでもないよ〜。」
誤魔化すようにカカシは言って、あはは〜と笑った。
「今日の晩御飯は俺が作るから。何が食べたい?」
「カレー、甘いやつ!」
すぐにイルカは反応を返してくる。
「うん、分かった。カレー作るね。」
待っていてね、とイルカに言うとカカシは晩御飯と作り始めた。
せめても罪償いとして。
そして今日のことを深く反省しイルカの作ってくれたものなら、どんなものでもちゃんと食べようと心に決めたのであった。





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