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年越し




大晦日。
カカシはイルカ宅にて年越し蕎麦を、ご馳走になろうとしていた。
あったかいコタツの中で今の状況にほくほくしながら、ぬくぬくしている。
お互い独り身ですし良かったら年末を一緒に過ごしませんか、とイルカに誘われたのだ。
年越しをイルカ先生と一緒に過ごせるなんて今年は年末に任務入れなくて、ほんっとに良かったなあ。
そんなことを思ってしみじみとしていた。




「お待たせしました。」
イルカが台所から蕎麦を二つ、お盆に乗せて運んできた。
蕎麦から湯気が立ち上り温かいのが見てとれる。
「どうぞ。召し上がってください。」
にっこり笑ってイルカに食べるように促されたカカシは両手を合わせて「いただきます。」と礼儀正しく言った。
ちなみに蕎麦はカカシの苦手な天ぷらではなく月見蕎麦のなっていた。
二人でふーふーと言いながら温かい蕎麦を食べていると遠くから除夜の鐘が聞こえてきた。




ごーんと鳴り響く鐘にカカシとイルカは耳を済ませる。
「鐘の音を聞くと今年も終りだなあって実感しますね。」
「そうですね。」
「食べ終わったら、初詣に行きませんか?」
イルカが誘ってきてくれてカカシは願ったり叶ったりだ。
「いいですね、是非行きましょう。」
大晦日もだが新年からイルカと一緒に過ごせるなんてついている。
今年は元旦から、いい年になりそうだ。
神社に御参りにいったら絵馬に書いてしまおうか、好きな人といつも一緒にいれますようにって。

好きな人とは、もちろんイルカなのだが。
この一年、ナルトを通して随分と仲良くなったけど、未だ友達の域から出ていない。

美味しそうに蕎麦を食べるイルカを横目で見ながらカカシはそんなことを思う。




「そういえば、俺はですねえ。」
イルカが変なことを言ってきた。
「年末派、なんですよね。カカシ先生は年末派ですか?それとも年始派ですか?」
「えっと、それって何ですか?」
蕎麦の中の月見を崩しながらカカシは聞いた。
イルカは重大なことのように顔を顰める。
「年末の雰囲気の方が好きなんです、実は。あの全部終わるぞーみたいな、ホッとしたような感じがなんともいえなくて。」
「はあ。」
年末ねえ、そんなこと考えたこともなかったなあ。
カカシは蕎麦を口に入れて咀嚼する。
「カカシ先生はどちらが好きですか?」
イルカが重ねて聞いてきた。
「そうですねえ。」
カカシは蕎麦を飲み込み質問に答えた。
「どちらかと云うと、年始です。」
「年始?」
「はい。」




空になった蕎麦の入った器を除けて、カカシはイルカの方に顔を近づけた。
「新しい年になってから、新しく初めることの方が魅力的ですから。」
「新しく初めるって何をですか?」
不思議そうにイルカは聞く。
「貯金とか?」
「いいええ。」
カカシは会心の笑みを浮かべた。




「今年こそ、好きな人に告白して恋人になってもらうつもりです。」
「恋人・・・。」
イルカの顔が、さっと赤くなった。
「カカシ先生、新年から大胆ですね。」
思わぬことを聞いて照れ隠しをするようにイルカは残りの蕎麦を忙しく食べた。
そんなイルカを微笑ましく見守るカカシ。
好きな人って案外近くにいるですけど、気づいてもらえないんですよねえ。
心の中で呟いて。




やっぱり絵馬には、こう書こう。
好きです、イルカ先生、恋人になってくださいって。
一緒にいるイルカ先生の目に絶対に入るように。
新年から楽しい計画を立てて心も体も浮き浮きとし始めるカカシ。
イルカが食べ終わるのを見計らってカカシは立ち上がった。
「さ、早く初詣に行きましょう。」
勢いよく、イルカの手を引いて立ち上がるのに手を貸す。
「どうしたんです、カカシさん。」
「なんだか早く御参りに行きたくなったんです。」
早く用意して行きましょう、とカカシはイルカを急かした。
「神社に行ったら良いことが起こりそうな気がするんです。」
「はあ。」
訝しがるイルカの手を取りカカシは家の外に出る。
夜空には星が煌いて、遠くから鐘の音が聞こえて、ざわざわと人の気配がして。
新年が近づいてきているのが分かる。


今年は、どんな年になるか分からないけどイルカと一緒なら、きっといい年になるに違いない。
恋人になれたら尚更だ。


手を引いたイルカを振り返ると、イルカは楽しそうに笑っていた。
カカシも笑い返す。


今年もいい年でありますように。






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