恋愛のタイプ
カカシが火影の執務室にて、任務についての話を五代目火影の綱手としている途中に、イルカが書類を持って入室してきた。
「火影さま、頼まれていた書類をお持ちいたしました。」
「ああ、ご苦労だったね、イルカ。」
イルカは綱手に書類を渡しカカシの顔を見ないまま、カカシに軽く会釈をすると速やかに退室してしまった。
カカシはイルカが入室してきてから退室するまで、特にイルカに話しかけることもせずに、その行動の一切を目で追っていただけだった。
不思議に思った綱手は聞いてみた。
「カカシ、イルカと付き合っているんだろう?」
公にはしていないが、カカシとイルカが付き合っていることを知っている者は何人かいた。
「え?ええ、まあ、そうですね。」
カカシは臆することなく、付き合っていることを認める。
更に綱手は聞いてみた。
「付き合っているもの同士なら、家の外で顔を合わせたらアイコンタクトくらいはしないのかい?」
火影室で一度も目を合わせない二人を心配して、もしかして二人の仲は上手くいってないのか、という考えが綱手の頭をよぎる。
「あ〜、そうですねえ。」
暢気にカカシは返事をした。
火影の執務室で、綱手の手前というのもあって顔を合わせないようにしたのかもしれないが。
「どうなんだい?」
綱手が促すとカカシの顔が、途端に緩んだ。
「いやあ、あのですね。」
口調も砕けて若気ている。
「家の外でイルカ先生に会うとですねえ。俺、視線が合ったら外すことができないし会話し始めると止まらないんです。」
で、なるべく家の外では接触しないようにしているんです、と嬉々と説明してくれた。
「あー、そうかい。」
綱手は、ぞんざい返事をした。
なんだか、ここから先は聞きたくないような、いや、聞かないほうがいいような予感に襲われたのである。
「じゃあ、カカシ、任務のことだけど。」
さりげなく話題を逸らそうとする綱手に気づかず、カカシは盛大に幸せなムードを漂わせて言った。
「俺って恋愛に対して、あっさりさっぱりすっきりなタイプかと思っていたら。」
妙に、うっとりとしている。
「イルカ先生と恋に落ちて、ゆっくりたっぷりじっくりなタイプだったんだなあって悟りました。」
「・・・あーあー、そうかい。」
綱手は他人の恋路に足を踏み入れたことを後悔した。
恋人たちの心配なんて柄にもなくするんじゃなかった。
こういう時に限って、なんでシズネは任務でいないんだい?
幸せそうなカカシの話を聞かされて、恋人のいない自分の愚痴を言う相手もいないじゃないか!
少々悔しくなって綱手は言い返してみた。
「カカシのゆっくりたっぷりじっくりって、とどのつまり、ねっとりってことじゃないかい?」
ねっとりとは、ねばねばとか粘り気があるとかいう意味を含む。
「あー、なるほど。」
カカシは、ぽんと手を叩いた。
「綱手さま、さすが年の功で上手いこと言いますねえ。どうも、しっくりくる言葉がないなあと思っていたんですが。」
カカシは破顔した。
「俺にぴったりですね、今度から、そう言うことにします。」
自分で言っておきながら恋愛に対して、ねっとりとはどうなんだ?と疑問がわいた綱手ではあったが。
それよりも恋人たちの幸せにあてられて、限りなくダメージを喰らった綱手だった。
text top
top