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煙草



偶々、イルカは受け付所に行く途中でアスマと会って何の気なしに立ち話をしてしまった。
「あ、やべえ。今何時だ?」
暫く立ち話に花を咲かせていたのだがアスマが急に時間を確認してきた。
「えーと、十一時十分前です。」
「いけねえ、十一時から会議だった。」
それから慌てたようにポケット探り「いけねえ、煙草も切れてやがる。」と肩を落とした。
「会議の後、すぐに任務に出なきゃなんねえだよなあ。」
煙草を買っている暇がないぜ、と、ぼやいている。
そんなことなら、のんびり立ち話をして場合じゃないだろう、と思わなくもないがイルカはアスマに立ち話をさせてしまったことに後悔する。
「急ぎの用事があったのに、立ち話なんてしてしまってすみません。」
「あー、いい、いい。」
アスマは気軽に手を振った。
「構わねえよ。」
そして手を振って会議に向かおうとする。
しかし肩を落としたアスマの後ろ姿にイルカは思わず声を掛けた。
「あの、俺でよかったら買って来ましょうか?後で、お届けしますから。」



「え!」
嬉しそうにアスマは振り向いた。
「ほんとか?じゃあ、頼むぜ。金は後で払うからよ。」
アスマは煙草の銘柄を言い「そんで、5ミリでロング、メンソールじゃないやつな!5箱頼む!」と早口で言うと会議に行ってしまった。
普段、煙草を吸わないイルカは首を傾げた。
「5ミリって何だろう?」
それはタールの量を表すものなのだがイルカには、よく分からない。
「ま、買いに行けば分かるかな。」
とりあえず煙草の自動販売機が置いてある場所へ向かう。
だが煙草の自動販売機の前でイルカは悩んでしまった。
煙草の自動販売機は二つ並んでいて、見本の煙草の銘柄は総て違う。
「煙草って、たくさんの種類があるんだなあ。」
感心して眺めていると背後に覚えのある気配が降り立った。
「カカシさん!」
振り向くと案の定、カカシがいた。



「イルカ先生、何してるんですか?」
「何って、アスマ先生のお遣いで煙草を買いに来ているんです。」
「アスマの煙草〜。」
盛大にカカシが眉を顰めて嫌そうな顔ををする。
「何で、そんなの買いに来てるんですか〜?」
「別にいいじゃないですか。」
カカシに詰め寄られてイルカは少し怯む。
「それより、カカシさんは会議に行かなくていいんですか?アスマ先生は会議に行きましたよ。」
「あー、いいんです。」
カカシは、のんびりと答えた。
「その会議、俺は出る必要ないんで。」
「そうなんですか。でも、お忙しいんじゃ・・・。」
「全く、忙しくないで〜す。」
にこやかにカカシは答える。



「それより、イルカ先生。今日の晩飯何にします?ラーメンは昨日も食べましたし麺類が最近、ずっと続いているので白米にしましょ。あ、俺、ハンバーグとか食べたいです。」
「そうですねえ。」とカカシの言葉に考え込んだイルカだったが、はっと用事を思い出した。
「アスマ先生の煙草!」
はっと自動販売機の方を見たのだが、時既に遅し、イルカはアスマに頼まれた煙草の銘柄を忘れてしまっていた。
他にも色々言われたが覚えているのは五箱買う、だと言うことだけだ。
「ああ、どうしよう。何の煙草か忘れちゃった・・・。」
眉が八の字なってしまったイルカの肩をカカシは、とんとんと叩いた。
「大丈夫、イルカ先生。俺が知っていますよ。」
「本当ですか?」
天の助けとばかりに、きらきらと目を輝かすイルカはカカシを見る。
なのにカカシは「でも『ただ』では教えてあげられないなあ。」と意地悪なことを言う。
「『ただ』って・・・。」
更にイルカの眉が下がり追い詰められた顔になった。
「俺にどうしろと?」
「それはねえ。」
カカシは我が意を得たりと、にやりとする。



「ここで俺にぎゅーっと抱きついて、ホッペにチューしてくれたら煙草の銘柄を教えてあげます。」
ほらほら、とカカシは両腕を広げた。
「今なら、誰もいませんよ。」とイルカを急かす。
絶好のチャーンスです!と煽った。
結局。
イルカはカカシの望むままになってしまいカカシは、ほくほく顔だった。
その後、カカシはイルカが見ている前で、ものすごく適当に煙草の自販機のボタンを押して煙草を五箱買っていた。
しかも全部、銘柄が違い種類もばらばらだ。
「カカシ先生、本当は知らないんじゃ・・・。」
イルカが疑いの目を向けるとカカシは「大丈夫大丈夫。」と根拠のない自信を振りかざし「これ、アスマに届けておきますね〜。」と、どろんと姿を消した。
腑に落ちなかったイルカだったが一先ず、煙草がアスマの手に渡ることに一安心した。




「はい、これ。」
カカシから煙草を、ばらばらと渡されたアスマは、ぎょっとした顔になる。
「なんだ、こりゃ。」
「イルカ先生に頼んでいた煙草だ〜よ。」
「なんで、それを・・・。って、頼んだ煙草と全然、違うじゃねえか。」
「俺が買ってきました。」
「お前には頼んでねえ。」
煙草はアスマが苦手な種類の煙草も含まれていた。
アスマはあることを察して、深々と溜め息をつく。
「カカシ、お前、俺がイルカに煙草を買うのを頼んだのが気に入らないんだな?」
「べっつに〜。」
カカシは嘯いた。
だけども嫉妬であることは明白で、自分の恋人であるイルカが個人的に誰かに用事を頼まれたのを面白くないのだろう。
「子供だなあ。」
アスマは再び、溜め息を吐き諦めてカカシから渡された煙草を吸うことにした。
「任務、頑張ってね〜。」とカカシに見送られアスマは居心地悪くなる。



そして、よくよく考えてみれば得をしたのはカカシ一人だけだったという、そんな話だった。




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