夏の西瓜
珍しいことに、今日は合同任務でアスマや紅の班と一緒だった。
任務は今が時期の西瓜の収穫。
子供達はワイワイキャーキャーと、ものすっごく盛り上がっている。
任務だってのに、とても楽しそう。
広い畑の膨大な数の西瓜の蔓を鋏で切りながら収穫した。
スイカは暑い日の光を浴びて、よく実っている。
それに重い。
「重いのは甘い証拠だ。」
アスマが額に汗しながら、子供達に交じって収穫している。
柄にもなく楽しんでいる模様。
「西瓜割りでもしたいわね。」
紅もにこにこしながら、重いスイカを収穫している。
西瓜って、何か魔力でもあるのかなぁ。
西瓜ってだけで、皆、楽しそうだし嬉しそうだ。
そういや、うちにも西瓜大好きな人がいたな。
イルカ先生だ。
冬に温室で育った小さい西瓜を買っていったら、すごく驚いてすごく喜んで食べていたっけ。
でも、食べ終わった後に「西瓜はやっぱり夏ですね。」って言って。
夏に西瓜とビールは欠かせません、とか何とか。
思い出すと、ちょっと笑ってしまった。
すかさず、紅が見咎めて「思い出し笑い?やーねー。」と突っ込んできたが。
夕方収穫が終わると依頼主から、なんと一人一個ずつ貰ってしまった。
太っ腹な依頼主。
子供達は大喜びで、俺やアスマ、紅も一個ずつ貰った。
持って帰ったら、イルカ先生喜ぶかなあ。
「ただいま〜。」
帰宅すると、すぐに西瓜を見せた。
「わぁ。よく育っていますね。」
イルカ先生がポンポンと西瓜を叩くと、いい音がする。
「甘そうですね。」
西瓜を見て、俺を見て、にこっとした。
「早速、食べますか?」
「冷やしてからの方がいいんじゃない?」
「でも、夕飯にちょうどいいですよ。」
「え?」
なんか、変なことを聞いたような。
「西瓜を食べると夏本番って感じがしますよね〜。」
イルカ先生は俺から西瓜を奪って台所へ行ってしまった。
切り分けるつもりなのだろう。
追いかけていくと、上機嫌のイルカ先生が俺の方を振り向いた。
「夏は、やっぱ、西瓜とビール。夏の食生活は楽ですよね。」
食生活って・・・。
「もしかして、夏はそれだけしか食べないってこと?」
まさか、と思いながら聞くと、元気よく頷くイルカ先生。
「そうですよ〜。だって暑いと食べたくなくなるし。さっぱり冷たいものが食べたくなるので。」
用意も楽だし、一石二鳥って。
「駄目に決まってるでしょ。」
俺は即、西瓜を取り上げ、即決めた。
「西瓜はデザート。一日四分の一まで。」
ええ〜、と抗議の声を上げるイルカ先生。
こっちが、ええ〜だっての。
そりゃ、西瓜は美味しいけど、主食にするのは無理があるでしょ。
夏ばて一直線だよって。
懇々、切々と訴えたら、イルカ先生は納得してくれた、一応。
でも、ちょっとまだ、未練があるみたい。
だから、言ってみた。
「今度、子供達でも呼んで庭で西瓜割りでもしましょうか。」
「西瓜割り?」
途端に目を輝かす。
「夏だからね。」
「そうですね。」
どうせ、西瓜を食べるなら皆で食べればいい。
その方が、断然楽しいよ。
夏は暑いけど、元気に乗り切ろうと思った俺だった。
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