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空から



夕飯時、カカシさんが興味深いことを話してくれた。
「今日ね、任務から帰って来たアスマに聞いたんですけどね。」
「アスマ先生から?」
確かアスマ先生は、少々遠くの異国へ任務に行っていた筈だ。



「その異国で不思議なことがあったそうですよ。」
不思議なことってなんだろう?
俺はご飯を食べながら、カカシさんから話しの続きを聞いた。
「なんでもね、空から魚が降ってきたり蛙が降ってきたりしたんですって。」
「へええ。」
空から、そんなものが降ってくるなんて。



「不思議ですねえ。」と素直な感想が出た。
「直接的な原因は分からないそうですけど、風で吹き上げられたとか鳥が運んできたとか憶測を呼んだそうですよ。」
「風や鳥にねえ。そんなことがあるんですねえ。」
ご飯を飲み込んでお茶を飲むと、ちょっと俺は考えた。
落ちてきた魚や蛙はどうなったのかな、と。



「ねえねえ。イルカ先生。」
カカシさんが何やら、好奇心に目を光らせて俺に聞いてきた。
「イルカ先生は、空から何が降ってきたら嬉しいですか?」
「空から・・・。」
うーん、何がって言われても。
差し当たりは・・・。


「米ですかね。」
「米?」
カカシさんが眉を潜める。
「そう、米ですよ!もう、家の米も残り少ないし、今、米が降ってきたら、俺、笊を持って落ちてくる米を受け止めますよ。」
「米粒が降ってきて、笊で受け止めるって言っても、たかがしれてるんじゃないの?」


カカシさんが少々呆れ顔なのは気のせいか?
「あ、そうですね。米粒じゃなくて、米俵がいいですよね!」
そしたら、当分、米には困らない。
買う必要もないじゃないか。
想像したら、ちょっと浮き浮きしてしまった。



「あのねえ。」
溜め息を吐いたカカシさんの顔には哀愁が漂っていた。
「もっと、ロマンチックなものは考え付かないんですか?」
「ロマンチック?」
「そうです。」
カカシさんは大きく頷いた。
「薔薇の花びらとか星屑とかハートの欠片とか。」


・・・・・・それって、ロマンチックなものなのか?
食べられやしないじゃないか。
疑問が沸いたが賢明にも俺は黙っておいた。
カカシさんの夢を壊しちゃ悪いからな。



「で、カカシさんが望む、空から降ってくるロマンチックなものって何ですか?」
俺は聞いてみた。
そこまで言うなら、相当、すごいロマンチックなものなんだろうな〜と思って。
するとカカシさんは、何故か「えっへん。」と胸を張る。
「俺はですねえ。」
「はい。」
「空からイルカ先生が降ってきてほしいです!」
俺が空から降ってくる・・・。
カカシさんは何やら考えて、うっとりしている。
「そしたら全力で受け止めたいです。」
俺は黙って、ご飯を食べることに専念した。



空から俺が降ってくるってのは、果たしてロマンチックなのだろうか?
激しく疑問が沸いた。
と同時に、そんなことを考えて嬉しそうにしているカカシさんが、なんだか可愛く見える。
ご飯を食べ終えて俺は言った。
「カカシさんて、案外、欲がないんですね。」
「え?」と首を傾げるカカシさんの横に、つつつと移動する。
「俺なら、ここにいるでしょう。」
そう言ってカカシさんの首に手を回して、頬と頬を擦り合わせた。



すりすりすり。
気持ちいい。
カカシさんは、箸と茶碗をテーブルに一先ず置いて、俺の背中に手を回して呟いた。
「やられた・・・・・・。」
すりすり、とカカシさんも頬を摺り寄せてくる。
「空から降ってこなくて、イルカ先生がここにいるだけで充分過ぎるくらいです。」
それは俺も同じだ。
「じゃ、カカシさんのご飯が食べ終わったら、お米を買いに行きましょうか。」
誘うとカカシさんは頷いた。
空からロマンチックなものが降ってこなくても、俺たちは、充分幸せだったのだ。



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笊=ざる