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誤解の罠



その日、イルカはアカデミーの使用していない教室でアカデミーの教師、何人かと変化の模擬練習をしていた。
明日は、子供たちに変化の術を教えるのだが、一応、その前に自分たちで練習しておくのだ。
「それっ!」
印を組み、それぞれ、変化の術を、おさらいしていく。
一通り、済んだところで一人が言った。
「アカデミーにいると実戦に出ることがが少なくなるから、術を定期的に訓練しておかないと駄目だなあ。」
「そうそう、一に訓練、二に訓練。復習しておかないと忘れるよなあ。」
「いざとなって忘れていたら生徒に示しがつかないし。」
そう言って、ははは、と笑う。
「そうだよなあ。」とイルカも一緒になって笑っていたのだが、ふと思いついて、あるものに、ぽんと変化した。



一斉に変化したイルカに注目が集まる。
「どうした、イルカ?いやに華奢になっちゃって。」
「頭を撫でて抱き上げて頬擦りしたくなるぞ?」
「俺は、ぎゅーっと抱きしめたい。」
皆に注目されているイルカは、子供の姿に変化していた。
それも小さな子供に、である。
「十歳くらいに変化してみたんだけど。」
子供になったイルカは仲間の教師を見上げた。
「俺、十歳くらいに見えるかな?」
「いいや。」と、そこにいた全員は首を振る。
「十歳より下にしか見えない。」
皆、腰を屈めて小さくなったイルカを目線を合わした。



「なんというか誰かに、かどわかされそうな子供だなあ。」
「今のイルカからは、ちょっと想像できない大人しい感じの容姿だ。」
「一見じゃ男の子か女の子か、分からないぞ。」
口々に言われる。
「そうかなあ。」
イルカは、ちょっと不満顔だ。
「俺、この年頃の時、すごく悪戯が好きで悪戯しては、よく怒られていたんだけど。」
「怒りたくもなるが、その後に甘い菓子をあげたくなるな。」
「うん、それはいえる。」
「怒った分だけ、いや、倍くらい何かをしてあげたくなる要素がある。」
仲間の教師は口々に、そう言うが当のイルカは、元々、アカデミーの教師は子供好きなのを知っているので少しくらい言うことが大げさなんだよなあ、と思っていた。
かく言うイルカも相当な子供好きだ。



その時、休憩時間を知らすチャイムの音が鳴り響いた。
「あ、休憩時間だ。」
何事かに気を取られたらしいイルカが、子供のままの姿で教室を出ようとする。
「イルカ、どこに行くんだ?」
「ちょっと用事!すぐに戻るから。」
子供の声で叫んだイルカは、あっという間に姿を消してしまった。
「あーあ。」
仲間の教師たちは顔を見合わせる。
「イルカは、あの格好で、どこに行くんだ?色々、誤解されそうなのになあ。」と溜め息をついていた。




イルカは手に何かを持って大急ぎで、ある場所へと向かっていた。
「確か、今日はカカシさん任務から帰ってきているから控え室にいるはずだ。」
大事そうに手に持っているものを小さい胸に抱きしめる。
「一日、遅くなっちゃったけど・・・。でも折角、買ったんだから渡してみよう。」
そう呟いたイルカの胸の中には飾り気のない包装紙で包まれた小さい箱があった。
上忍の控え室につくとイルカは小さな手で、こんこんとノックをする。
室内から「どうぞ。」と声が掛かり中を覗くと、イルカの知っている人物、三人だけがいた。
カカシにアスマに紅である。
全員、面識のある上忍で中でもアスマには弟のように可愛がってもらっていた。
そして、カカシはイルカを深い繋がりがある。



「失礼します。」
イルカが恐る恐る控え室に入ると片目を大きく見開いたカカシが、じいいっとイルカを凝視していた。
凝視されすぎてイルカは少し恥ずかしくなる。
カカシの手から本が、ぱたりと床に落ちた瞬間、カカシはイルカの目の前にいた。
イルカの目の前で膝を突き、小さなイルカに視線を合わしたカカシは、イルカの薄い肩を掴んで何やら打ち震えている。
興奮しているようにも見えた。
「どっ、どうしたんです!こんな姿で!」
「えっと、その。俺、一応、十歳で・・・。」
「十歳!攫われますよ、俺みたいなやつに!」
「だって、ほら、カカシさん。以前、十歳の俺に勘違いしていたことあったから、本当の十歳の俺を見せに来たんです。」
イルカは、ひそひそ声でカカシに囁く。



カカシに見詰められすぎて恥ずかしくなったイルカは、子供特有の頬を桃色に染めた。
「それに、ほら。昨日、カカシさん、任務でいなかったから、これを渡しに。」
そっと胸の包みを差し出す。
「渡すのが一日遅いですけど、流行の美味しいというチョコを、実は用意していたんです。よかったら・・・。」
「嬉しい!」
カカシは小さいイルカを力いっぱい抱きしめた。
「すっごく嬉しいです!俺、幸せすぎる!」
ぎゅっとイルカを抱きしめて自分の頬とイルカの頬を、すりすりと擦り合わせる。



「あなたの愛を、しかと受け止めました!」
興奮冷めやらぬカカシは子供のイルカを抱きしめて立ち上がった。
抱き上げたイルカに「可愛い!愛しています!」と控え室だと言うのを忘れて連呼している。
余程、感動しているらしい。
「ちょっと・・・。降ろしてください!」
次の授業が始まるから、とイルカが暴れると漸くカカシはイルカを降ろした。
静かに大事に子供のイルカを床に降ろしてから、小さい額にキスを落とす。
「わざわざ、ありがとね。すごく嬉しかったです。また、あとでね。」
カカシに優しく微笑まれてイルカは、ほっとしたように笑ってアスマと紅に、ぺこりと頭を下げると控え室を出て行った。



一連の流れを見ていたアスマと紅は、子供にチョコを貰って浮かれているカカシを呆れたように見ていた。
「カカシ、浮かれるのもほどほどにしなさいよ。」
「そうだぜ、大人なんだからよう。」
どうやら二人は先ほど来た子供がイルカだとは気がついていないらしい。
イルカのチャクラがカカシの幸せ満載のチャクラに掻き消されたのだ。
アスマと紅の言葉は続く。
「子供相手に、愛しています、なんて言っちゃって。あの子が本気にしたら、どうするの?」
「子供をからかうのは、あんまり感心しねえなあ。」
二人は眉を潜めていた。
「だいたい、さっきの子とカカシは二廻り以上、年が離れているんじゃないの?ほとんど、親子の年齢じゃない。」
「それに、最近、カカシは恋人ができたんじゃないのか?それらしいこと言っていたじゃねえか。」
紅に十歳のイルカが、それ以下の年齢に見えると指摘されて、アスマには溜め息をつかれてカカシは困ってしまう。



さっきの子供がイルカ先生だって言った方がいいのかな。
いや、言ったら言ったで大変そうだし。
第一、とカカシは、よくよく考えた。
最初に好きになったイルカ先生が十歳だったと思っていたなんて、俺の思い違いだったとしても、十歳の子供に恋した俺のこと知られたら、なんだか面倒なことになりそうだ。
まあ、イルカ先生が俺の恋人だと言うのはいいとしても、だ。
これは、いつか公表するつもりなので差し支えないが、とカカシは勝手に決めていた。
でも、十歳のイルカ先生のことは黙っていよう。
俺だけの秘密でいい。
大事な秘密だ。



可愛いイルカ先生は永遠に俺のものってことで。
そうしてカカシはイルカに貰ったチョコを大事に大事に、秘密と共に懐にしまったのだった。





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