サングラス
暇つぶしに上忍の控え室にでも行くか、と里中を歩いているとイルカ先生が遠くに見えた。
イルカ先生!と呼ぼうとしたけど、ちょうどイルカ先生は誰かと立ち話をしていた。
俺からイルカ先生の顔はよく見える。
イルカ先生が話している相手は俺に背を向けた形だ。
話している相手はイルカ先生より背が低くイルカ先生が、やたらニコニコとしている様子から見て多分、アカデミーの生徒か元生徒じゃなかろうか。
誰かと話している間に入るのも気が引けてイルカ先生を眺めながら話しが終わるのを、俺は何となく遠くから待っていた。
見ているとイルカ先生は相手から何かを渡されていた。
黒いものだ。
イルカ先生の口元が「いいのか?」と動いた。
相手は頷いたようだ。
するとイルカ先生は、その黒いものを顔に掛けた。
黒いものでイルカ先生の目元が隠れる。
つまり、それはサングラスだった。
イルカ先生はサングラスを自分の顔に少し掛けると外して、相手に返していた。
口が「ありがとう。」と形作られる。
そして相手を二言三言話すと手を振って別れた。
最後にイルカ先生は相手の頭を優しく撫でて。
話しが終わって相手と別れたので俺は、さり気なく近づいて話しかけた。
「イルカ先生。」
「あ、カカシさん!」
イルカ先生が、ぱっと顔を輝かせる。
「どうしたんですか?こんな所で。」
「あー、うん。これから控え室にでも行こうと思って。」
「そうなんですか。俺はお使いの帰りなんです。」
これから受付け所に戻ると言うので途中まで一緒に行くことにした。
でもさ、さっきのことが気に掛かって仕方がない。
サングラスを貸してもらえるほどの仲の生徒って誰なんだろう?
いや、もしかして生徒じゃないかもしれないけど。
すると俺の心を読んだのかイルカ先生が嬉しそうな顔で話してきた。
「さっき、偶然、シノに会いましてね。」
シノ?
あー、蟲使いの。
そういえば、あの子、サングラス掛けてるもんね。
合点がいった。
「近況を聞いて少し話しをしました。」
元気そうで安心しましたけど、とイルカ先生は微笑む。
「アカデミーを卒業した子に会うと、ほっとするんですよね。」
先生の顔で言う。
そっか、それで何かの話しの切っ掛けでシノのサングラスを借りて掛けてみたのか。
そっかそっか、なるほどねえ。
なんか安心した。
で、少し好奇心が出て聞いてみた。
「サングラスを掛けてないシノって、どんな顔なんですか?」
イルカ先生は、ふふふと笑うと「それは秘密です。」と口元に人差し指を立てる。
「内緒。」
その様子がすごく可愛くてときめいてドキドキして。
サングラスを外したシノの顔がどんなのかは分からなかったが。
可愛いイルカ先生を見られたことに俺は密かにシノに感謝した。
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