青春時代 1
「イルカ、俺、すごい発見したよ!」
最近、友達になったカカシが、すごい勢いで俺の元へ来た。
「朝からなんだよ?」
聞いて聞いて、と妙にテンションが高いカカシ。
どうせ碌でもないことだろうと思ったが、とりあえず聞いてみた。
「うん、あのね。」
目をキラキラさせながらカカシは言った。
「青少年の『青』って青春の『青』だったんだよ!」
これを聞いた俺になんて返せと?
カカシは興奮して早口でしゃべっている。
「ねえねえ、すごいでしょ?すごい発見でしょ?イルカ、知らなかったでしょ?」
知らなかったというか、なんてーか。
どうでもいいよ・・・。
すっかりカカシのテンションから取り残された俺にカカシは、はしゃいで言う。
「俺達って今、青少年でしょ、だから。」
だから?
カカシが俺の両手を自分の両手で握りながら言った。
「だから青春しよう!」
それから俺は無言でカカシの手を解くと自分の任務に出かけた。
カカシにも任務があるので勝手に行くだろう。
なんてたって、カカシはあー見えても上忍だし。
本当は、とってもすごいやつなんだけど。
時々、上忍とは思えなくなるのが欠点だ。
それにしても、と俺は任務をしながら思った。
カカシは、どっからあんな情報仕入れてきたんだろ。
いや、どうして思いついたんだろ。
テレビかな?
それとも携帯して読んでいる本からか?
そんなことをつらつら考えていたら、持っていた鎌で手の平をざっくりと切ってしまった。
あーあ。
左手の手の平から血が溢れ出る。
今日は山で芝刈りの任務だったんだよな〜。
担当の上忍の先生が急いできて応急処置をしてくれた。
「見た目より深いから病院に行きなさい。」と指示される。
でもさ。
自分の不注意だったんで。
せめても、と任務が終わってから病院に行った。
病院に行くと「何でもっと早く来なかったんだ。」とお医者さんに怒られた。
そうは言っても。
一応忍者だから怪我や痛みにはなれてるし。
任務あるし。
反論したら「子供のくせに。」と、おでこを弾かれた。
このお医者さん、子供の頃からお世話になってるから容赦ない。
それに手の平を何針か縫われて結構痛かった。
手の平から手首まで盛大にグルグル包帯は巻かれるし。
すごく目立つ。
ちょっと格好悪いかも。
化膿止めと鎮痛剤を渡されて、しっかり飲むように言われた。
それから明後日再診するようにって。
因みに左手なので日常生活には特に支障は無い。
でもなあ。
俺は包帯の巻かれた手を見つめながら。
日常生活には支障ないけど任務には支障があるかも。
任務どうしよう、出来るかな?
少々不安になってきた。
任務しないと収入がないからな・・・。
病院から家への帰り道。
遠くにカカシに姿が見えたので怪我してない方の手で、手を振った。
カカシも任務が終わったんだなって。
「おーい。カーカシー。」
大声で呼ぶとカカシは直ぐに俺に気が付いて。
そして、あっと云う間に俺のところへ来た。
風より早いというやつだ。
すげー速さだな、さすが上忍。
「イルカ!」
カカシが驚いた顔をしている。
何をそんなに驚いているんだろ。
任務で何かあったのかな?
服も、だいぶ汚れているし。
「どどどどしたの?」
でもカカシは俺の包帯だらけの手を見て驚いたらしい。
大きく目を見開いている。
大袈裟だなあ。
「これね、実は。」
カカシがあんまり心配するもんだから。
俺は恥を忍んで、任務中に鎌で手を切った、と言おうとしたら。
「ままままさか、自分で傷つけた、とか・・・。」
カカシの顔が真っ青になっている。
なんか最悪なことを想定してない?
「違うよ。」
直ぐに否定した。
自分で自分に痛いことはしない。
何を思ったのか、急にカカシが俺に抱き付いてきた。
雁字搦めに抱き締めて、抱き締める腕にきつく力を入れてきた。
「ごめん。」
「は?」
「イルカが、そんなに悩んでいるのに気が付いてやれなくて。」
「へ?」
「悩みがあるなら言ってほしかったのに。いや気づくべきだったのに。」
「あの、カカシ?」
「自分を追い詰めて、自分を傷つけてしまうなんて。」
「ちょっと!」
カカシは自分の世界に入ってしまっている。
「ああ、俺の大事なイルカが、なんてことに。」
なんて浸っているけど。
ちょっと待て。
俺、さっき自分で違うって言っただろーが。
話聞けよ!
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