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黄金の秋




市の図書館が夜の十時まで開いているようになり、カカシは仕事帰りに時々寄るようになった。
本を読むのは楽しいし、家への通り道にあるので便利でもある。
おまけに季節は秋で、読書には最適であった。
そしてカカシのように考えるものもいるのか、夜の図書館は結構混んでいて利用者が多い。
家に帰っても暇なことだし、カカシは図書館で時間を潰すことが、段段に多くなっていった。
仕事で忙しく愛読書以外は本を読むことなどないカカシにとって図書館はいい刺激になる。




何度か通うと自ずと見知った顔も出てきた。
あくまで他人だが。
相手はカカシのことを知っているかは分からない。
しかし気になる人がいるのだ。
その人物は黒髪を首元で一つに結い黒縁の眼鏡をかけて、よく見ると顔を横切る傷が鼻の上にある。
若いから大学生かそこらだろう。
彼は個人ブースの机に座り、いつもノートと教科書を広げている。
勉強しているようだ。
彼、そうカカシの気になる相手は同性で、どこからどう見ても男だった。




何でかな〜?
カカシは自問自答する。
そりゃ、今、付き合ってる人間はいないけど気になる人が男?
男は無理じゃないかなあ。
そんなことを思いながら、その彼の見える位置で本を読む自分は何なのだろう。
本を読みながらも、いや、読んでいるふりをして気になる人物を盗み見た。
カカシが見ている、その人は眉を顰めながらレポートのようなものを書いては消し、書いては消しを繰り返している。
困り顔も可愛いな。
ほわんとなったカカシは、はっとする。
今、可愛いって?
ちょっと、待て、可愛いって何よ、可愛いって。
男を好きになるってどうなの?
自分で自分に確認する。
そうだけど、でも。




いいじゃん、しょうがないじゃん。
気になるんだもん。
あ、そうそう。案外話してみたらさ、普通の友達になれるかも。
カカシは一人で納得する。
そうしよう。
途端に気分がウキウキした。
なんて、言って話しかけようかな。 切っ掛けって大事だよね、第一印象は良くないと。
そっから交際がスタートしたりしてさ〜。
俺の車の助手席に乗ってくれたりして、そこが彼の指定席になって。
週末は俺んちにお泊りしてくれて、いやいやいや、一緒に住んで「お帰りなさい。」とか「行ってきます。」って言っちゃったりして。
更に関係が進んで「今日は仕事遅い?」「ん〜、早く帰るよ。」、そしてチュッとかね。




もはや、カカシの想像は友達の域を逸脱して違う路線に入ってしまったのだが。
カカシが気づくことはなく。
図書館で一人幸せオーラを撒き散らしていた。







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