俺だった!
「いいなあ〜。」
一緒に買い物に出たカカシさんが女の子や女性を見て羨ましそうにしている。
羨ましそうに指を銜えて見ている。
どうリアクションを取ったものか分からず、俺は黙っていた。
女性を見て、いいなあって言うことは、つまり、アレだよね。
アレなんだけど、言葉に出すのが怖い。
まさか、こんな急に来るとはなあ、覚悟は一応していたけど。
ぐらぐらと揺れている俺の横でカカシさんは暢気に言っている。
「女の子同士や女性同士って手を繋げていいですね〜。」
そうか、女の人と手を繋ぎたいのか。
やっぱ、俺とじゃなあ、体面もあるし。
幾ら恋人同士でも男同士だから外では自重すべきだし。
きっと、そんな関係にカカシさんは疲れたんだ。
ここは、俺が譲歩して、いや譲歩ってのも変だけど。
こう、何だろ、身を引くしかないのか。
・・・・・・ないんだろうな。
心の中で盛大に溜め息をついてから、カカシさんに言った。
勿論、笑顔で。
思っていることなんて悟らせないように。
「カカシさん。手を繋いで・・・いいですよ。」
「ホント?」
俺の言葉を聞いてカカシさんは、ぱあっと顔を輝かせた。
実に嬉しそうに。
「ええ。」
笑顔だけど、やっぱり哀しくなる俺。
「イヤじゃないの?」
カカシさんは俺の顔色を見てくる。
そりゃ、本当は嫌だけど。
仕方ないじゃないか。
「いいんです・・・よ。」
可愛い女の子の方がカカシさんには似合うしね。
存分に心おきなく手を繋いで。
幸せになってください。
万感の思いを籠めて見つめたら。
「じゃ、遠慮なく。」
手を繋いだ、俺の手と自分の手を。
「え?」
「嬉しいなあ、イルカ先生、外で手を繋ぐの嫌そうだったから。」
俺と手を繋ぎたかったのか?
目を丸くしているとカカシさんが不審そうにする。
「イルカ先生?もしかして、俺が他の誰かと手を繋ぎたいと思ってると思った?」
ずばり、そのものだったけど。
「ま、まさか〜。」
首を横にブンブンと振る。
「ふーん。」
カカシさんは眇めた目で俺を見た後「後でしっかりと聞きますからね。」と念押しした。
とりあえず、今は大丈夫そう。
ほっと一安心。
でも、俺と手を繋ぎたかったのか、そうだったのか。
こちらも、真相が知れてほっと一安心。
「俺はね〜、女の子同士って手を繋いでも何も言われないのがいいなあって言ったんですよ。」
男同士だと、どうしたって変に見られるから、とカカシさん。
「でも、イルカ先生がいいって言ったんだし。これからもじゃんじゃん、外で手は繋ぎましょうね。」
ニコニコしながら有無を言わせないカカシさん。
ちょっとカッコいいと思ってしまう俺。
「はい。いいですよ。」
別の意味で覚悟を決めた俺だ。
カカシさんが俺を選んだんだから、俺もカカシさんを選ぶさ。
可愛い女の子より、俺と手を繋ぎたいって言ってくれてるんだから。
次の日。
お約束のように。
紅先生から「ラブラブね〜。」と言われ、アスマ先生から「ほどほどにしろよ。」と言われて。
少し恥ずかしかった。
text top
top