AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


同じくらい




カカシ先生と付き合う前の話だ。




明日が休みだという日の晩は大抵、飲みに行っていた。
ある日、飲みに行ったらカカシ先生に聞かれた。
程よく、お酒も回り砕けた雰囲気になった時に。


「イルカ先生、もし、恋人がいたら何をしてあげたいですか?」


結構親しい間柄になっていたし、時には突っ込んだ会話とかもしていたので、聞かれた内容に特に疑問は持たなかった。
ただ、この手の話は俺が苦手だったので避けがちだったのだ。
この時も俺は上手く答えが浮かばず、尚且つ答えにくいものだったので切り返した。
「カカシ先生は恋人に何をしてあげたいんですか?」
俺が逆に質問するとカカシ先生は、ふふふーと意味ありげな笑い方をする。
「あのねー。」
内緒話でもするようにカカシ先生は俺の耳元に口を寄せた。



「すっごく愛しちゃう。」



その声は低く響いて、甘い雰囲気を漂わせた。
男の俺が、思わず口説かれているんじゃないかと錯覚を起こすほどの。
魅惑的な囁きだった。
俺は多分、二秒くらいは固まっていたはずだ。
はっと気づいて、急いでカカシ先生から体を離してグラスに残っていたお酒を一気に煽った。
俺に言ったわけじゃない言葉に、胸がどきどきしてしまう。
何だこれ、恐ろしいほどの破壊力じゃないか。


こんなことを、さらりとカカシ先生はできるんだ。
これなら、何時でも何処でも誰でも直ぐにでも恋人ができるよな。
何時でも恋人が出来る余裕があるから、俺と気軽に飲みに来たりしているのかなあ。
すごいなあと素直に驚嘆してしまう。
気持ちが落ち着いてきたので、カカシ先生は、と見ると、ずっと俺のことを見ていたらしく口元に笑いが残っていた。
嫌味な様子も見せずに、そんなところも格好いいなんて。
なんなんだ、この人は。


「で、イルカ先生は?」
カカシ先生がさっきの話を蒸し返した。
「イルカ先生は恋人に何をしてあげたいの?」
「ええと。」
カカシ先生は顔は笑っているけど目は思いの外、真剣だった。
無駄に男前だ。
俺相手にそんなにカッコよさを強調しなくてもいいのに。
答えることに照れくささを感じ、カカシ先生から視線を外して答えた。


「俺は、その。カカシ先生のようにはいきませんけど、愛されたら同じくらい気持ちを返したいです。」


「そっか。」
カカシ先生は、俺の答えを聞くと満足そうに頷いた。
妙に嬉しそうに。
そして言った。
「イルカ先生の恋人になる人は幸せだね。」って。






それが今は、だ。


「イルカ先生、行ってらっしゃーい。」
今日は俺が仕事でカカシ先生はお休みの日だ。
カカシ先生が出勤する俺の見送りのために玄関まで来て両腕を広げている。
これは、つまり・・・あれだ。
行く前の、あれ。



俺は遠慮がちにカカシ先生に近づいて腕の中に収まった。
そっとカカシ先生の体に腕を回す。
ぎゅっと抱き締められて抱き締め返す。
帰ってきた時も勿論、同じ事をして。
起きた時も寝る前にも同じ事をして。
どんな時にも抱き締められて。



つまり。
カカシ先生に、すっごく愛されちゃっているわけだ。
まさか、あの時はカカシ先生とこんな関係になるなんて夢にも思わなかったけど。
今は、この関係以外は考えられないくらい愛されている。
なんて幸せなんだろう。




ただ、まあ、ちょっとだけ後悔しているのは。
愛されたら同じくらい返すではなく、半分くらいにしておけばよかったかな、と。
・・・これは俺にしか分からないことだけど。



カカシ先生の愛って、すごいんだよね!







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