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お茶の味



「あ、イルカ先生。」
会議室の扉を開けたカカシはイルカが、そこにいるのに驚いた。
「あれ?俺、場所を間違えたかな?」
カカシは、上忍での会議ということで招集されて嫌々、会議室まで足を運んできたのだ。


「カカシさん。」
イルカは、にっこりと笑った。
「上忍の会議にいらしゃったんでしょう?ここで場所は合っていますよ。」
「あ、そうなんだ。」
カカシは指定された席に着きながらイルカに話しかける。
「イルカ先生は、どうしてここに?」
中忍のイルカは、この会議には出席しないはずである。
「あ、俺ですか?」
イルカはお茶の葉を急須に淹れながら答えた。
「ちょうど、時間が空いていたので五代目に会議でのお茶の用意をしてほしいって頼まれたんです。」


「五代目の分だけ?」
カカシは自分の分もイルカにお茶を淹れてほしい、と思いながら、五代目だけならずるいなあと多少の嫉妬も含み尋ねた。
「いいえ。」
イルカは首を横に振った。
「会議に出席される上忍の人数分、淹れて配ってほしいって言われました。」
「ふうん。」
カカシは、ちょっとだけ面白くなかった。
会議に出席する全員がイルカの淹れたお茶を飲むのかと。
たかがお茶、されどお茶だ。
たくさんの湯のみ茶碗を手早く並べると、イルカは一つ一つの湯飲みに最初に湯を注いで、湯飲みを温めた後に丁寧に茶を注いでいく。


「そろそろ、皆さん、集まる時刻ですから注いでおいてもいいですよね。」
「そうね。」
「はい、カカシさん、どうぞ。」
イルカは一番最初に淹れたお茶をカカシに渡してきた。
「ありがと、イルカ先生。」
「どういたしまして。」
イルカの笑顔に、カカシも笑顔を返してお茶を一口飲む。
「すっごく美味しいです。」
「そうですか、よかった。」


安心したようにイルカは言って、会議室に集まり始めた上忍たちに淹れたお茶を配りに回り始めた。
「どうぞ。」とイルカがお茶を配り、そこかしこで「ありがとう。」「すまんな。」と声がして、次に「美味しいお茶だな。」「イルカが淹れると美味い。」などの声が聞こえる。
それを目で追いながらカカシは、なんとなくイライラしてしまった。
はっきり言って、かなり面白くない。


イルカの淹れたお茶が美味しいのは本当だろう、でもね、とカカシは心の奥底で思った。
それを知っているは俺だけでいいのに。
湯飲み茶碗の縁を、がじがじと噛みながらカカシは、そんなイルカを見ているしかなかった。
そして会議が始まり、イルカはお茶のお代わりを淹れるためにか、会議室の隅で邪魔をしないように待機して、お茶のお代わりが欲しい者に、そっと注いでいた。
イルカがお茶のお代わりを注ぐと、注がれた者はイルカを目を合わせて「ありがとう。」と声には出さず口で形を作り礼を述べている。
それは妙に気の合った者同士の仲のいい光景にカカシには見えた。


何度目か、その光景を目にしたカカシは、がたりと椅子の音を立てて立ち上がった。
「ちょった、待ったああ!」


「ん?カカシ、どうした?今の意見に意義ありか?」五代目が聞かれカカシは、びしっとある方向を指差した。
「あれです!」
「どれだ?」
「あいつは、お茶のお代わり三杯目です。あいつとあいつは二杯目で、あいつなんて四杯も飲んでいますよ!」
「・・・・・・だから?」
呆れように五代目は溜め息をついた。


「カカシ、お前、会議の話なんて、ちいーっとも聞いていなかったんだね。大方、イルカのことばかり目で追っていたんだろう?」
「そりゃあ。」
悪びれることなくカカシは言い切った。
「気になる人が同じ部屋にいたら、一瞬も目を離さず、じっと見てしまうものですよ。それが男心っていうか、恋愛の心意気ってやつです。」
カカシは、なんだか威張っている。
「お前ねえ。」
更に深い溜め息を五代目はついた。
「まあ、分かったよ。イルカがいなけりゃカカシは会議に集中するんだね。」
「え?」
ふと会議室を見回すとイルカの姿は消えていた。


「あれ?イルカ先生は?」
「カカシの演説が始まった途端に、何かを察知したのか逃げていったよ、会議室から。」
「えええ〜。」
「お前が悪いんだろ。」
五代目はカカシに、びしっと言ってから、にやりと笑って楽しげな顔になった。
「会議室から出て行く時、イルカの顔は真っ赤になっていて可愛かったよ。」


その後は会議は恙無く終わったのだが、五代目の会議室退出時のイルカの様子を聞いたカカシが、そのイルカを見れなくて非常に悔しがったらしいという伝説だけが残ったのだった。




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恙無く=つつがなく