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謎究明



物事というのは後々になってから、それがどういう意味を持つのか分かるものである。
その時は、謎であっても、である。
だから。
だから俺は今、やっていることに疑問を持つことはしない。
だって必ず意味があるのだから。




「あの、畑上忍。」
今、自分がテーブルで向かい合っている人物が声を掛けてきた。
テーブルには見た目も綺麗な料理の数々。
全部俺が作ったものだ。
俺は無視して、鯖の味噌煮を箸で削ぎ、口に運んだ。
旨い、いい味だ。
「あ、の!畑、上忍!」
俺が無視するので今度は、もっと大きな声を出してきた。
更に無視して、次にサーモンのマリネを口に運ぶ。
これも美味しい。
「ちょっと!聞こえてるんでしょ!」
更にパワーアップした大声に俺は、ようやく相手の方を向いた。
俺は片眉を吊り上げ、静かに言った。
「今、ご飯中でしょ。早く食べなさい。」
ぐっと相手は押し黙った。
口を動かし始めて、目だけで俺のことを睨んでいる。
でも、料理が美味しいのか時々顔に笑みが浮かんでは、慌てて引っ込めるというようなことを繰り返している。
面白い、この人。



因みに、この人とは海野イルカのことである。
ナルトの元先生で、今もナルトを始め元生徒に惜しみない愛情を注いでいる。



で、話は戻るけど、ここは食卓で。
しかも、俺んち。
食事を作ったのも俺。
今は夕飯時。
明日は休みなので、イルカ先生は泊まっていくことになるだろう。
そして、明日の朝は俺の作った朝食を食べることになるはずだ。
とはいっても。
別にイルカ先生と親しくはあるが、特別な関係ではない。
じゃあ、なぜ、一緒に飯など食べているのか。
それは俺にも解らない。




食後のお茶を飲みながら、イルカ先生は眉を顰めて俺を見ている。
「あのですね、畑上忍。」
「何で、カカシ先生はやめたの?この前まで、そう呼んでいたじゃない?」
「それは、不適切でしたので改めたんです。」
「ふーん。」
「それより、俺が聞きたいのは、どうして最近、俺がカカシ先生の家で飯を食べているかということです。」
「あ、戻った。」
呼び名が。

ちょっと、嬉しくなった。
「え?えっと、畑上忍と、俺とは何も関係ないのに。」
「そうかなあ。」
「そうです。」
イルカ先生の首が強く縦に振られる。
前は、そんなこと言わなかったのに。
どうしたんだろう?




「でもさあ。気になるんだよね。」
「はい?」
イルカ先生が首を傾げて聞いてきた。
「何がですか?」

「ほら、あんた、この前の一緒の任務の時に俺を庇って負傷したでしょ。」
「いいじゃないですか、俺が庇える位置にいましたし。」
「前に俺が風邪を移した時、肺炎になって入院したし。」
「運が悪かったんです。」
「たまたま、任務の帰りが一緒になった時に敵の襲撃受けたら、あんた、毒受けて意識不明になったし。」
「新種の毒でしたから、解毒が遅れたんですよ。」
「俺が頼んだ資料探しに書庫に行ったら、書籍の雪崩に埋もれて全身打撲したし。」
「ああ、あれは日頃から書庫の整理整頓をしてないからですよ。」
「ご飯食べに行ったら俺が、ちょっと目を離した隙に酔っ払いの喧嘩の仲裁に入って、とばっちり受けていたし。」
「まあ、喧嘩してたの一般人同士で忍者じゃなかったですしね。」
イルカ先生の災難を思い出すと、段々、何かが見えてくるような気がした。



「自分の部屋で寝てたら電気代節約のために暖房消して寝て、朝方凍えそうになってるし。」
「だって、暖房代高いんですよ。」
「朝、行ってみたら、ふりかけご飯か玉子かけご飯しか食べてないし。」
「朝は忙しいんです。」
「夜は夜で、一人だとラーメンでしょ。」
「好きなんです。」
「好きだからって・・・。」



好き?


ピカッと、俺の心の中で何かが光った。
その言葉が俺の心の琴線に触れたようだ。



「解りました。」
俺は茶を飲み干し、一息ついた。
「何がです?」
同じく、茶を飲み干すイルカ先生。
「これまでの、謎は全て解けました。」
「謎?」
「そうです。」



俺が何故、イルカ先生を自分の家に呼び手作りご飯を食べさせて、自分の家に泊まらせるか。



身近に、目に届く範囲に置いておかないと心配だからだ。
しょっちゅう、怪我してるし。
損してるし。
寒そうにして寝てるし。
食事は偏ってるし。



でも、俺の家にいれば。
怪我はしないし、怪我しても直ぐに手当てできるし。
暖房はいつも入ってるから暖かくして寝れるし。
食事も俺が作ってやれば偏ることもない。



俺は、お茶を入れ直してイルカ先生に渡した。
次いで、さっき思い至ったことを説明する。
するとイルカ先生の眉が益々顰められた。
「何で、好きって言葉がキーワードになったんです?」
「え?」
「好きって言葉から何で、そこまで推理できるんです?」



そう言われてもねえ。
解らないことを、俺は咳払いで誤魔化すことにした。
「まあ、いいじゃないですか。とにかく、俺の家にいて俺の傍にいれば。」
「意味が分かりません。」
俺もだけど。
まあ、意味なんて後から見えてくるものさ。
そうそう、そういうことで。
まあ、いいじゃないか。



いろいろと謎は残っているけど、解るまでイルカ先生には俺の傍にいてもらおう。



そういえばだけど。
急にイルカ先生が俺のことを畑上忍と呼んだり、俺とのことを関係ないと言い始めたのは、俺といることで周りから、なんやかや言われていたらしい。
噂されるのは嫌なものだし、そういうのは俺からきっちり説明しておいた。
イルカ先生が俺の傍にいられるようにね。







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