仲良しなだけ
ある日のこと。
上忍の控え室で待機しようと部屋の前まで行くと部屋の中に気配が二つ。
二人の人間が部屋の中にいる。
それは良く知る人物達のものだが、ひどく気配が乱れていた。
そして部屋の中から聞こえる声。
「駄目ですよ、アスマ先生。」
「いいだろ、どうせ言わなきゃ分からないんだ。」
「そんなことありません。絶対にばれてしまいますからっ。」
「まあまあ、大丈夫だって。な、イルカ?」
そう、上忍の控え室の中にいるのはイルカ先生とアスマだった。
二人は何やら揉めている。
どうしたんだろ、珍しい。
それにばれるとか、ばれないとかって何だ?
話の内容から不穏が漂ってきている。
アスマが何か悪いことを企み、それを知ったイルカ先生が阻止しようとしている感じだ。
俺もイルカ先生に加勢した方がいいのか・・・。
「なーにしてんの?」
とりあえず俺は上忍控え室に乗り込んだ。
そこでは。
「カカシさん!」
「おう、なんだよ。」
アスマはイルカ先生の手首を掴んでいる。
だが俺が心配しているような理由で手首を拘束しているわけではないのは見てとれた。
なぜなら、イルカ先生の手にはアスマが普段吸っている煙草が握られていて、
それをアスマは奪い取ろうとしていたのだ。
イルカ先生は煙草をアスマに取られないように抵抗して。
煙草の取り合い?
いったい、何をしてるんだ?
「何してんの?」
俺は気が抜けてしまった。
イルカ先生が言う。
「何ってアスマ先生が煙草を吸おうとしているから止めているんです。」
「一本だけだって。」
「駄目です、禁煙中でしょう?」
ああ、禁煙してるんだ、へえ〜。
「だってアスマ先生、紅先生と禁煙をどれくらいの期間できるかって賭けしてるじゃないですか?
ここで吸ったら負けですよ。」
「あいつは任務で里にはいないから、ばれないって。」
「ばれますよ、お互い忍なんですから。」
「お前がしゃべらなきゃ平気平気。」
「平気じゃありませんって。」
二人の掛け合いをのんびり見守る。
なーんだ、不穏でもなんでもなかったよ、心配して損した。
イルカ先生とアスマは結構、仲が良くて気が合っている。
だからイルカ先生はアスマの心配しているだけで。
イルカ先生は俺の大事な人で想いは通じ合っているから心配することはなにもなくて。
この二人は仲良しなだけで。
そう、それだけなんだけど。
とはいえ、これ以上、イルカ先生がアスマとくっ付いているのを見ているのは何だか癪だし。
どたばたしている二人に近寄り、イルカ先生の手から煙草を奪い取ってアスマに渡す。
「サンクス、カカシ。」とアスマは、にやりと笑った。
「あああ、駄目ですって。」
イルカ先生が悲愴な声を出したけど。
まあ、いいじゃん。
賭けなんて俺には関係ないしさ。
もちろん、イルカ先生にも関係ない。
「イルカ先生、いいんですよ〜。気にしなくて。」
にっこり微笑んで、イルカ先生の頭を優しく撫でた。
後日、噂によるとアスマは紅との賭けに負けたらしい。
やっぱりね。
そして大後悔しているらしい。
あの紅じゃあねえ。
やめときゃいいのに賭けなんて
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