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仲良し



夕暮れ時、家路を歩いていると、里中で見慣れた後ろ姿を発見した。
頭の天辺で結っている後ろ髪が、風に吹かれて揺れている。
そう、あれはイルカ先生だ!
俺が見間違うはずがない。
だってイルカ先生は俺の最愛の人だから。



だから里中で偶然、発見したイルカ先生に俺は喜び勇んで声を掛けようとした。
イルカ先生ー!と叫んで呼び止めようとした時に俺は、ふと気がついた。
イルカ先生の両隣に誰かいる。
二人とも腰まである長い黒髪で、一人はイルカ先生より少しだけ背が低く、一人は更に背が低い。
誰だろう?
イルカ先生は時折、左を向いたり右を向いたりして、盛んに話をしている。
その表情は楽しげだ。



俺は声を掛けるのを止め、うーんと考えながら、イルカ先生の跡をつけていった。
イルカ先生の両隣の二人の人物の長い黒髪が夕日を浴びて輝いている。
艶やかな長い黒髪・・・。
なんとなく女性をイメージさせるものがあるなあ。



黒髪ねえ。
イルカ先生は普段、髪を結っていて分からないけど髪を解くと意外に長く、その黒髪は手触りがよく、さらさらなのだ。
その触り心地は俺しか知らないと思うけど。
艶やかさというのならイルカ先生の黒髪も負けてないよな。
俺はイルカ先生の髪の手触りを思い出して一人、にやりとしてしまった。
幸い、にやりとした顔は覆面で見えなかったけど。
こういう時、覆面て便利だよね。
思い出し笑いしても、ばれないし妄想に浸って顔が、にやけていても分からないし一石二鳥だね!



とかなんとか、俺が考えているとイルカ先生が立ち止まった。
その時、イルカ先生の両脇の二人も立ち止まり、顔が見えた。
あれは・・・。
その二人を俺は知っていた。
日向の家のネジとヒナタだった。



ネジとヒナタは何事か、イルカ先生と話している。
ヒナタは、はにかんで恥ずかしそうにだが笑っていて、ネジも穏やかな顔をしている。
よく見ると微笑んでさえいた。
イルカ先生はネジとヒナタと仲がいいのかな・・・。
ちょっと寂しいような、嫉妬のような気持ちが湧き上がるが、そんなことをしていては切りが無い。
だって、あの人は生徒となら誰とでも仲がいいし、生徒の方もイルカ先生を信頼している。
その間に俺が割って入る隙はない。



でも、いいんだ。
俺は自分を慰めた。
イルカ先生は俺の最愛の人で、今はお互いに想いが通じて、幸せいっぱいなんだもの。
だから大丈夫。



「カカシさーん!」
ほらね、イルカ先生だって俺のこと「カカシさん。」って親しげに呼んでくれるし。
呼んで・・・?
え、と顔を上げるとイルカ先生が俺を見つけて手を振っていた。
「イルカ先生。」
声を掛けられた俺は、いそいそとイルカ先生の傍に行く。



ヒナタが俺に頭を下げて挨拶したのに対してネジは俺を、ちらりと見ただけだった。
イルカ先生と俺との、その態度の差はなに?
そう思ったが、ここで怒るのも大人気ないので、ぐっと我慢する。



「じゃあ、私達はここで。」
ヒナタがイルカ先生に、さよならと挨拶をして手を小さく振る。
ネジもイルカ先生に頭を下げて、おまけのように俺にも頭を下げた。
軽くだけど。
「ああ、じゃ、またなー。」
イルカ先生もヒナタに手を振り返して、ネジとヒナタは去って行ってしまった。



去っていった二人を見送るとイルカ先生は俺の横に並び、俺はイルカ先生と家に向かって歩き始める。
歩きながらイルカ先生が話してくれた。
「ネジとヒナタは、二人で夕飯の買い物に来たそうですよ。」
そういや、二人とも両手にたくさんの荷物を持っていたな。
俺は今更ながらに思い出した。
「二人とも仲がいいですよね。」



イルカ先生は何かを思い出しているのか、遠くを見るような目で言う。
「一時は、あの二人・・・。」
ネジとヒナタのことだろう。
「どうなることかと思いましたが仲が良くなってよかったです。安心しました。」
ほっとしたような笑みを見せる。
イルカ先生は生徒のことを、いつまでも心配してしまうんだなあ。
例え、アカデミーを卒業しても。
先生だから、この人は。



「ネジとヒナタって仲良しで・・・。」
ひょいとイルカ先生が、何気に隣の俺を覗きこんできた。
「まるで俺たちみたいですね。仲良しですもんね、俺たちも。」
そして、目を細めて嬉しそうに笑う。
その顔は可愛かった。
「あ・・・。ああ、そ、そうですね。」
突然の出来事に、不意打ち喰らった俺は狼狽えてしまう。



イルカ先生、なんて可愛い顔を見せるんだ。
胸が、どきどきするじゃないか。
俺たちが大の仲良しだなんて!
そう言ってもらえて幸せすぎる俺。



今は、もう冬で寒い北風が、ぴゅうぴゅう吹いていたけれどイルカ先生の一言で俺の心は小春日和のように、ふんわり暖かくなったのだった。



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