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あなたの優しさ



「露天風呂・・・」
寝る前にテレビを見ていたらイルカ先生がぽつりと呟いた。
露天風呂・・・は今見ているテレビに映っている。
それを見てイルカ先生は呟いたのだ。
「温泉いいですよねえ」
そう言うイルカ先生はかなりお疲れ。
連日連夜の激務で疲労マックスだ。
温泉に連れていって、ゆっくり疲れを癒してあげたい。
と思ったらイルカ先生は別のことを考えていたようで。
俺を見て言った。
「カカシさんの怪我、温泉で養生したら早く治りますかね」
───俺のことを気にしてくれていた。
まあ、ぶっちゃけると俺は先日の任務で大怪我をして入院して、漸く退院したものの現在自宅療養中。
怪我は主に両腕に集中していて少し不自由。
腕が思うように使えないからイルカ先生に迷惑を掛けながら生活して、尚且つ世話をしてもらっている身だ。
イルカ先生、仕事で忙しいのにこまめに俺の面倒を見てくれる。
「こんなのどうってことないですよ〜」と笑顔で。
そんなイルカ先生を見ていると何ていうか・・・。
大変申し訳ない気持ちになってくる。
俺が怪我なんてした所為で、そのシワ寄せがイルカ先生に行ってしまうなんて。
声に出ていたのか「まあまあ、そんな深刻に考えずに」と聞きつけたイルカ先生が俺の前に茶を置いてくれた。
湯飲みから立ち上る湯気があったかそうで。
そして何よりイルカ先生の心遣いがあったかい。
「すみません」
「謝らないでくださいよ」
にこにこ笑うイルカ先生。
「怪我しているんですから、いっぱい俺に甘えてください」
気兼ねせずに何でも言っていいんですよ〜とイルカ先生は俺に甘い。
甘すぎる。
激甘だ。
「カカシさんが退院できて俺はとても嬉しいんですから」
本当に嬉しそうに笑う。
「そ、うですか」
「そうです!」
イルカ先生はにこにこ。
「でも、俺・・・」
迷惑かけてばかりでと言おうとしたのを察したのかイルカ先生が明るく言った。
「今日の夕飯何がいいですか」
「・・・秋刀魚の塩焼きと茄子の味噌汁」
「了解です!」
結局はイルカ先生に甘えてしまう俺だった。



次の日。
イルカ先生は「今日は遅くなりますから夕飯、先に食べていてくださいね」と出勤していった。
今日はって昨日も遅かったよね、確か。
忙しいのに朝飯も作ってくれて、一人で家に居る俺だけが食べるための昼食作ってくれて、おまけに夕飯も。
何から何まで至れり尽くせり。
優しいなあ、イルカ先生・・・。
そして、やっぱり罪悪感。
そこまでしてくれなくても俺も一応、大人だから怪我をしていても一人で何とか日常生活は過ごせる、んだけど。
でもイルカ先生に構ってもらえる嬉しさってのもあって。
「俺って駄目なヤツ」
イルカ先生が作ってくれた昼のご飯を食べながら俺は、ちょっと自己嫌悪に陥った。
それでも作ってもらった昼食はちゃんと食べた。
イルカ先生の愛情たっぷりで美味しいなあと思いながら。



「カカシさん、ただいま!」
その夜、イルカ先生は珍しく早く帰ってきた。
遅くなるって朝、言っていたのに。
ほんと珍しい。
お陰で一緒に夕飯が食べられるから嬉しい。
「お帰りなさい、イルカ先生」
「カカシさん!」
帰ってきたイルカ先生は何やら興奮気味。
顔が上気し目がキラキラ。
どうやら良いことあったらしい。
「これ、見てください!」
カバンから取り出したのは何かの粉末が入った瓶。
サラッとした感じの毒々しいオレンジ色のような朱色のような粉。
・・・・・・毒?
「何ですか、それ」
とりあえず訊くとイルカ先生は、ぱああっと顔を輝かせた。
何ていうか「見て見て!すごいでしょー!」みたいな顔でかわいい。
「こ、れ、は!」
ばばぁーんとイルカ先生が小瓶を俺の目の前に突き出した。
「温泉の素です!」
「温泉・・・の素?」
素っていうとあれだ。
自宅の風呂に入れると風呂の湯が温泉成分を含んだ者になって、ほんのり温泉気分を味わえるという優れもの。
前にも買って使ったことがある、イルカ先生が温泉好きだから。
だけど目の前の温泉の素は買ったことがあるものとは、かなり違う・・・感じがする。
いったい何だろう。
少しばかり不安になる。
「効能は疲労回復は勿論のこと、傷や怪我にもその他諸々にもよく効く万能の温泉の素です!」
「はあ」
なんか不安・・・。
で、俺はイルカ先生の勢いに押されるってか飲まれている・・・。
「すごいでしょう!特別に火影さまが調合してくださったんですよ!」
「火影さまって」
「綱手さまです!」
木の葉の里の長で医療の最高峰である五代目火影の綱手さま。
医療の分野では天才である彼女は、それとは別に奇抜なことを考える天才でもある。
っていうか、仕事をするのが嫌でそういうのに逃げてる節があるんだけど。
「唐辛子や生姜や大蒜、その他諸々の生薬やらの成分がたっぷりと入っているそうですよ」
唐辛子と言われて粉の色に合点がいった。
その色は唐辛子の色だったのか〜。
でも生姜や大蒜って料理みたいだな・・・。
「早速、今夜からお風呂に入れてみましょう!」
イルカ先生はワクワクしている。
「そうですね・・・」
なんだか辛そうな温泉の素だなあというのが俺の感想だった。
ついでに本当に効くのかなあとも。
で、火影さま特製の温泉の素を入れて何日か風呂に入ってみたら効果覿面。
ものっすごっく効いた。
びっくりー。
火影さまって、やっぱりすごかったんだー。
こんなすごい温泉の素があったら、本物の温泉に行かなくてもいんじゃないのと思ったくらいだ。
ともあれ、イルカ先生の疲れもとれて癒されたみたいだったから本当によかった。





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