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good looks



カカシが里に帰ってきて、なんとなく、なんとなく目に付く人がいた。
その人はカカシがよく会う人たちを一緒にいたから目に付いたのかもしれない。
例えば髭の同僚のところへ、よく顔を出す。
「アスマさん!」
とっても親しげに名を呼び、笑顔を向けている。
その笑顔がカカシには、とっても眩しく映った。
カカシも傍にいるものだから、一応、礼儀上、挨拶をしてくれるが微笑んでくれる程度だ。
それでもカカシの目には眩しく映る。
アスマ、と名を呼ばれた同僚とその人は長い付き合いのようで、酒を共にしたり食事をしたりしているようだった。
羨ましい。
その人が髭の同僚に懐いているのが、よく分かるのがまた癪に障る。
俺だって、その人と親しくしたいのに!
また、ある時は里長に呼ばれて行ったときにその人はいた。
里長とは木の葉の里で一番偉い人だ。
三代目になる。
もちろん、カカシは任務の命を受けるために行き、その人は里長の仕事を手伝っていたのだが・・・。
その光景が、またまたカカシには癪に障った。
髭の同僚に負けず劣らず、親しげだったのだ。
里長も、その人が可愛いようで笑みを絶やさない。
俺だって可愛いと思っているのに!
そんな理由で気が付いたの時にはカカシは、その人のことが好きなっていた。
あの笑顔を俺にも向けてほしい。
そう願わずにはいられない。
その人の名を、うみのイルカと言う。



イルカの笑顔がほしい。
自分だけのイルカの笑顔。
毎日、そう熱望して止まない日々が続いている。
カカシは決心した。
イルカに告白してみよう。
無論、好きだということを。
好きの種類は恋愛を含むものでイルカには考えられないものかもしれないが、それは承知の上だ。
イルカを諦めきれない。
というより、イルカと特別な関係を築きたい。
カカシは寝ても覚めても、そんなことを考えていた。
これは、もう恋だろう。
告白しよう、そうしよう。
だけども・・・とカカシは考えた。
失敗したくない。
絶対に告白をイルカに受け入れてもらいたい。
告白前にイルカの好みをリサーチしてみよう。
少しでも自分の有利に進むようにしたい。
悪あがきだった。



「んで?」
目の前の髭の同僚はタバコをふかしながらカカシの話を聞いていた。
「何を聞きたいんだ?」
「イルカ先生が好きなタイプとか好きな感じは、どういう人かってことだよ」
「どうって言われてもなあ」
髭の同僚は目の前の酒を飲み干した。
今日はカカシが奢るという名目で飲みにきている。
イルカの情報を得るために、これくらいの出費は看過しなければならない。
「今、恋人はいないんだろ」
確認しておく。
「ああ、そういう話は聞かねえなあ」
同僚は酒を、ぐびぐびと飲み干している。
先ほどから追加注文が絶えない。
「なんたってイルカは奥手だからなあ」
思い出したように言う。
「奥手・・・」
そう言うからにはイルカは恋愛に余り興味がないのだろうか。
「告白されても気がつかねえことが過去に数回」
「・・・告白」
告白されていたのか、とカカシの眉間の皺が深くなる。
結構、ライヴァルが多そうだ。
あ、ライヴァルじゃなくてライバルね。
心の中で、そっと訂正して髭の同僚の話を聞く。
「おまけに何故かイルカの告白する前に玉砕して失恋する者多数」
イルカは中々、手強そうだ。
「おまけのおまけで、未だにイルカを吹っ切れなくて未練がましくイルカを追っかけているやつ無数」
カカシは知らなかったがイルカは人気があるらしい。
「そんな感じだな、まあ」
髭の同僚は吸い終わったタバコを灰皿に押し付けた。
「それにだ」
にやり、と笑った。
「なんたってかんたって、イルカは自称面食いだからな」
「面食い!」
初めて知る事実にカカシは目を見開いた。
そんなこと予想もしていなかった。
イルカが面食いとは・・・。
「へえ、そうなんだあ」
動揺を隠してカカシは、ぐいと酒を煽った。
面食いとは簡単に言えば、顔が良い人が好きということだ。
そういえば、とカカシは自分の顔の造作を思い出した。
俺って格好良かったよね、顔!
イルカへの告白は上手くいきそうな予感がした。



という訳でカカシはイルカへの告白を試みた。
そして玉砕した。
「すみません」
イルカは困ったように笑みを浮かべた。
「お断りさせていただきます」
「ええっ!なんで!」
この日のためにカカシは告白の言葉を念入りに選び、なおかつ、普段は隠している顔を前面に出して、整った顔の造作をアピールしていたのに。
ちゃんと一番、カッコよく見える角度も研究していたのに。
いつもは、そのまんまの箒頭の髪にも櫛を通してきたというのに。
面食いだというイルカのハードルはクリアしているはずなのに。
照れたようにイルカは微笑んでカカシを見た。
ものすごく可愛い笑みだ。
「カカシさんの好意は大変嬉しいのですが、そのう」
イルカは、もじもじと体を動かした。
「ええと、あのう。こんなことを言うのは失礼かと思うのですが」
「いえ、言ってください」
はっきり言ってもらいたい。
駄目な部分を直して、また告白するつもりだから。
「俺、自分で自分のことをこんなこと風に言うのは、おこがましいのですが・・・。じ、実はあの」
ちらっとカカシに視線をくれる。
「面食いなんです」
あははは、と笑ってイルカは頭を下げた。
「ごめんなさい、すみません」
「・・・・・・マジ?」
つい、カカシは言ってしまった。
「俺じゃあ、駄目なの?」



自分は格好よいと自負していたつもりだったが、イルカには通用しない。
ショックを受けたのも事実だが、ならば面食いのイルカの御眼鏡に適うのは、どんな容姿の人なのか。
それが知りたかった。
「イルカ先生は、どんな人が好きなの?」
訊かずにはいられない。
「え、どんな人って」
面食らったようにイルカは聞き返してきた。
「そうです」
カカシは重々しく頷いた。
「イルカ先生を好きな俺としてはイルカ先生が好きなタイプを知りたいです」
「そ、それは・・・」
ほんのりとイルカが頬を染めた。
誰かを想っているのか、恥かしそうに。
カカシの胸が嫉妬で燃え上がる。
頬を染めたイルカには激しく萌えたが。
「俺の好きなタイプは」
「はい」
カカシは一歩、イルカに詰め寄る。
二人の距離が縮まった。
「えっと三代目やアスマさんのような」
「三代目?アスマ?」
ぴくとカカシのこめかみが動き、一歩、イルカに近づく。
恥かしいのか、俯いているイルカはカカシとの距離に気がつく様子はない。
「あと父のような」
「父?」
「あ、俺の父です」
イルカの父親にカカシは会ったことはない。
どんな人だったのだろう。
そしてイルカは衝撃的なことを口にした。
「髭の生えた人が好きなんです」



「髭!」
確かにイルカが先に名前を上げた人物たちは顎に髭を蓄えている。
イルカの父親も髭を生やしていたらしい。
「髭の生えた人って格好いいですよねえ」
顔を上げたイルカはカカシを見て、にこりと笑った。
その顔に見蕩れてしまうカカシ。
間近で見るイルカの笑顔は破壊力抜群でハートが持っていかれてしまっている。
「すごく憧れます」
イルカは、うっとりとしていた。
「男らしくていいですよね」
「まあ、そうかもしれませんね・・・」
「三代目もアスマさんも素敵です」
「・・・うーん」
「傍にいると父といるような感じで」
「ああ、それは」
カカシは思い至った。
イルカの面食いの原因に。
きっと自分の父親と面影を重ねているのだ。
しかも、それって面食いというよりも。
「あのね、イルカ先生」
大きく息を吸い込んだカカシはイルカの両肩に手を置き、きっぱりと言った。
「イルカ先生のは面食いじゃなくて、お父さん大好きって言うんですよ」
「え?」
イルカの黒い目が瞬いた。
「イルカ先生、お父さんが大好きなんでしょう?恋しいんでしょう?寂しいんでしょう?」
急に指摘されたイルカは戸惑っている。
「カカシさん?」
「お父さんのことを無意識に探しているんですよ」
「・・・・・・カカシさん」
「イルカ先生」
込み上げてくる感情のままにカカシはイルカを抱きしめた。
自分の腕の中に。
「俺がずっと一生、傍にいます」
腕の中のイルカがカカシを見上げている。
「好きです、イルカ先生」
もう一度、告白した、そして。
「俺のことも好きになってよ」
お願いした。



「んで?」
隣で、にやけているカカシにアスマが訊いた。
「どうなったんだ、イルカと」
カカシは、うふふふ〜と不気味に笑うと「聞きたい?聞きたい?聞きたい?」と言いたくて堪らないという風に勝手に話しだした。
「突き詰めると、イルカ先生はお父さん大好きだったってこと。それと恋人云々は関係なかったの」
「そうかそうか」
「そー、だから今、イルカ先生は俺とお付き合いして愛を育み中でーす」
嬉しそうにカカシは報告してくる。
「俺はお父さんの代わりにはなれないけど、恋しいのも寂しいのも俺が傍にいてあげることで少しは満たされたらいいなあって、そう思う」
ここだけはカカシは真剣な顔になった。
「それに」
また、にやけた。
「イルカ先生、今では俺の全部がカッコいいって言ってくれるし」
「そうかよ」
ふーっと安心したようにアスマはタバコの煙を吐いた。
「なら、よかったぜ」
「あれ、いいの?」
てっきり反対されると思っていたカカシは意外そうな顔をした。
「イルカ先生の相手が俺で」
「いいぜ、構わん」
実はアスマもイルカの奥底にある感情に気がついて心配していたものの、どうにもできなかったらしい。
「カカシなら大丈夫だろ」
「それはどーも」
予想外の反応をされてカカシは口篭った。
祝福されるのに慣れてない。
「それにだ」
今度はアスマが、にやっとする。
「ライヴァルがたくさんいるから頑張れよ」
「・・・・・・・・・忘れてた」
はっとなったカカシだが「負けるつもりはないから平気」と自信満々だった。
「俺とイルカ先生の愛は不滅だから」





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