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間違えました



今日のアカデミーの連絡会議は何時からだっけ?
確か、二時だったような気がする。
考えを巡らせながらイルカは廊下を早足で歩いていた。
この前の会議は遅刻して、皆に迷惑掛けたから、少し早く行っていよう。
資料の整理なんかもあるし。
場所は第二会議室だったはず。
山のような書類を抱え前が見えないイルカは、気合を入れて会議室の扉を、がらりと勢いよく開けた。
中に一歩、踏み込もうとしたのだが、会議室の中からの只ならぬ大勢の気配を感じる。
そして、鋭い視線がイルカに突き刺さってきた。
も、もしや、これは・・・。
イルカが恐る恐る顔を上げると、中には火影を始めとして上忍がずらりといた。
「ん?イルカじゃないか?どうしたんだい?」
五代目の火影が声をかけて来た。



どうしよう。
イルカは自分が明らかに時間を間違ったのを悟った。
間違えちゃったよ、と顔色を失くす。
そういえば、上忍の方たちの会議の後だって誰か言っていたような・・・。
どうして、今、それを思い出すんだよ、俺。
どうにも後にも前にも引けない状況で。
イルカは赤くなって青くなって、また赤くなってを繰り返してから。
「す、すみませんっ、間違えましたっ。」
それだけ行って頭を下げると、その場を去ることに全力を尽くし、山のような書類を落とさぬように器用にその場からダッシュした。
去り際、イルカの顔は正に火を噴くといった如くに真っ赤になっていた。



「あーあ、真っ赤になっちゃって。」
五代目火影は好意的に言ってから笑った。
「しょうがないねえ、まあイルカだしねえ。」 何人かの上忍も同意して笑う。
会議室にどこか、のんびりした空気が流れて、穏やかな雰囲気の中、上忍たちの会議は終了した。
その中でカカシだけが、何故か不機嫌だった。




「あの、カカシさん。」 イルカは多少、びくびくしながらカカシに話しかけた。
「なんですか、イルカ先生。」
返事はしてくれるが、今日のカカシは機嫌が悪そうだ。
何かに怒っているのかも知れない。
その証拠にカカシは家に帰ってきてから、笑顔を見せずに淡々としていた。
いや笑顔は見せていたのだが、目が笑っていなかった。

「カカシさん、その怒ってませんか?」
遂にイルカは聞いてみた。
「・・・もしかして、昼間のことで。」
イルカが思い当たると言えば、昼間に上忍たちの会議の邪魔をしてしまったことだ。
「勿論、怒っていますよ。」
カカシから不機嫌な低い声が聞こえてくると、イルカは堪らずに頭を下げた。
「俺もよく確認しないで開けてしまったので、これからは気をつけます。」
すみませんでした、と謝る。
イルカは自分が情けなくなってきてしまった。
不甲斐ないなあ。
カカシは優しい人だが、任務や任務に関係することでは厳しさを見せる人なのでイルカの不注意を怒っているのだろう。
そう考えた。



「怒ってはいますが、イルカ先生の言っていることが理由じゃないですよ。」
項垂れているイルカの前ににカカシは座った。
「顔を上げて、イルカ先生。」
そう言われても、カカシの顔を正面から見れずにイルカは上目遣いになってしまう。
「じゃ、何で怒っているんでしょう。」
小さな声でイルカは聞いた。

カカシは滅多に怒ることがないので、怒られるとイルカはドキドキとしてしまう。
「それはね。」
がっ、とカカシはイルカの肩を掴んだ。
反射的にイルカは後ろに下がろうとするが、カカシの力はそれを許さなかった。
「カ、カカシさん?」
「俺はね、俺は!昼間のあんなイルカ先生の表情をあそこにいたやつ、全員が見たのかと思うと、もう悔しくて悔しくて。」
「・・・え。」
「イルカ先生の間違いを皆が容認しているような雰囲気が気に入りません。」
「それは皆さんが心の広い方たちばかりだからじゃ。」
「ちっがいますって。」

カカシは強く否定した。
「イルカ先生だからです。」
イルカ先生じゃなきゃね、皆しょうがないなあなんて思いませんよ、とカカシは息巻いているが。
「それは考えすぎですよ。」
カカシの怒っている原因が分かりイルカはホッとした。
「間違ったら質してくれる方もいらっしゃいますしね。」
「もう、そう言う事を言ってるんじゃなくてですねえ。でも、それは誰ですか?」
「誰って、色んな方たちですけど。」
イルカの答えにカカシは盛大に眉を顰める。
「あー、もう。」
カカシの気持ちをさっぱり分かってくれないイルカに頭を抱えた。
ここは、ずばり自分の気持ちを告白するしかないかもしれない。



「いいですか、昼間の一件で俺は焼きもち妬いているんです。これは嫉妬です。」
格好良く決めて、ばしっと言ったのに、イルカは笑って手を振っただけだった。
「はいはい、分かりましたって、カカシさん。これからは気をつけますからね。」
だから機嫌直してカカシさん、なんてことを言われて微笑んで顔を覗き込まれると。
「まあ、今回はいいですけどね。」
カカシは眉を顰めてながらも笑ってしまう。
結局、自分はイルカのことなら全部許してしまうのかもしれない。
「あーあ、俺の負けですよ。」
「負け?」
「んーん、いいの。」
イルカの問いかけに首を振りカカシは大事な人を自分の腕に囲い込む。
己の腕の中にイルカがいることで安心したのだった。










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