今日から
「どう?すごいでしょ?」
カカシは自慢げにイルカに言った。
言われたイルカは感心したように頷く。
「本当、すごいですねえ。」
ここはカカシの家。
カカシが自分の家の中を披露するためにイルカを招いたのだ。
「ほら、いつでもお風呂は自動で沸かせるし、床は暖房が入っていて暖かいし。すごいでしょう?」
カカシは自分の家の便利さについて、やけに強調してイルカに説明していた。
そして熱心言う。
「ねえねえ、これだけ家の中の設備が便利ですごいんだから、一緒に住んでも、俺、イルカ先生に迷惑かけたりしませんよ。」
カカシとイルカは恋人同士であったのだが、一緒に住むことについて、なかなかイルカが首を縦に振らずに困っていたのだ。
イルカにはイルカなりに、妙なこだわりがあるらしい。
なので、自分と住むことで快適な暮らしができることをアピールすることにした。
「食事の後片付けも自動食洗機がありますから食器を洗うのは簡単です。食後の時間をゆっくり過ごせますよ。」
二人で、ゆっくりできますよ、という意味でカカシは言ったつもりだった。
なのに、イルカはこう言った。
「こんなにすごく便利なら快適な一人暮らしができますね。」
「・・・・・・え?」
「完璧な設備ですしね、俺と住む必要ないじゃないですか。」
「あの、イルカ先生?」
「いいなあ、カカシさん。」
イルカは本気で言っているらしい。
「これなら一人でいても不便はないですね。」
なんだか話が変な方向に進んでいる。
「それだけ、一人でいる覚悟があるんですねえ。」
そう言いながら自動食洗機のボタンを珍しげに触っている。
さすがにカカシも一緒に住みたい相手のイルカに、こうまで言われては、はっきり言うべきだと思い、イルカの肩に手をかけた。
「あのねえ、イルカ先生。俺はですねえ。」
イルカ先生と一緒に住みたいの!だから色々揃えたんですよ!と言おうとした時、イルカがくるりとカカシの方を向いた。
そして、にこりとする。
「なーんちゃって。」
ぎゅっとカカシに抱きついてきた。
「今日、俺の方から一緒に住みたいって言おうと覚悟を決めてきたのに。」
「ええ!」
「なのに、カカシさんの家が、こんなに立派じゃ俺、要らないみたいじゃないですか。」
「そんなことないよ。」
カカシもイルカのことを、ぎゅっと抱き締め返した。
「だから、俺、少し意地悪なこと言いたくなちゃって。」
イルカはカカシの額に自分の額をくっつけて「ごめんなさい。」と謝ってきた。
カカシの家を見て、イルカは自分は不要なのか、と拗ねていたようだ。
「なあんだ、そんなこと。」
カカシは安心して肩の力を抜いた。
「いくら設備が完璧でも家が立派でも、俺にとってイルカ先生がいなかったら意味がないんですよ。」
「そっか。」
ほんのり頬を赤く染めたイルカは微笑んだ。
「俺も同じです。」
それから嬉しいことに「いつから一緒に住みましょうか?」と言ってきたのだ。
カカシは、思い切り笑顔になる。
「もちろん、今日からです。」
いいでしょ?とイルカにお伺いをたてるとイルカは更に頬を赤くしながらも「いいですよ。」と、もったいぶって言ったのだった。
text top
top