暦
「あけましておめでとうございます!」
年が明けてイルカ先生が俺に一番に新年の挨拶をしてくれた。
この世界で一番最初に俺に。
じーん。
感動だ・・・。
「今年もよろしくお願いします」
にこっと笑って言われたら、それはもうよろしくするしかない。
俺の限界まで挑戦してイルカ先生によろしくしたい・・・。
まあ、それは置いといて。
俺もイルカ先生に新年の挨拶をした。
「あけましておめでとうございます」
それから。
「こちらこそ、今年もよろしくお願いします」
心の中では、今年ばかりではなく来年もその先もずっとよろしくお願いします、と言っておく。
それから顔を見合わせて微笑むと遠くから除夜の鐘の音がしてきた。
ごーんごーん。
ああ、年が明けるんだなあ。
新しい年だ。
今年もイルカ先生と一緒にいられて、そんでもって笑っていられたら。
・・・いいな。
「年が明けると気分が一新しますねえ」
イルカ先生はにこにこしている。
「カレンダーも新しくしましたし。カレンダーが最後になる頃には、また新しい年が来る」
「そうですねえ」
「感慨深いですね」
「そうですねえ」
俺はイルカ先生が壁に貼った今年のカレンダーを見た。
イルカ先生がどこからか貰ってきたものだ。
「あのカレンダーってどうしたんですか」
何となく聞くとイルカ先生が「ああ」と頷いた。
「あれは火影さまからいただいたんです」
「火影さまから?」
なんでまた?
「今年は木の葉の里の魅力を外部にも内部にもアピールするために、厳選木の葉の里の絶景と銘打ってカレンダーを作ったそうです」
無料配布しているそうですよ、ということだった。
「へー」
カレンダーには見慣れた木の葉の里の風景がある。
「なんかいいですよね、そういうの」
余り面白みが感じられなかったが、イルカ先生がいいと言うのなら俺はいい。
風景のカレンダーって普通だし。
・・・そうだ、俺のカレンダーを見て貰おう。
すっかり忘れていたが。
「イルカ先生!」
俺はあるものをイルカ先生に差し出した。
「見てください!俺が作ったカレンダー!」
今は個人で頼めはいくらでもカレンダーをお店で作ってくれる。
あなただけのカレンダーを作って一年楽しく過ごしましょう、とか何とか。
で、俺も作ってみた。
「小さくてどこにでも置ける卓上カレンダーですよ!」
写真は俺が撮影したものを使った。
どれもこれも良い出来の写真で。
どれをカレンダーに使おうかと一週間くらい迷った。
「いいでしょ!」
ふふふ、と笑うとイルカ先生の顔が固まっていた。
「これって・・・」
イルカ先生がカレンダーの写真を指差す。
「これって俺ですよね?」
「もちろん」
カレンダーの写真はイルカ先生オンリーだ。
「イルカ先生の卓上カレンダーですよ!名づけて、俺が厳選イルカ先生のベストショットカレンダー!」
うん、いいネーミングだ。
ほくほくしているとイルカ先生がカレンダーを捲って自分の写真を見ていた。
捲っていくうちに顔がどんどん怖くなっていく。
「・・・カカシさん」
「はい」
「この写真いつ撮ったんですか」
「え」
「これもこれもこれも、俺撮られた覚えがないんですけど」
ってか全部撮られた覚えがありません、と言われてしまった。
「あー、それは・・・」
それは・・・。
「いったい、いつ撮ったんです?」
イルカ先生は怖い顔。
「この風呂上りとか寝ている顔とかアイス食べている写真とか」
カカシさんがいた記憶もありませんけど、とイルカ先生は詰め寄ってくる。
「ははは〜」
そりゃあ、イルカ先生に気づかれないように撮っていたし。
気づかれたら写真撮らせてくれないし〜。
「まあまあ、細かいことは気にしないでください」
「細かいことじゃありません」
「そう?」
「そうです」
肩をいからせたイルカ先生は俺を睨んだ。
「だいたいにして自分の写真が使われているカレンダーを自分で使うのって」
なんか恥かしいです、と眉を潜める。
「いいじゃないですか〜」
「もう」
はあ、とイルカ先生は息を吐いた。
「カカシさんは解ってないですねえ」
「え、何が」
「こういうカレンダーを作るときは俺だけじゃなくて、カカシさんと俺で作らなきゃ」
「え・・・」
「そしたらカカシさんと俺のカレンダーを常に見られて、一年楽しく過ごせるじゃないですか」
「あ・・・」
「だって俺たち恋人、でしょ」
そう言ったイルカ先生の顔は可愛くて。
「それに俺だってカカシさんのカレンダーが欲しいですよ」
そっか。
「イルカ先生」
そっとイルカ先生を引き寄せると俺は抱き締めた。
「来年はそうします。恋人カレンダー作りましょうね」
まだ新年になったばかりだけど、もう来年の楽しみが出来た。
早く来年にならないかな〜。
抱き締めたイルカ先生の額にキスを落とすとお返しに頬にキスされる。
それから今年初めてのキスをした。
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