AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


若い三人




1.
「あのさ〜。あの子、誰?知ってる?」
同級生で同じクラスのカカシの指差す方向にはアスマの良く知る人物、イルカがいた。
イルカは一つ違いの従兄弟で、この春同じ高校に入学してきた。
アスマは嫌な予感がしたので知らない振りを決め込んだ。
「さあな、知らん。」
「ふーん。」
カカシが探るような目つきで見てきた。
しかし、教えてなんてやるものか。
イルカは大事な従兄弟で、殆ど弟みたいなものだ。
カカシはいい奴だが、少々いい加減なところがあって、ちょっと難ありな性格だ。
何で興味を持ったか知れないが碌なことにならないに違いない。
早く忘れてくれと願うアスマであった。





2.
「聞いちゃった〜。」
カカシが得意気にアスマに言ってきた。
「何をだよ?」
「あの子の名前。イルカっていうんでしょ。海野イルカ。」
「何で、それを。」
うふふふ〜とカカシが不気味に笑う。
「偶然ね、学食で隣になちゃってさ。そんで、いろいろ話したんだよね。」
アスマの従兄弟だって言うじゃない、いい子だよね〜といっそう不気味に笑うカカシ。
ああ、すっげーいいやつだ、だからお前なんかと知り合いにならせたくねえ。
心の中で叫ぶもカカシに届くはずもなく。
「今日は一緒に帰るんだ〜。いいでしょ〜。」
アスマの心配も空しく事態は、どんどん進行していくのであった。





3.
「アスマさん。」
校内で呼びかけられ、アスマは振り向いた。
視線の先にはイルカ。
「よお、久しぶりだな。」
言った瞬間固まった。
聞きなれた声がしたからだ。
「そう〜?朝、ホームルームで会ったじゃない。」
何故か、イルカの隣にはカカシがいた。
いつの間に?
「カカシさんてアスマ兄さんの親友だそうですね。」
イルカが無邪気に言う。
カカシさん?
親友?
とっさのことで、どこに突っ込んだらいいのか。
珍しく迷うアスマであった。





4.
「はい、イルカ。」
アスマの目の前でカカシがイルカにジュースを手渡す。
「これ、おいしいよ。イルカも飲んでみたら?」
「そうですか?」
カカシが口を付けたジュースを特に疑いもせずに飲むイルカ。
間接キスじゃねーか!
やめろ、イルカー!
心の中でアスマは叫ぶ。
「あ、ほんと。おいしいですね。」 一口飲んで、カカシにそのジュースを返す。
カカシはニコリと邪気にない笑みを浮かべ「そうでしょ。」と言ってイルカが口を付けたところから再び飲み始めた。
カカシの意図は明白だったが。
アスマにはイルカにそれを教える術はなかった。





5.
「イルカ、カカシのやつのこと、どう思う?」
アスマは思い切って聞いてみた。
できることなら、これ以上付き合うなと忠告したい。
「カカシさんですか?」
イルカは首を少し傾げてアスマを見上げてくる。
「いい人だと思います。」
「・・・そうか?」
「だって、アスマ兄さんの親友じゃないですか。」
輝くような笑顔で告げてくる。
俺か!
当惑するアスマ。
自分のせいでイルカはカカシと仲良くしているのか。
誤解を解くためにアスマは決心した。
「あのな、イルカ。実はな・・・。」
「なーに、話してるのかな?」
その時、後ろで悪魔の声がした。
「カカシさん!」
「イルカ、お待たせ〜。じゃ、行こうか。」
イルカを促し、肩を並べて歩き出す。
置いてけぼりのアスマにカカシは振り向き目で牽制する。
余計なこと言ったら酷い目に遭うよ?
もう酷い目には遭っている!
アスマは心の中で叫んだ。





6.
「イルカって部活してるの?」
「はい、放課後、体育館で練習しているので見に来てください。」
「うん。わかった。」
そんな約束をして放課後、アスマを引き連れてカカシは体育館に行く。
「これ・・・。」
「拳法だよ。」
アスマは簡潔に言う。
そうだ、イルカは強い。
俺がカカシの魔の手から心配する必要はないな。
少し、ほっとする。
「イルカ、強いの?」
「ああ、段持ちだぜ。」
「ふーん。」
イルカが汗を撒き散らし練習する様を眺めつつカカシは呟く。
「まあ、それならそれでやり方があるよね。」
やり方って何の?
アスマは再び心配を始めることになった。





7.
「イルカ、明日、映画にでも行かないか?」
アスマはぴらりと映画の券をイルカに見せた。
「知り合いから映画の無料券貰ったんだ。」
そう言うとイルカは目を輝かす。
「本当ですか?その映画見たかったんですよね。」
映画も久しぶりだし、と素直に喜んでいる。
「無料券三枚あるんだ。他に誘いたいヤツいないか。」
アスマは学校でそんなことを話すべきではなかったかもしれない。
「勿論、俺だよね〜。」
今まで人の気配はなかったのにイルカの背後から、ぬっーとカカシが現れた。
さり気なくイルカに後ろから抱きつくような体制を取っているのは気のせいだろうか?
「カカシ、休みは家で寝てるって言ってたじゃねえか。」
「えー、そんなこと言ったかなあ。」
カカシは知らばっくれた。
イルカが何も知らずに無邪気に言う。
「いいじゃないですか。三人の方が楽しいですよ。」
「そうそう。」
カカシとイルカは目を合わせて、如何にも仲良しという風ににっこりとしている。
いつの間にか二人の仲は進展したらしい。
なんとなくアスマは、映画に行きたくねえなあ、と心の中で愚痴ってしまう。
かと言ってカカシとイルカの二人きりで行かせなくもない。
仲良そうな二人を前にしてアスマはどうしたもんかと考えた。








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