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喧嘩するほど仲がいい、けどやっぱり喧嘩はしたくない



原因は定かではないがイルカ先生と喧嘩をした。
多分、とっても些細なことだったと思う。
だって、原因を覚えていないから。
覚えてもいない原因で喧嘩するなんて、ほんっと、くっだらないと思うんだけど・・・。
まあ、なんていうか、俺もイルカ先生も後には引けなくなったっていうか、その。
あー、あれだ。
意地を張っちゃったんだよね、馬鹿みたいに。
謝りたいのに謝れない。
イルカ先生も珍しく、カンカンに怒っていたから謝ったら焼け石に水かもと思って俺も何も言わなかった。
今となって思えば、それは悪かった。



で、喧嘩したのは夜で、俺とイルカ先生はそれなりの関係なので眠る時は一緒のベッドで眠る。
それが普通になっていた。
・・・・・・のに。
喧嘩した夜、イルカ先生は俺が入っているベッドには来なかった。
扉を閉めたまま、隣の部屋にいて俺の方へは近づいてこなかった
まさか、俺は喧嘩して、こんな展開になるなんて思わなくて激しく動揺した。
イルカ先生が、傍にいるのに傍にいないなんてことに。
そりゃあ、付き合って何年か経つけど、ここまで喧嘩したのは初めてだった。
もしかして、と俺の脳裏に不吉な予感が横切った。
もしかしてだけど、俺とイルカ先生、もしかして別れる・・・とか。
そんなの絶対に嫌だし絶対にあり得ないけど。
もしかしての不安が、どんどん大きくなっていく。



夜、隣のイルカ先生の気配が鎮まったところで俺は隣の部屋へと続く扉を、そっと開けた。
暗闇の中でイルカ先生が横になっているのが見えた。
座布団を枕にして俺に背を向けて眠っているようだった。
いつも結っている髪は解けていて床に落ちている。
窓のカーテンは閉められていなくて、月明かりが差し込んでいた。
まるで、一枚の絵を見ているような感覚に襲われた。
絵の中のイルカ先生は一人で、どこかに行ってしまいそうで。
ぎゅっと胸が締め付けられる。
あーあ・・・。
俺は激しく後悔した。
喧嘩なんてしなきゃよかった。
意地張ってないで謝ればよかった。
俺って馬鹿だなあ〜。
音を立てないようにして俺は隣の部屋から掛け布団を持ってくるとイルカ先生に掛けて俺も隣で横になった。



気がつくと朝になっていた。
カーテンを閉めてない窓からの朝日が眩しい。
「ん〜」と伸びをして起きると隣にイルカ先生はいなかった。
もう、起きてしまったらしい。
台所からいい匂いがしているってことは朝食の準備をしているってことで。
まだ、怒っているかなあと台所のイルカ先生の様子を伺っているとイルカ先生が、すっと俺の横を通り抜けて寝室の方へと行ってしまった。
着替えと出勤の準備をするためと思われる。
あ〜・・・。
怒りは解けてないらしい、って当たり前だな。
だって謝ってないし。
仲直りしてないもんね。
昨日、喧嘩してからイルカ先生の声を聞いてないし、触れてもいないし、キスもしていない。
寂しい。
つくづく喧嘩してもいいことないよなあ、としみじみ思っていると寝室に行っていたイルカ先生が出勤の準備を整えて出てきた。
やはり俺の横を素通り。
何も言ってくれない。
取り付く島もない。
玄関で靴を履くイルカ先生の後ろ姿を悲しくなって、じっと見つめていると靴を履いたイルカ先生が立ち上がって、くるっと振り向いた。
振り向いて俺を直視した。
俺もイルカ先生の視線に釘付け。
しばし、俺とイルカ先生は見詰め合った。
結構、長い時間に感じたが本当は短かったのかもしれない。



見詰め合った後、急にイルカ先生は赤くなった。
「け・・・」
け?
何かを言おうとしている。
・・・・・結婚?
「け、喧嘩をしても俺!」
喧嘩をしても?
結婚じゃなかった・・・・・・。
「俺、カカシさんのこと好きですから!」
「あ、はい」
突然の告白に俺は間抜けな返答しか出来なかった。
対応が遅れた。
「愛してますから!絶対に嫌いになんてなりませんから!」
真っ赤になったイルカ先生は、それだけ叫ぶとバーンと玄関のドアを開けて外に行ってしまった。
はっとなって追いかけて玄関からイルカ先生を見ると、だーっと走っていってしまって遙か彼方。
その小さくなった後ろ姿に向って俺は大声を張り上げた。
「イルカ先生ー!」
俺の声が届いたのかイルカ先生が、ぴたりと立ち止まる。
「俺もイルカ先生が好きですからー!大好きです!愛してます!」
朝から、たくさんたくさんたくさん、好き、愛しているをイルカ先生に向って叫んだ。
多分、イルカ先生に俺の思いは届いたはずだ。
仕事から帰ってきたら、ちゃんと謝って仲直りしよう。
もう喧嘩はこりごりだ。




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