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構いたいの



なんで、こんな時に・・・。
俺は心中、深く深く溜め息を吐いた。
すっごく、ついていない。
目は巻物の字を追っているのに背後のイルカ先生が気になってしょうがない。
気になって気になって、しょうがない。
あー、集中できない。
もうすぐ任務で、その下調べで資料となる巻物を読んでいるのに。
読んでも頭に中に内容が入ってこない。
あれも、それも背後のイルカ先生が原因だった。
イルカ先生は俺の愛しい人。
とっても大事な人で、とっても好きだ。
イルカ先生も俺のことを好きだけど、普段は割りと感情表現が、さらっとしていて俺のことを好きだとか簡単に言わないし、そういう行動もしない。
奥手で恥ずかしがりやとでも言おうか。
そんなところが俺のイルカ先生の好きなところの一つでもある。
でも、でもね。



そんなイルカ先生が何かの拍子にスイッチが入って変身してしまう。
いつものイルカ先生ではなくなってしまう時がある。
だけど、それはいつなのか分からなくて、予測も出来ない。
だから俺も準備が出来ない。
そういう時に限って俺は不在か、仕事があって。
あー、なんて不運なんだ〜。
イルカ先生が俺に構ってほしいなんて、そんな目をするのは本当に時々しかないのに。
何で、その時に俺は暇じゃないんだ。
神様に意地悪でもされているのだろうか、それとも試練?
俺の背後にいる、イルカ先生の視線は俺の背中に語りかけてくる。
ねえねえ、カカシさん構ってくださいよ〜って。
俺に触って撫でて抱きしめてキスして好きだって愛しているって言ってって。
確実に、そう言っている、俺には分かる。
俺だって!
仕事がなければイルカ先生が視線で語ってくることの十倍、いや、百倍、千倍くらい、すごいことをしてあげたい。
構って構って構って構いつくしたい。
いやってほど構ってあげたいのだけれど・・・。
俺は妄想やら何やらを我慢して封印して巻物を読むのに集中した。
振り向いたら負けだと思った。
辛かった、とっても。
イルカ先生を構えないのが・・・。
しばらくすると俺の背後のイルカ先生の気配は消えていた。



俺は息を吐き、肩の力を抜いた。
ゆっくり振り向くと背後のイルカ先生はいなくなっていた。
「はあ・・・」と溜め息が漏れる。
イルカ先生が俺が構ってあげないから、どっかに行っちゃったんだ。
まあ、行き先は見当、ついているけどねえ。
多分、そこで遊んでもらっていると思うけど。
何でか知らないけれど子犬になって。
子犬になったイルカ先生は俺の忍犬たちに遊んでもらうのを楽しんでいるらしい。
たくさん遊んでもらうと疲れて子犬のまま眠ってしまうんだ。
子犬のなったイルカ先生は、また別の可愛さがある。
いつものイルカ先生も可愛くて可愛くて仕方がないが、子犬になっても可愛くて可愛くて仕方がない。
俺は初めて子犬のイルカ先生を見たときのことを思い出した。



忍犬は当たり前だが犬なので今、住んでいる家では飼えない。
ので、俺は庭付き一軒家を別に持っている。
専ら、犬を住まわせるためにだ。
そのことをイルカ先生にも教えてあったし、家に出入りも自由にしていいと言っていた。
俺が不在時に忍犬たちの様子を見てもらったりしているし。
で、ある日。
一週間くらいの任務から帰って来た俺は里に帰って来て、偶然、忍犬たちのいる家の前を通りかかったので、ついでだから忍犬たちの顔を見ていくことにした。
元気かな〜って思ってさ。
「おーい。お前たち、元気か〜」
そう呼びかけながら庭にいるであろう忍犬たちの所へ行くと忍犬たちは一斉に「しーっ!静かに」というジェスチャーをしてきた。
え、なんで?と見ると忍犬たちの間に見慣れぬ子犬がいた。
しかも、その子犬は、くうくうと眠っている。
ひどく安心した感じで。
「こら!」
俺は小声で叱った。
子犬を起こさないように。
「勝手に知らない子を入れちゃダメでしょ」と。
忍犬たちは顔を見合わせて、ひそっと反論してきた。
「それは分かっているが」
「でも、なあ」
「うん、まあ」
「しょうがないかと思って」
何がしょうがないのか、と訊くと小型犬のパックンが言ってきた。
「この子犬、見て分からんか?カカシ」
「え」
俺は子犬を、じーっと見つめる。
写輪眼も出して見てみた。
このチャクラの形状や、それから子犬の気配は誰かの気配に酷似している。
「もしかして」
もしかして、あの人?
パックンを見ると頷いた。
「そうじゃ、イルカだ」
子犬は変化したイルカ先生だったのだ。
その時も、どうやらイルカ先生は今日と同じく構ってほしかった日みたいだった。
で、俺がいないから忍犬に構ってもらっていたらしい。
子犬のなったのは何でか分からないけれど、犬と遊ぶには犬になった方がいいと思ったんじゃないかな。
それから時々、イルカ先生は今日みたいな構ってほしいのに構ってもらえない時は子犬になって俺の忍犬たちと戯れている。
本当は俺が構いたいのに。
タイミングが悪いなあ、ほんと。
イルカ先生・・・。
俺はイルカ先生が猛烈に恋しくなって。
頭を切り替えて、早く終わらすべく巻物に集中し始めたのであった。



やっと巻物を読み終わると、即効で忍犬たちの所へ行った。
案の定、イルカ先生は子犬になって、ぐっすりと眠っていた。
犬になっても可愛い寝顔だ。
そんなイルカ先生を連れ帰ってベッドに寝かすと俺はイルカ先生の変化の術を解いた。
勝手にして悪いかなと思ったが俺が構いたいのは人間のイルカ先生だったから。
イルカ先生が起きたら、たーくさん構って構って構い尽くす。
そう決めた俺は寝ているイルカ先生が起きるのを今か今かと待ちわびた。



やがてイルカ先生は起きた。
起きて不思議そうに辺りを、きょろきょろと見渡している。
そんなイルカ先生に寝起きのコーヒーカップに入れたお茶を飲まして落ち着いたところで俺は言った。
「調べ物はひと段落したので、これでイルカ先生を構えます、充分に」
もう、ばっちりだ。
俺の腕はイルカ先生を構いたくてイルカ先生に伸びている。
思わず、にやりと笑みも浮かぶ。
するとイルカ先生は何か危険を察知したのか身を引こうとする。
そして可愛くないことを言い出した。
「カカシさんの忍犬たちに構ってもらえたので、構ってほしい熱は治まりました」
でもねえ、そんなこと言われてもねえ。
俺の顔とイルカ先生の顔は、ぶつかりそうなほど近い。
ぎゅうっと俺はイルカ先生を腕に抱きこんだ。
「だ〜めです。今度は俺がイルカ先生を構いたいから」
そう言ってから俺はイルカ先生にキスをした。
ゆっくり優しく甘いキスを。
ああ、幸せ。
好きな人が自分の腕の中にいて。
その人とキスをしている。
これ上の幸せが、この世にあろうか。



キスをして、そっとイルカ先生を窺うと照れたように笑って頬を赤らめている。
可愛い・・・。
可愛い〜。
もっともっと抱きしめたくなる。
もっともっと構いたくなる。
俺は、その欲求に忠実に、自分に素直になって。
イルカ先生を心行くまで構い尽くしたのであった。




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