AIで普通の動画を3D動画に変換する
ハイスペック専用サーバー
39周年!BIGサンクスキャンペーン


あの人の正体2



俺はクリスマスに託けてイルカを誘ってみた。
心臓は、すっごく、どきんどきんして普段とは違う感じで鼓動して、異様に緊張もしていたけど、それを表には一切出さず、さり気なく自然に振舞うように心がけた。



受付けで任務報告書を出す時に俺は思い切って言ってみる。
「イルカ先生、今日はご予定ありますか?」
「今日ですか?」
イルカ先生はチェックし終えた俺の報告書を他の報告書の上に重ねると俺を見上げた。
「予定というほどのものはありません。」
やった!と俺は心の中で叫んだ。
「じゃ、じゃあ。」
どきんどきんとしていた心臓が、どっきんどっきんとなっていく。
「あの、実は俺も予定がなくて、そのう・・・。」
よかったら食事にでも、と言うんだ、俺。
頑張れ、俺!



しかし、その前に俺の様子から察してくれたのかイルカ先生が言ってくれた。
「では予定のない者同士、飲みにでもいきますか?」
カカシ先生がよければですけど、と控えめに付け足す。
「ぜんっぜん、いいです。願ってもないことです。」
思わず、俺はイルカ先生の両手を自分の両手で握っていた。
「俺も、そう言おうと思っていて。俺の気持ちを分かってくれるなんて俺たち、気が合いますね!」
「・・・そうですね。」
俺の勢いにイルカ先生は若干、引いていた。
「あの、受付け業務は、もう少しで終わりますので・・・。」
「待ってます待ってます!喜んで待たせていただきます。」
「・・・すみません。ありがとうございます。」



その時、俺たちは受付けにいる人間の注目を一心に浴びていたのだが俺は、そんなこと欠片も気にならなった。
嬉しい、嬉しい、嬉し〜い!
クリスマスイブはイルカ先生と二人で過ごせる!
そればっかりが頭の中を駆け巡っていた。
俺たちの様子をイルカ先生の隣に座って見ていた五代目が、ぼそっと呟いたのも聞こえないくらいに。
五代目は「よかったなあ、カカシ。・・・大変だな、イルカ。」と呟いていたのだった。



しかし、俺はクリスマスイブを甘く見ていた。
どこに行っても店が人で、いっぱいだったのだ。
どの店も大勢の人で賑わっている。



俺の横いたイルカ先生は苦笑を浮かべた。
「どこも混んでいますねえ。」
「・・・そうですね。」
どうしよう、イルカ先生とのクリスマスイブを過ごせるチャンスなのに。
「俺からお誘いしたのにすみません。」とイルカ先生にも申し訳なさそうな顔をさせってしまった。
「いえいえ、そんなことないです。」
「あのう。」
イルカ先生が言い難そうに切り出してきた。



「こんな状況ですから、また日を改めて、ということにしましょうか?」
「ええっ〜。」
それは嫌だ、絶対嫌だ。
俺は頭をフル回転させてイルカ先生とクリスマスイブを過ごす方法を考える。
えーとえーとええーと。



あっ、そうだ!
「イルカ先生!」
「はい。」
「料理をテイクアウトして俺の家で飲みませんか!」
「カカシ先生の家で?」
「そうですそうです!」
おおー、我ながら、すごい名案だ。
これなら俺の家にイルカ先生が来てもおかしくないし、家なら誰にも邪魔されない。



「カカシ先生がよろしいなら。」とイルカ先生は言って「ご迷惑じゃありませんか。」と確認してくる。
「まさか、迷惑だなんて全く思いませんよ。」
それどころか、降って沸いたような幸運に喜びが溢れてきた。
そうとなったら善は急げだ。
俺とイルカ先生は、あれこれと酒の肴になるものとお酒をたくさん買い込んで俺の家で飲むことに、もとい、二人でクリスマスイブを過ごすことにしたのだった。




「うふふふ〜。」
お酒を飲んだイルカ先生は嬉しそうに笑っている。
「さあさ、どうぞ。」
俺はイルカ先生のグラスに、どんどん、お酒を注いだ。
お酒を飲ませてイルカ先生を酔わせ、どうこうしようというつもりは微塵もないということではないが、お酒を飲んで楽しそうにしているイルカ先生を見るのが俺も楽しかったからだ。



イルカ先生はベストを脱ぎ捨て、額当ても取っ払って身軽な格好になっている。
いつになくリラックスしているイルカ先生は本当に楽しそうだ。
話も弾んで俺もイルカ先生に釣られて、お酒をいつもより飲んでいた。
「カカシ先生ってカッコいいですよね〜。」
お酒を飲んで、ちょっとウサギ目のイルカ先生は俺を、じっと見る。
俺は自分の家だしイルカ先生の前なので、覆面は取っていた。
「そうですか?」
俺が聞くとイルカ先生はテーブルに肘をつき、俺の方に身を乗り出してくる。
「そうですよ〜。今まで、こんな顔だったなんて知りませんでした。」
ああ、覆面は服の一部だから外で取ることはないし、こんなに長時間イルカ先生に素顔を見せるのは初めてかもしれない。



「でも。」とイルカ先生は可愛らしく微笑んだ目を細めた。
「どこかで見たことあるような感じがするんですよね〜。」
「へええ。」
「誰かに似ているような気がするんです。」
イルカ先生は何かを思い出すそうとするように視線を空に浮かす。



「あ、そうだ。」
思い出したのか、にこっとして俺の方を見たのだが、その顔は無邪気で、やはり可愛かった。
「昔、俺の会ったサンタクロースに似ています。」
「そ、そうですか。」
あの時のことを思い出してくれたのだろうか。
どきどきする。
っていうか、今日はどきどきするのが多い日だ。
何気に心臓に悪い。



「昼間、俺がナルトたちに話したの覚えてますか?」
「ええ、覚えてます。」
「そのサンタクロースに似ています。あの人が成長したらカカシ先生のようになっていたんじゃないかと。」
そりゃあ、まあ、本人だからね。
成長した姿、そのままだし。
「あの人、カッコよかったなあ〜。」
ぽつっとイルカ先生は言ってから、ふらりと後ろに倒れこんだ。
「イルカ先生?」
慌てて近づくと倒れこんだイルカ先生は目を閉じて、すやすやと眠っていた。
あどけない寝顔で気持ち良さそうに。



少しお酒を飲ませ過ぎたみたいだ。
すうすうと安らかな寝息をたてるイルカ先生の額に落ちた髪を優しく除けて、俺はイルカ先生の額を、ゆっくりと撫でた。
イルカ先生は、ぴくりともせずに眠っている。
安心して寝ているんだなあ、と思うと同時に俺を信用してくれているんだと思うと手が出せない。



俺は、まあ、ちょっと理性と欲望の間で葛藤してから諦めてイルカ先生を腕に抱え上げた。
「よいしょ、っと。」
お酒を飲んで、体温が高いイルカ先生を自分のベッドに横たわらせる。
明日は休みだと言っていたし、偶然にも俺も休みだったりした。
このまま、俺の家に泊めても大丈夫でしょ。



ベッドに横たわるイルカ先生の隣に俺も滑り込み、部屋の明かりを消した。
イルカ先生の体温を感じながら目を閉じる。
ああ、今夜はよく眠れそうだ。
素敵なクリスマスイブだったなあ。
あとは明日、起きたイルカ先生が、どんな顔をするのか。
楽しみで楽しみで、わくわくしながら俺は眠りに就いたのだった。






text top
top