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My Funny



「イルカ先生〜」
寝ているイルカの上へ、カカシが飛びついてきた。
「おめでとうございます、誕生日!」
テンション高く、イルカに抱きついてくる。
「今日は待ちに待った誕生日ですね!」
おめでとう〜なんて言いながら、クラッカーを鳴らしていた。
パンパンと高い音を立てるクラッカーを朝から鳴らすなんて多分、近所迷惑になるに違いない。
「カカシさん・・・」
起き抜けのイルカは、ぼーっとした顔でカカシを眺めた。
「昨日の残りのクラッカー、朝から鳴らすのは止めてください・・・」
すっごく眠そうな顔をしている。
「昨日は遅く寝たのに何で、そんなに元気なんですか・・・」
「それは!イルカ先生の誕生日だからですよ!」
「はあ・・・」
「んも〜」
焦れったくなったのか、カカシは寝ているイルカの上半身をベッドの上に起こした。
「ほら、イルカ先生、しゃんとして」
「眠いんです〜」
ぐらぐらと揺れているイルカは今にも倒れて眠ってしまいそうだった。
これでは、いつもと逆である。
普段は起きないカカシをイルカが起こしているのに。



「う〜・・・」
唸ったイルカは半眼になっている。
「も少し寝かせてください・・・」
今日は午前中は休みで午後から仕事なんですからあ、とぐったりしていた。
頭が痛いとも言っている。
「イルカ先生ってば〜」
カカシは不満そうだ。
「昨日のお酒が、まだ残っているんですか」
もしかして?なんて訊くカカシに酒が残っているわけがない。
「イルカ先生の誕生日前夜祭ってことで、ちょっと飲みましたけど」
「ちょ〜っとお〜」
イルカが迫力の全くない半分閉じた目でカカシを睨んだようだ。
「カカシさんが手に入れてくれたワイン、口当たりよくて美味しくて、たくさん飲んだじゃないですかあ」
「あー、たくさんね」
台所にはワインの空き瓶が三本くらい並んでいる。
要するにイルカは二日酔いだった。
「まあ、たくさんって言ったら、たくさんかな?」
首を傾げたカカシにイルカは、どさっと寄り掛かる。
「ちょっ〜と、頭が痛いので寝かせてください」
昼まで、と瞼がほとんど落ちてきた。
「イルカ先生」
カカシはイルカの肩を揺する。
「うう、揺すらないで・・・」
「終わったら寝てもいいですから、まだ眠らないでくださいよ」
「何ですか・・・」
「うん、あのね」
にこにこと笑顔のカカシ。
「誕生日プレゼントを渡したんです」
「誕生日のプレゼント・・・」
僅かにイルカの目が開いた。
「そ」
カカシは満面の笑みだ。
「イルカ先生の誕生日に俺が一番に渡したいんです、プレゼントを」
そして、カカシは指差した。
「俺を」
カカシが誕生日プレゼントだった。



その言葉を聞いたイルカの目が、ぱっと開いた。
「今、なんて?」
黒く澄んだ瞳がカカシを凝視している。
カカシの言葉でイルカの二日酔いは、どこかへ吹っ飛んだようだ。
「え、えとですね」
イルカの様子にカカシは怯んだものの、もう一回言った。
「ベタですが・・・。俺が誕生日プレゼントです」
「カカシさんが?」
「はい」
「俺の誕生日の」
「・・・はい」
「プレゼント・・・」
大きく開いた目が何回か瞬きされる。
そのまま、じっとカカシのことを見ているイルカ。
何を言われるのか・・・。
やっぱ、引かれたか。
ドン引きか。
少しだけカカシが後悔し始めた頃、イルカの顔が綻んだ。
「本当ですか?」
「えっ。ああ、はい」
本当です、と急いで首を縦に振る。
「嘘じゃないですよね」
「もちろん」
眠りに落ちそうだったイルカが身を乗り出してきた。
ぐっとカカシに迫ってくる。
「あー、あの・・・。イルカ先生?」
「カカシさんが誕生日プレゼントだなんて夢見たい」
イルカは、うっとりとしている。
予想外の反応だ。
「本当に俺にくれるんですか」
カカシさんを?
イルカの目は輝いている。
「あ、はい。それしか無いでショと思ったものですから」
そんなイルカの勢いに押されて、カカシは逆にイルカに押し倒されてしまった。
二人とも、まだベッドの上で。
イルカが、倒れたカカシの腹の上に乗る。
満面の笑みだった。



「すっごい嬉しいです」
「そ、そう?」
カカシの腹の上の乗り上げたイルカは両手を胸の上で祈るような組んだ。
「はい、だって」
上に乗っているイルカがカカシの顔を覗き込んでくる。
解いているイルカの黒髪がカカシの顔に触れた。
話すイルカの吐息が、ふっとカカシの顔に掛かり、カカシはぞくぞくとしてしまう。
「カカシさんが誕生日プレゼントってことは」
俺のものになるってことでしょう?
とっくの昔にイルカのものになっていると思っていたカカシは少々、複雑だ。
同時にイルカもカカシのカカシのものになっていると思っていたのに。
お互いに共通の認識だと思っていたのに。
「はあ、まあ、そうですね」
渋い顔がカカシは頷いた。
「ですよね!」
カカシの同意が得られたイルカは、とっても明るい顔で話す。
「つまり、それって」
二人の唇が触れんばかりに顔が近づいて。
「カカシさんは俺だけを愛してくれるってことですよね」
これから、ずっと俺だけを。
愛してくれて、好きでいてくれる。
カカシは今までだって、そのつもりであったのだが。
なんだか安堵したイルカの顔を見て、胸にくるものがった。



「よっと」
カカシは鍛えている腹筋で起き上がる。
その拍子に、ころんと転がりそうになるイルカを抱きとめた。
そのまま腕を背に回して、しっかりと抱きしめる。
「俺はイルカ先生が好きですよ、今までも、これからも」
でも、とカカシはイルカを抱きしめながら不安を口にした。
「イルカ先生は何か心配なことがあるの?俺がイルカ先生を愛してないと思っていた?」
イルカが、そう思う要素が、もしかしてあったのかもしれない。
「俺はイルカ先生だけしか愛しません」
この際だから、宣言してみた。
「イルカ、愛している」
ついでに、どさくさ紛れに名前だけで呼んでみた。
イルカはイルカ先生なのだが、イルカとも名前で呼んでみたい。
カカシの悲願だったりする。
「愛している、イルカ」
「カカシさん」
カカシの背に回ったイルカの腕が絡み付いてくる。
子どもみたいに、縋るように。
「まさか、そんなこと露ほどにも思っていませんよ」
愛してないなんて。
「じゃあ、どうして」
腕の中のイルカを見ると俯いている。
「どうしてって」
小さな声が聞こえた。
「カカシさん、モテるから・・・」
「なあ〜んだ、そんなこと」
ほっとしたカカシが笑うとイルカが軽く睨む。
そんなイルカも、かわいくて堪らない。
「そんなの気にすることないですよ」
「そう言いますけど」
「だってさあ」
こつん、とカカシの額がイルカの額にぶつかった。
「俺はイルカ先生以外は眼中なしですもん」
一番かわいいのはイルカ先生で、イルカ先生しか目に入りませんから。
むしろ、目に入れても痛くないくらいですから。
「だから、安心して」
「はい」
頷いたイルカは、ほのかに頬を染めている。
「解りました、カカシさん」
やっとカカシの顔を見て微笑んだ。
かわいいなあ。
惹かれるままにイルカにキスをする。
唇に頬に額に瞼に眦に、耳朶に項に。
有りと有らゆるところに。
カカシはイルカの誕生日プレゼントで。
イルカのものなのだから。
どこに触れてもいいのだ。
「くすぐったいですよ」
イルカは肩を竦める。



しばらくベッドの上で仲良く、じゃれ合っていた二人であったが。
時計を見たイルカが、するりとカカシの腕から抜け出てしまった。
「イルカ先生、もうちょっと・・・」
名残惜しそうなカカシの手がイルカに伸ばされる。
「だって、もう行かなくちゃ」
イルカが手早く着替えている。
「もうすぐ、昼になりますから仕事に行かないと」
「ああ、そうだった〜」
残念とカカシがベッドに突っ伏す。
「イルカ先生、仕事だった〜」
「俺、適当に昼食べて行きますから、カカシさんも食べておいてくださいね」
「はいはい」
「今日は早めに仕事を切り上げますから、夕方、落ち合いましょうね」
「オッケーです」
イルカの仕事が終わる頃に待ち合わせて、食事をする予定である。
イルカの好きなものを好きなだけ。
「夕飯、楽しみにしてますからね〜」
ばたばたとイルカが玄関に向う。
行こうとしたイルカが、くるりと振り返りカカシのところに来る。
ちゅ。
イルカがカカシに口付けた。
「え、イルカ先生・・・」
「行って来ますのキスです!」
誕生日くらいは自分でしたっていいでしょう。
それだけ言うとイルカは振り向かず、だだっと玄関を飛び出して行ってしまった。
逃げるように。
普段の行って来ますやら、お帰りなさいのキスはカカシから主にしている。
今日は誕生日ということでイルカからしてくれたのだ。
「イルカ先生ったら、ほーんとかわいいんだから」
玄関を飛び出していったイルカの顔は、どんなだっただろう。
ぜひ、見たかった。
「まあ、いいか」
ごろりとカカシは腕を枕に寝転がる。
「今度、見せてもらえば」
楽しみが増えた、とカカシは一人密かに笑う。
まずは今日の夜が楽しみだ。
二人きりでイルカの誕生日のお祝い。
期待で大いに胸が膨らんだのだった。





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