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いつでも




三月の朝。
暦の上では春といえども、まだまだ寒い。
サスケは七班の集合場所に向かって歩きながら、冷たくなった指先に息を吹きかけた。
しかし、たいして指先は温まらず両手をポケットに突っ込む。
「よ、サスケ。」
突然、後ろから肩を叩かれた。
「おはよう。これから任務か?」
「おはようございます。」
サスケは慇懃に挨拶をして、アカデミーで元教師だった人の名を言った。
「イルカ先生。」



イルカと並んで歩きながら久しぶりに話す。
「元気か?風邪なんて引いてないだろうな?」
「はい。」
「風邪引いたら、ちゃんと病院に行くんだぞ。ほっとくなよ。」
イルカ先生は相変わらず、口煩く心配性だ。
サスケは、少し懐かしく思いながらイルカを見た。
「大丈夫だぜ、イルカ先生。もう、子供じゃない。」
サスケの言葉を聞くと、一瞬、イルカは何とも言えないような顔をした。
それは、寂しいような嬉しいようなものを織り交ぜた表情だ。
色々な感情を取り混ぜたような顔。
「そうだな。」
イルカは頷きサスケの頭を一撫ですると「寒いからして行きなさい。」と自分のマフラーをサスケの首に巻き、そこで別れた。
「子供じゃない。」と言った時、何故イルカが、さっきのような顔をしたのか。
サスケは考えてみたが、結局、分からなかった。



任務中、サスケは突き刺さるような視線を感じて、何度か顔を上げる。
顔を上げた先には、必ず、今の上忍師のカカシの姿があった。
しかし、サスケの方を見ていることはない。
いつもの本を読んでいる風である。
不思議に思い、なおかつ居心地の悪さを感じながら、サスケは任務を続けた。



一度集合し上忍師のカカシから任務終了が告げられて、ようやく解散となった。
ナルトもサクラも、任務が終わるとホッとするようで、笑顔が多くなると思う。
ふと視線を感じて顔を上げると、カカシがジッとサスケを見ていた。
自分の方を。
しかし、よくよく視線の先を見ると自分ではなく首に巻いてあるマフラーを見ているようだ。
マフラー!
マフラーに何かあるのか?
そういえば、今日はカカシもマフラーをしている。
そして、あることに気がつきサスケはハッとなった。 このイルカ先生から借りたマフラーとカカシのマフラーって、色違いのお揃いじゃないか!
カカシのマフラーは鮮やかな青で、サスケのしているマフラーは焦げ茶色だ。
色が違うから、今まで気がつかなかった。
何だか嫌な予感がして、サスケは早々にカカシの前から姿を消してアカデミーへと向かった。



「サスケ!」
おそらくいるであろう、と予想をつけてアカデミーの職員室に行くとイルカが声を上げて、こちらを見た。
「どうしたんだ?!珍しいじゃないか。」
声は弾んでいる。
「さあさあさあ。」とイルカは近くから椅子を持ってきて、サスケを座らせてお茶も入れてくれる。
近くのアカデミーの職員からも「サスケじゃないか。」と声が掛かり、お菓子まで貰ってしまう。
昼間の居心地の悪さとは違う、気恥ずかしい感じの居心地の悪さがあった。
「で、どうした?悩みでも、相談しに来たのか?」
イルカが笑顔で聞いてきた。
その問いに、サスケは紙袋を差し出す。
「返しに来た。」
「いつでも、よかったのに。」
袋の中のマフラーを見てイルカは言う。
「でも、イルカ先生も寒いだろ。・・・その、ありがとうございました。」
頭を下げると、髪をワシャワシャになるほど撫でられた。
「義理堅いなあ、サスケは。」
ものすごく嬉しそうだ。
その笑顔につられて、サスケの顔にも少し笑みが浮かぶ。



イルカはサスケの笑みを見て優しげな目をした。
そして「ありがとな。」と何故か更に頭を全力で撫でてくる。
「ちょっと痛いって。イルカ先生。」
サスケが言うと、頭から手は離れた。
「悪い、ごめんな。」
イルカは照れくさそうに笑う。
「いや、あのさ。子供の笑顔って、すごい好きなんだ。」
癒されるんだよなー、と笑っている。



唐突にサスケは理解した。
自分は、まだ子供でもいい。
今朝、子供じゃないと言った時のイルカの顔。
今、自分の笑みを見て笑ったイルカの顔。
どちらも、自分を想う顔だった。
「ん?どうした?」
イルカがサスケの顔を覗き込んでくる。
「心配事か?」
「え、いや。その・・・。」
「心配事があるなら、いつでもここに来ていいんだぞ。」
イルカが、目を細めて自分を見た。
「いつでも俺は待っているからな。」



イルカに再び来る旨を告げて、サスケはアカデミーを後にした。
アカデミーの外に出ると、例の視線を感じる。
視線の主が、どこにいるか見当がつかないが。
あらぬ方向にサスケは叫んだ。
「マフラーはイルカ先生に返したからな!」
視線が、ふっと消える。
「でも、また、アカデミーにイルカ先生には会いに来るから。」
どこかで、ドサッと何かが落ちる音がした。
きっとカカシだろうと思ったサスケであった。







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