AIで普通の動画を3D動画に変換する


一撃必殺




突然、受付所に押しかけてきた、くの一をイルカはぼんやりと眺めた。
くの一は何やらイルカに対して激しい口調で捲くし立てている。
イルカは眉を顰めて考えた。
どっかで会ったことがあるような。
え〜と。
あ、そうそう。
この前、上忍控え室で紅先生と談笑していた人だ。
二人とも花のように綺麗だったから、つい見とれてしまった。
笑うと可愛かったな。




くの一が一息ついたようなのでイルカは声を出した。
「あの。笑っていた方が可愛らしいですよ。」
「え。」
不意をつかれて、くの一は一歩下がった。
「先日、紅先生と控え室で談笑されているのをお見かけしましたので。」
その様子を思い出し、イルカは仄かに笑った。
くの一はハッとしたように頬を染めた。
「も、もういいわ。」
くるりと踵を返し受付所を出て行く。
受付所に穏やかな空気が再び、流れ始め平和が戻った。
ハラハラしながら、イルカとくの一の様子を見守っていた大勢の人間はホッとしたのだった。




はたけカカシを好きだと思っていたのに。
先ほどまでイルカに食って掛かっていた、くの一は溜め息をついた。
はたけカカシの想い人に嫌がらせをしようと、あわよくば別れさせようと目論んで受付所へ行って公衆面前で罵ってやったのに。
己の行為を思い出し、くの一は赤くなった。
なんて恥ずかしいことをしたのだろう。
なのに。
あの中忍はにっこり笑って言ったのだ。
「笑っていた方が可愛らしいですよ。」



可愛らしい!



その言葉を反芻し、くの一は違う意味で再度、赤くなった。
黒髪の受付の中忍を思い出すだけで胸がドキドキする。
これって何だっけ?
久しくなかった気持ち。



そう、恋だ!



くの一はハッとした。
恋する相手の名前も知らない。




「カカシ。」
控え室で、イルカを待っていたカカシに突然、くの一が人差し指を突きつけてきた。
「あなたの想っている人の名前を教えなさい。」
この女は、ちょっと前まで交際を迫って執拗く付き纏ってきていた。
イルカに酷いことでもするつもりなのか。
「何でさ。」
カカシの声は自然と尖る。
イルカ先生に余計なことはさせないし、させるつもりもない。
「そんなの。」
突如、くの一は雰囲気を変えて、ポッと頬を染める。
「好きだからに決まってるじゃない。」
きゃっと両の手の平で顔を覆う。
「恋しちゃったの、あの黒髪の人に。」



バサリとカカシの手から愛読書が落ちた。
「だから、名前が知りたいの。文句ある?」
そりゃ、大有りだ。
絶対に教えるもんか。
カカシは本を拾うと足音荒く、上忍控え室を出て行った。




「あ、カカシ先生。」
受付所に入るとイルカがカカシに気づいて手を振ってくれた。
それだけで、もう天にも昇る気持ちだ。
いかんいかん、とカカシは頭を振る。
「イ・・・。」
「カカシ先生、さっきの女性と仲直りしましたか?」
くの一のことを聞こうとして逆に先に聞かれた。
「え?」
「さっき、受付所に来てカカシ先生のこと怒ってましたよ。」
違う、とイルカ以外の受付所にいた人間は心の中で突っ込んだが、所詮イルカには聞こえない。



「喧嘩はいけませんよ。」
イルカにニコリとされ、カカシは怯む。
いや、俺は寧ろ、あなたとさっきのくの一のことを聞きたいんだけど。
そこへタイミングよく、さっきのくの一が二人の間に乱入してきた。
「イルカさん。」
くの一はイルカの前に来て、にっこりと微笑む。
「さっきはごめんなさい。」
受付所の空気は再び、張り詰めることを余儀なくされた。







text top
top