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俺の言い分 2





ある日の夕方、イルカと買い物に出た。
二人とも揃って休みだったのだ。
忍犬たちも暇なので、ぞろぞろと付いてくる。
イルカと忍犬たちは仲がいいので一緒に買い物に行くことができて嬉しそうだった。




買い物を終えて家に帰ろうとした時イルカが、とある店の前で足を止めた。
忍犬たちもだ。
揃って店の方を見ている。
その店は焼き鳥を焼いていて、焼き鳥のタレのいい匂いがそこら中に漂っていた。
非常に食欲をそそる匂いだ。
「美味そう〜。」
イルカが言うと、忍犬たちも頷いた。
「美味そうじゃのう。」
口々に言っている。
「食べたいな〜。」
またしてもイルカの言葉に忍犬たちは頷く。
そして皆で俺を見た。
「食べたいな〜。」




食べたいな〜って、強請られてもねえ。
俺は「帰ったら晩御飯だよ。」と言ってみた。
「うーん、そうだよねえ。」
イルカは首を傾げて、甘えるように俺を見た。
「駄目だよねえ?」
一本くらい食べたいな〜と目で訴えてくるけど。
「ご飯食べれなくなっちゃうでしょ?」
それにさ、だいたい、この間お小遣いあげたばっかでしょう、と言うとイルカは肩を竦めた。
「もう、遣ちゃった。」
「え?」
「もう、ないよ。」
イルカは、けろっとして言った。




「本当に?」
「うん。」と頷きイルカは、ホントホントって財布を見せてくれたけど、本当に空だった。
本当にお小遣いを遣い切ってしまったらしい。
「あげてから、まだ十日もたってないじゃない。」
「十日もたてば、なくなるよ。」
イルカは抗議してくる。
「あんだけじゃ足りないよ。」
ついでに、お小遣いの値上げも交渉してきた。
「もっと、お小遣いの額あげてよ。」
「それは・・・。」
「いいじゃん、ねえねえねえ。」




イルカが俺に擦り寄ってきて「お願い、カカシさん。」って必殺技の笑顔を見せたりするから、俺は危うく了承するところだったけど何とか踏みとどまった。
「それより、いったい何に遣ってなくなちゃったの?」
話題を逸らすことに成功した。
「えーと、何って。」
ごにょごにょと口篭るイルカ。
目が明後日の方向を向いている。
ふと見ると、足元の忍犬たちの目も明後日の方向を向いていた。



さては、と俺は思い至ることがあった。
「イルカ、忍犬たちと一緒に買い食いしたんでしょ?」
「え?」
ビンゴだったらしく、イルカは、えへへと舌を出して笑った。
「ばれちゃった?」
「ばれるよ。そりゃあ。」
忍犬たちが、やたらイルカの買い物の時に付いていくのは、一緒に買い食いするためだったのか。



「こら、駄目でしょ。」
イルカと忍犬たちを軽く睨むと、忍犬たちは分が悪いと判断したのか「今日は、これで。」とか言って、さっと消えてしまった。
「あーあ。」
忍犬たちが消えてイルカは、がっかりしたような声を出す。
「消えちゃった。」
残念そうだ。

でも俺はイルカと二人きりになれて、ちょっと嬉しかった。
忍犬たちも大好きだけど、イルカは恋人だからね。
恋人との時間も大切にしたい。
「いいじゃないの。」
二人きりになれて上機嫌の俺はイルカの肩に手を回す。
「さ、帰ろう。」
「このままで?」
「このままで。」
そのまま、イルカと焼き鳥屋の前から歩き出す。
今までの会話でイルカは焼き鳥のことなど忘れてしまったらしい。
良かった良かった。
これで帰って、無事に晩御飯だ。
帰って、イルカと一緒に晩御飯。




隣のイルカが、急に思い出したように聞いてきた。
「ねえ、カカシさん。」
「ん、何?」
「前は、お小遣い制じゃなかったよね。どうして、お小遣い制にしたの?」
不思議そうな顔だ。
「カカシさんも、お小遣い足りなくなったりしないの?」
「足りなくなったりしないよ。」
そうなんだよね、俺も一ヶ月に遣うお金の額を決めていた。
食費とかは別にしてね。
「何でお小遣い制かっていうと、それはね。」




それはねえ、とイルカの耳に、あることを、ひそひそと囁いた。
聞いたイルカは「え・・・。本気なの?」と呟くと同時に、ぱっと赤くなる。
「本気だよ。」
そんなイルカを見て、俺は笑いを含みながらも真剣に言った。
「本気も本気、大真面目。俺達の老後のためですよ。」って。



「俺とイルカの老後のために、お金を貯めてるの。」
「初めて聞いたよ、カカシさん。」
「初めて言ったからね。」
「そーかあ。」とイルカは俺を、まじまじと見た。



「カカシさんて意外に計画的だったんだね。」
そんな的外れなことを言っているけど。
「さっき、イルカが赤くなったのは、一生一緒にいようって俺が、いつも言っていたことが真実だって分かったからでしょ?」



何度か、そういうことを言っていたんだけどイルカは、どこか信じていない風だったから。
やっと信じてくれたらしい。
「そ、そんなことないよ。」
イルカは俺が肩に回した腕から逃れて、少し離れてしまう。
「カカシさんのことは、好きだから信じているもん。」

その言葉を聞いた俺は途端に嬉しくなった。
自分でも顔が緩んで、にこにこするのが分かる。
「俺のこと、好きなんだね。」
「う・・・。」
イルカは更に真っ赤になってしまい「先に帰る。」と走り出してしまった。
「あー、待ってよ、イルカ。」
俺は、その後をのんびりと追いかける。
行く先は一緒だから慌てることはない。




俺とイルカの行きつく先は一緒の場所だ。
それだけは変わらない。


そして俺のイルカへの想いも、きっと変わることがないだろう。
イルカも、そうに違いない。


そんなことを考えて急にイルカが恋しくなった俺は、追いつくべく歩みを早めたのだった。










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