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俺の言い分





任務から帰って報告を済ますと俺が、まず最初にやることはイルカに会うことだ。
離れている間、恋しくしくて仕方がないので一刻も早く会いたい。
今回は特に長期任務で会えない時間が長かったから、急いで家に帰ることにした。
それに、心配だった。
何が心配って、イルカが無茶してないかだ。
一緒に暮らすようになって、生活習慣や食事の面で色々と正してイルカも分かってくれたけど。
でも心配なんだ。
食品の賞味期限もさっぱり気にしないし、食事もムラがあって好き嫌いも激しい。
だいたいにして朝起きて夜眠るっていう、基本ができていなかった。
まあ、それは俺と一緒に暮らしてかなり改善されて、今では割りと忍者としては普通の生活をしている。
意地っ張りは相変わらずだけど。




報告書を出してから家に向かう途中、街中でイルカを見かけた。
誰か、大きい人間と話している。
あー、あれはアスマだな。
イルカはアスマに初めて会った時は警戒していたけど、俺の知り合いだって紹介して何回か会ううちに懐いてしまった。
そこは、なんとなく癪に障るというか。
イルカは俺だけに懐いていればいいのに、という独占欲がちらほらと頭を掠める。




イルカは何事かをアスマと楽しそうに話していた。
目をキラキラさせて何かを見ている。
ん?
あれは、と俺は目を凝らした。
イルカがタバコの箱を手に持っている。
多分、あれはアスマのタバコだろうと思う。
アスマは成人しているからタバコを吸うことに問題はないけどイルカは未成年だ。
まさか、約束を破ったのか?
俺は少々、いや、かなりショックだった。
イルカは未成年なのに俺と出会う前は、時々喫煙していたらしい。
元々、吸いたくて吸っていた訳ではなく、よくよく聞いてみると、寂しさからくる喫煙だったので、今は俺がいるから寂しくないことと未成年の喫煙は体の発達に悪いことを言い含めるとイルカは、もしタバコを吸うなら成人してからにすると約束してくれたのだ。
なのに、イルカは俺との約束破ってタバコを吸おうとしているのか。
アスマもアスマだ、未成年にタバコを渡すんじゃないよ。
裏切られた悲しさと約束を破った怒りで俺はイルカに近寄り、問答無用で頭に拳骨を落とした。




「こら!イルカ!」
「痛い!誰だ!」
俺とイルカが同時に叫び、目が合った。
「あ、カカシさん。帰ってきてたの?」
一瞬、イルカは嬉しそうにしたが次には目を三角にして怒った。
「何で、いきなり殴るんだよ!」
「何でって約束破ったでしょ?」
「約束?」
イルカの頭に疑問符が浮かんだようだ。
「何も破ってないよ。」と俺の顔を見て、視線を逸らすことはない。
その様子に俺は焦ってしまう。
もしかして、俺、間違った?




「カカシさん、俺が何の約束破ったのか言ってみてよ。」
妙に強気なイルカに、怯む俺。
「えーと、タバコ吸っていなかった?」
「タバコ?」
強い視線でイルカは俺を睨んだ。
「吸ってなんかないよ。」
「でもさ、今、タバコの箱持っていたから。」
イルカの迫力に押され、たじたじになってしまう俺。




「これ?」
イルカは手にしていたタバコの箱を横いるアスマに手渡した。
「これはアスマさんので、俺はタバコの箱を見せてもらっていただけ。」
「え、そうなの?」
傍らのアスマに視線を向けると、アスマは大げさに頷いた。
「イルカの言う通りだ。」
つまりイルカは俺との約束を守ってタバコなんて吸っていなかった。
要するは俺の早とちり?




イルカは拳骨された頭を押さえて「ひどいよ、カカシさん!」と抗議してきた。
「あ、あの、ごめんね?」
俺は謝ったのだが、イルカは少し走って離れたところから、べーっと舌を出してきた。
「乱暴者!せっかく会えたのに!」
更に少し走って、こちらを振り返る。
「薄情者!会えて嬉しかったのに!」
また少し走って、俺に向かって何か言っている。
イルカは少し離れては止まってを繰り返して、俺から離れるけど本当に離れては行かない。




アスマがタバコの煙を吐き出しながら俺に言った。
「早く行ってやれよ。」
「え?」
「完全に離れようとしないのは、カカシに追いかけてきてほしいからだろ?」
「うん・・・。」
「それにな。」とアスマはタバコの箱のパッケージを見せてきた。




そこには異国風の絵柄で若い男性が描かれていた。
「これな、任務先で買ってきたタバコなんだけどよ。たまたま、タバコを吸っていたらイルカが通りかかって俺の持っていたタバコの箱に目を止めてな。」
アスマはタバコを一口吸った。
「このタバコの箱の絵の男がカカシに、どことなく似てるなーって話していたんだよ。」
そうだったのか。
「カカシが長期任務でいなくて寂しかったんだろ。」
「それは、俺だって同じだよ。」
すごく寂しかった。
「追いかけてやれよ。」
アスマが親切にアドバイスしてくれる。
もちろん、言われなくても、そうするつもりだったけど。
「そんで、謝って仲直りしろよ。菓子でも買ってあげてな。」
「わかった、ありがと。でもイルカは菓子より寿司の方が好きなんだ。」
答えながら俺は既に走り始めていた。
イルカを捕まえるために。
今夜は美味い寿司でも奢って機嫌直してもらって、夜はゆっくり二人きりで過ごすんだ。




イルカは俺が追いかけてきたのを見て、本気で逃げ始めたけど。
無駄無駄。
俺も本気を出しちゃうからね。
あっという間に追いついて、イルカは俺の腕の中に決まっている。
早とちりしてごめんね。
いきなり拳骨してごめん。 イルカのこととなると冷静ではいられないから。
そういうことで許してね、イルカ。




本当に、あっという間にイルカに追いついた俺は、がっしりと腕の中に捕まえた。
拳骨を落とした頭に、ちゅっとキスをする。
「さっきはごめんね、イルカ。」
腕の中のイルカは態と、そっぽを向いていたので顔は見えなかったけど小さな声が聞こえた。
「お帰りなさい、カカシさん。」
俺は、ぎゅっと腕に力をこめる。
「ただいま、イルカ。」
イルカは、やっと振り向いて顔を見せてくれた。
ちょっと笑って「お帰りなさい。」と言って、それから「やっと会えた。」と抱きついてくる。
その体を抱き返しながら俺は優しい気持ちで言ったのだ。
「寂しくさせてごめんね。俺も会いたかった。」



それから、ちゃんと謝って仲直りをして、お詫びに寿司を食べに行った。
夜は久しぶりに二人で、ゆっくり過ごしたのだった。










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