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懐(ふところ)



夕方、二人きりの帰り道。
イルカ先生が「寄り道していいですか?」って言うもんだから、どこに行くかと思ったら、宝くじ売り場だった。
宝くじ買うのかな?
見ていると、財布から宝くじ三枚を取り出して、「交換して下さい。」って言っている。
宝くじが当たったから、現金と交換してもらっているのか。
でも、三枚なんて中途半端な数だなあ。
現金と交換してもらったイルカ先生は、ニコニコしている。
そんなに、高額が当たったのかな?
「もしかして、一等とか当たったの?」
聞いてみると、首を振る。
「いえ、末等ですよ。」
「ふーん。」
確かに、末等でも当たると嬉しいと思うけど、この笑顔の理由は他に有りそうだ。



そういえば。
「何で、三枚なんです?宝くじ?」
宝くじと言えば、一枚から買えるけど、普通は十枚綴りで売っているはず。
「ああ、これですか?」
イルカ先生は、ちょっと照れくさそうにする。
「この宝くじ、実は貰ったものなんですよ。」
誰に貰ったのか、すごく気に掛かる。
「誰にですか?」
照れくさそうなところに、笑みも加わる。
そんなところは可愛いけど。
「えっと、クリスマスプレゼントにって、ナルトとサスケ、サクラにですよ。」
一人一枚の宝くじで、三枚なわけね。
何だか、セコイような気もするが、子供の自由になるお金って案外少ないのかもしれない。
「でも、何で今頃交換なの?」
今はもう2月だ。
クリスマスに貰っていたのならば、年末には当たりか外れか分かっていたはず。
「いやあ、だって、もったいないでしょ。」
「もったいないって?」
「外れたなら、ずっと持っていられるけど。当たったら、交換しなきゃいけないと思って。そしたら、せっかく貰った宝くじが自分の手元から、無くなってしまうから。」
「じゃ、今まで、宝くじを見て、堪能していたってことなの?」
俺の言葉に、イルカ先生は相好を崩す。
「そうです、そうです。俺のために、買ってくれた物ですから。」
そりゃ、そうだろうけど。
イルカ先生のことを喜ばす子供達に軽い嫉妬。
俺の方に、気を引きたい。
何か、いい方法はないものか・・・。





そんな時、タイミング悪く、その子供達の声がした。
「イルカ先生ー。」と、叫んで駆けてくる。
三人とも、真っ黒になっている。
任務終了して解散後、特訓でもしていたのか。
イルカ先生は、あっという間に子供達に囲まれて、和やかな雰囲気になっていた。
「元気か?」
イルカ先生が問えば、三人が三人、嬉しそうに返事している。
近況なんか話して楽しそう・・・。
昼間、会っていた俺の方なんて見向きもしてくれないのが、ちょっと悲しい。



「そうそう。クリスマスに貰った、宝くじな、当たったよ。ありがとな。」
イルカ先生は、一人ずつ、頭を撫でて「ありがとう。」を言っている。
「きゃー、すごい!」とか「やったってば!」とか「本当か?」と口々に歓声をあげる子供達。
それに応えるように、イルカ先生は胸を張る。
「ああ、だから、今日は俺の奢りで一楽行くぞ!」
子供達から、再び歓声があがった。



・・・て、ちょっと。
傍から見ていた俺は思う。
子供達に奢るって、当たったの末等でしょ?
奢っちゃったら、採算合わないんじゃないの?
すると、イルカ先生はチラリと俺を見て、顔色を読んだように言う。
「俺の懐は今、あったかいんですよ。」
確かに、お金が入ると懐があったかいって言うけどさ。




あったかいねぇ。
じゃあ、まあ。
「よし、晩飯は俺が奢ってやるからな。」
ばんばん食べなさい、と俺が言うと、子供達三人は今気づいたかのように、こちらを見た。
「あ、カカシ先生?」
「いたの?」
「何か用か?」
あのねぇ。
「さっきから、ずっといたよ。」
「そう?でも、何でカカシ先生が奢ってくれるの?」
サクラが不思議そうにしている。
傍で、ナルトとサスケも、うんうん、と頷いている。
「それはねー。」
イルカ先生にだけ、分かるように、ニヤッと笑う。
「懐のあったかいイルカ先生に、後で俺の懐を温めてもらうからさ。」




俺の発言に、クエスチョンマークを浮かべる子供達を引き連れて、意気揚々と一楽に向かう。
イルカ先生は赤くなって青くなって、を繰り返していたけどさ。
これで、当分、俺のことだけ考えているはずだ。
子供達が一緒でもね。




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