二目惚れの彼
カカシさんが朝食を食べながら、ポツリと言った。
「昨日から、ずっと考えていたんですけどね。」
「え?」
俺はトーストに林檎ジャムをつけて、口に入れるところだった。
この林檎ジャムはカカシさんの手作りですごく美味しい。
ジャムを使って、アップルパイも作ってくれる。
それも、すごく美味しい。
「何をですか?」
行儀悪かったが、口にトーストを入れてモグモグしながら聞いてしまった。
「うん、一目惚れにかかる時間の平均て、0.5秒なんだって。」
「はあ。」
トーストを食べて紅茶を飲んで、一息ついた。
あ、ちなみに紅茶はカカシさんがブレンドしてくれるカカシスペシャル。
今日は爽やかなオレンジの香りがする紅茶だ。
カカシさんはトーストにバターを塗りながら、話を続ける。
「俺、イルカ先生に、一目惚れした時、0.5秒もかかったかなあって。」
「ええ?」
「もっと、短い時間だったんじゃないかって思っているんですよね。」
イルカ先生、どう思う?って。
首を傾げて可愛く聞かれても。
それより。
「一目惚れって本当ですか?」
「うん。」
「だって、最初に会って告白されるまで、一年以上かかってるじゃないですか?」
「まあね。」
「そんで、告白されてから、一緒に住むまで更に一年ですよ。」
「そうだよね。」
俺って気が長いなあ〜、とカカシさんは自分で自分に感心していた。
俺はビックリした。
カカシさんの性格なら、もっと性急に物事を運ぶような気がして。
それを言うとカカシさんは困ったように笑った。
「いや、さ。先の道程は長いから、最初が肝心と思ってね。じっくり、準備していたんだよね。」
「そ、そうだったんですか・・・。」
俺とのこと、真剣に考えていてくれたんだなあ。
ちょっと、感動してしまった。
「ねえねえ。」
「はい?」
「あのさ、イルカ先生は俺に一目惚れしてくれたの?」
カカシさんの目が期待して輝いている。
「・・・う。」
俺は言葉に詰まる。
実は違う。
最初、会ったときは警戒心が先行してしまった。
「違うんだ・・・。」
カカシさんが悲しそうな顔をするから、思わず口から出てしまう。
「一目惚れじゃないですが、二目惚れなんですっ。」
そう、二度目に会ったときには、ハートを持っていかれていた。
今更、こんなことを言う羽目になるなんて。
恥ずかしい。
しかしカカシさんを見ると。
幸せそうにホワワーンとなっていた。
可愛いな。
まあ、いいよね。
こんなの二人の間だけのことだし。
他に誰も知らなきゃ、それでいい。
二人だけの秘密だ。
text top
top