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深爪




「いてっ。」
爪を切っていたイルカは顔を顰めた。
「切りすぎた。」
右手の親指の爪を切るのに失敗したのだ。
所謂、深爪だ。
「痛いなあ。」
イルカは、親指の先を噛んだ。
噛んだからといって何が変わるわけではないのだが、何となく痛みが薄らぐような気がしたのだ。
「仕事の時は、絆創膏でも貼ればいいか。」
特に仕事に支障はない。



「イルカ、親指がどうかしたのか?」
同僚に聞かれてイルカは慌てて口から親指を離した。
「いや、何でもない。」
深爪した親指に絆創膏を貼っていたのだが、仕事するうちに取れてしまった。
忙しいので、そのままにしておいたのだが、深爪した指はぴりぴりとするので知らず知らず噛んでしまっていたらしい。
特に書類を見ながらだと噛む確立が高い。
噛んでしまうのは、余り衛生的とはいえないよな。
それに子供みたいだし。
そう思ったイルカは「ちょっと絆創膏貼ってくる。」と同僚に断り医務室に向かった。




「もー、ドジだなあ。イルカ先生は。」
医務室でイルカはカカシに絆創膏を貼ってもらっていた。 偶然、通りかかったカカシに医務室前で会ったのだ。
最初は怪我でもしたのか、と慌てていたカカシだがイルカの話を聞くとほっとしたように笑った。
そして、イルカの親指に絆創膏を貼ってくれたのだ。
「今度、爪を切るときは俺が切ってあげますよ。」
「いえ、大丈夫ですって。」
イルカは辞退してもカカシは言う。
「いいじゃないの、照れなくても。」
嬉しそうに言う様はイルカの心の中を見抜いているようだ。
「代わりに俺の爪も切ってくれれば。」
「そ、そういう条件なら。」
イルカは知らず、カカシに乗せられていることに気がついていない。
思い通りに言ったとカカシは、密かにほくそ笑んだ。




絆創膏を貼り終わるとイルカは礼を述べて「じゃ、俺、仕事に戻りますね。」と医務室を出ようとするのをカカシは呼び止めた。
「あ、待って。忘れていることがありますよ。」
「忘れている?」
カカシはイルカの手を取り、絆創膏を貼った親指に口を寄せた。
ちゅっとキスをする。
「早く治りますように。」
真っ赤になっているイルカにウインクした。
「じゃ、仕事が終わる頃、迎えに行きますから一緒に帰りましょうね。」
「あ、は、はい。」
真っ赤になったイルカはこくこくと頷いて、足早に医務室を出て行った。
後に残るはカカシのみ。
「あー、本当に可愛い人だ。」
にやりと笑って呟いた。







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