AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


春うらら




教え子を通して知り合った上忍のカカシ先生と、よく飲みに行ったり食事をしたりと、気がつくと行動が一緒になることが多くなっていた。
カカシ先生というのは、木の葉の里の中でも忍としての実力有り、その隠れた容姿に惹かれる人間が後を立たずで、色々な方面で有名な上忍の方だ。
そんな人が何で俺に、と思うのだが、ふと気がつくと一緒にいたりする。
なんていうか、隣にいて当たり前のような雰囲気になりつつあった。
俺もカカシ先生がいると楽しいし、それにカカシ先生は爽やかな人で一緒にいると自分まで爽やかになる感じがする。
気持ちも体も、不思議と調子がいいのだ。
今、流行のマイナスイオンとかがカカシ先生から出ていたりするのかな?




そんな木の葉の里も春めいてきて、土手も桜がチラホラと咲き始めた。
そんな桜を見ながら、俺はカカシ先生と二人で土手を歩いていた。
「もう、春ですね。桜の蕾がが綻び始めていますよ。」
俺が指差す方をカカシ先生は見た。
「ん〜、あの蕾は明後日くらいに完全に開きますね。」
「へえ〜。」
「でも、この土手の桜が全部開花するのは、あと一週間は先ですから、その時まで散らないといいけどねえ。」
「じゃあ、桜は一週間先が見ごろなんですね。」
「そうです、イルカ先生。」
カカシ先生が、にこりとした。
きっとカカシ先生の予想は当たるに違いない。
カカシ先生は植物のことに、とても詳しいのだ。
桜のこともだけど、薬草なんかも、どこに何がどれくらい生えているかとかピタリと当ててみせる。
薬丸も匂いを嗅ぐだけで使われている薬草の種類が分かってしまうし、上忍て本当にすごい。
一流の忍者は違うんだな、って俺に思わせる。




「桜が咲いたら、二人でお花見にでも来ませんか?」
さり気なくカカシ先生が誘ってくれた。
「確か、ちょうど休みも重なっていたはずですよ。」
「そうでしたっけ?」
俺は首を傾げた。
何でカカシ先生が俺の休みを知っているんだろう。
「ああ、この前イルカ先生の家にお邪魔した時カレンダーに印が付いていたから。」
おかしそうにしながらカカシ先生が教えてくれた。
「つい、見ちゃったんです。」
ごめんなさい、と小さく謝られる。
「あ、いいんです。」
俺は慌てて言った。
「特に予定もないですから。」
「本当に?」
「本当に。」
こくこくと頷いて見せたが、考えてみたら俺ってカカシ先生と一緒にいなかったら何してたんだろう?
すごく、暇を持て余していただろうな〜。
「なので、誘っていただいて嬉しいです。」
「なら、よかった。」
カカシ先生が安心したように目を細める。
「約束ですよ。」
指切りをして俺たちは約束した。





一週間後、俺とカカシ先生は約束通り花見に来ていた。
お酒と酒の肴が少しあれば、それでいい。
桜を楽しむために来ているのだから。
俺たちの他にも花見をする人は何人かいて、その人たちと離れた場所に敷物を敷いて腰を下ろした。
今日は休みなので、お互いラフな服装だ。
カカシ先生はモスグリーンの服を着ていたのだが、それが妙に似合っていた。
持ってきた小さめのグラスにお酒を注いで、グラスをカチンと合わせてお酒を飲む。
「おいしい〜。」
カカシ先生が持ってきてくれたお酒は程よく冷えていて喉越しが爽快だ。
「ささ、もっと。」
素早く、カカシ先生がお酒を注いでくれる。
今日のカカシ先生は、始終笑顔で機嫌が良さそうだ。
カカシ先生の爽やかさも、いつもの倍はある。
「あ、どうも。」
注いでもらうと嬉しくなって飲んでしまう俺。
「ささ、イルカ先生。」
「あ、今度は俺が注ぎますから。」
「いいからいいから。」
カカシ先生は注ぎ上手の飲ませ上手だ。
すっかり俺は飲まされてしまった。




満開の桜と仄かに香る桜の匂いと、カカシ先生。
今日は酔いも早いような気がする。
俺は、いい気持ちで、ほろ酔い加減になっていた。
気持ちも大らかになっていたかもしれない。
「桜が綺麗ですねえ、カカシ先生。」
「そうですねえ。」
お酒を飲みながらカカシ先生は頷いた。
桜の花びらが風に吹かれて散っている。
美しい光景だ。
「桜が見れてよかった。カカシ先生が誘ってくれたからですね。」
「え?」
「なんだか、俺、カカシ先生といると楽しくて。」
「イルカ先生・・・。」
カカシ先生を見ると戸惑ったような顔があった。
そうだよな、突然こんなこと言われてたら、びっくりするよな。
酒の力で素直な気持ちが、つい出てしまった。




「あはははー。なーんちゃって。」
俺は笑って誤魔化して雰囲気を変えようとしたのだが、そんな俺の両手をカカシ先生が自分の両手で、ぎゅっと握ってきた。
力をこめて握っている。
「イルカ先生。大事なお話があります。」
「え?」
「迷っていましたが言うことにします。」
カカシ先生も、もしかして俺のように、ほろ酔い加減なのか?
でも、真剣な顔だし口調もしっかりとしている。



「イルカ先生、俺と結婚してください。」



たっぷりと五分間、俺たちは見つめあった。
しかし、目と目では通じ合えなかった。
「今、なんて?」
聞き間違いだろうと思いながら俺は問い返す。
カカシ先生は繰り返した。
「結婚してください。」
酔いすぎて幻聴でも聞こえているのだろうか?
「もう一回言ってもらえますか?」
「結婚してください。」
もしかして、意味が違うのだろうか?
血痕してください、とか。
「あの、カカシ先生。もう一度・・・。」
そんな俺にカカシ先生は痺れを切らしたようだ。




「あー、もう!イルカ先生、人間の世界では好きな相手に『結婚してください。』って言うんでしょう?」
「人間の世界?」
「その言葉を言って、相手に了承してもらうと生涯、好きな相手と一緒にいられるんですよね?」
言ってることは間違ってはいないけど、なんかおかしい。
「俺はイルカ先生が好きだから、結婚してほしいのに。だから人間になったのに!」
カカシ先生が口を尖らせた。
「どうして頷いてくれないんですか?イルカ先生も俺のこと好きでしょう?」
「・・・え?」
言われたことに余り驚かなかった。
そうか、俺、カカシ先生が・・・。
自分の気持ちに気づいて納得してしまったのだ。




だがしかし、その前に確かめたいことがあった。
「カカシ先生、さっき人間の世界って仰いましたが、どういうことですか?」
それにだ。
「人間になったって、元からカカシ先生は人間じゃないんですか?」
「あー・・・。」
カカシ先生が失敗した〜、って顔に出した。
でも握った俺の手は離さない。



「実はね〜。」とカカシ先生は、ものすごいことを告白してくれた。



「俺はですね、木の葉の森の元精霊なんです。」
「せいれい?」
「そう、森の精だったんです。」
どう突っ込めばよいのか分からず俺は黙って話を聞くことにした。
「木の葉の森って、よく木の葉の忍が任務に行く時に通ったりアカデミーで実習に来たりしますよね。」
そういえば、そうだな、当たり前すぎて考えたこともなかったけど。
「アカデミーの授業で森に来たイルカ先生を見て一目惚れです。」
精霊ってのも一目惚れとかするんだ・・・。
「でも、好きになった相手は人間。俺、悩みました。」
何を!
「好きな人の傍に行って話しをしたり触れ合ったり。それとも森の精霊のまま見守り続けるか。」
へ、へえ〜。
「好きな人の傍に行くには人間にならなければなりません。でもね、イルカ先生。」
カカシ先生が俺の目を強く見つめた。
「恋をした精霊が人間になってしまうと、二度と精霊には戻れないんです。」




それって、もしかしてさ。
俺の背中に冷や汗が流れ落ちる。
「そう、俺はもう人間として愛する人と生きるしか道はないのです。」
愛する人って俺だよね?
「本当はこのことを黙っているつもりでしたが、イルカ先生が俺といて楽しいなんて言うから。」
俺も黙っていられなくて、と頬を染めて言う様は可愛らしい。
一瞬、ほだされそうになった俺だが引っかかる部分があったので聞いた。
「どうして人間の『男』になったんですか?」
結婚するなら普通は違う性別になるのんじゃないか。
「あ、それはね。結婚ってのが、よく分からなくて好きな人と同じ姿の方がいいかなあって。」
「いつから、どうやって、人間の世界にいたんですか?」
「それはね、精霊の力でちょっとね〜、細工をね〜。」
詳しく追求しない方がいいかもしれない。




それにさ、ここまで聞いてカカシ先生を疑う気持ちが俺の中にないんだよな。
変なことを言っているけど、嘘とは思えない。
俺、カカシ先生に心を許しているんだよ、多分。
結婚はできるかどうか分からないけど、一緒にいたいって思っている。




そのことを告げるとカカシ先生は嬉しそうに笑った。
「ありがと、イルカ先生。」
ちゅっと俺の頬にカカシ先生のキスが落ちてくる。
「人間になってよかった。」
もう片方の頬にもキスが落ちた。
「イルカ先生に会えてよかった。」
最後に、唇と唇と触れた。
そして言われた。
「イルカ先生を好きになってよかった。」って。




後日、聞いたんだけど、やっぱりカカシ先生の体からはマイナスイオンみたいなものが出ているんだって。
なんでも、森の精霊としての名残だとか。
植物のことが詳しくて、よく分かるのも森の元精霊の力なんだって。
っていうことは、グリーンの服が似合うのも『森』の元精霊だからかな。
だって森の色はグリーンでしょう?ということを、いつかカカシ先生に聞いてみたい俺であった。







text top
top