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反対言葉




「あ、カカシ。」
上忍控え室で待機中の俺に後から来た紅がのんびりとした風で言った。
「大変よ〜、イルカ先生がね。」
大変なのに何でのんびりしてんの?
「イルカ先生がどうしたの?」
紅はのんびりしているし、それほど大変なことじゃないかも。
「間違って試薬を飲んじゃってね。」
音をたてて俺は立ち上がった。
「そ、それで?!」
「その試薬が自白剤を応用したものでね。」
のんびりしている場合じゃないじゃないか。
「イルカ先生は今、どこ?」
「火影様の執務室よ。」
俺は風より早く飛び出した。
紅がそんな俺を見送りながら「そんでね、すっごく面白いことになっているのよね。」と言ってるのも知らずに。
火影室は人だかりが出来ていた。
皆、中を覗いている。
俺が人を押しのけて火影室に入ると、そこにはイルカ先生と五代目をシズネ。
「イルカ先生。」
イルカ先生は口元を両手で押さえて真っ赤になっている。
試薬が変な風に作用しているのかな。
心配だ、すごく。
シズネが的確に要点だけを説明してきた。
「綱手さまが試薬を試薬と知らずにイルカさんに飲ませてしまったんです。効果は半日ほどで消えますから。体にも特に影響はありません。」
そうなのか、ほっとした。
「カカシ。お前、バッドタイミングだぞ。」
「え?」
「イルカは多分、今お前に一番会いたくないに違いないぞ。」
そういえば、さっきからイルカ先生は一言も声を発していない。
「試薬は自白剤ですよね?」
「うーん、いや。自白剤なんだが、失敗作でね。」
五代目が答えにくそうに言う。
「どういう風に失敗なんですか?」
五代目が苦笑いをして、シズネもさっと目を逸らした。
野次馬を見ると、同じく習えで目を逸らす。
ええい、じれったいな。
「イルカ先生、大丈夫?気持ち悪くない?」
イルカ先生は頭をぶんぶんと横に振っている。
言葉を必死で抑えているようだ。
まあ、自白剤だからな、自らの意思に反して何でも話してしまうのがイヤなんだろう。
でもねえ。
「大丈夫か、どうかだけ教えて?」
漸くイルカ先生の口が開いた。
「だ、大丈夫じゃないです。」
「え?」
一度口を開くとイルカ先生は堰を切ったようにペラペラと話し出した。
「どうしてもっと早く来てくれないんですか?とても会いたかったのに。俺、試薬飲んでしまって一人で心細くて寂しくて、カカシさんに一刻も早く会いたかったのに。」
「え。」
「早く会いに来てくれなかったカカシさんなんて・・・・・・嫌いです。大嫌いです。」
「ええっ。」
「こんなにカカシさんに会いたくなったの、初めてなのに。でも俺を心配して来てくれて本当に本当に嬉しいです。」
こんな熱烈なイルカ先生は初めてだ。 俺がイルカ先生の言葉にぽっーーとしていると五代目が水を差した。
「自白剤なんだがな、自白は自分の意思と反対のことを言うようになっているから。」
ってことは。
イルカ先生は俺にとても会いたくなかったってことか?
俺が嫌いってことは、大嫌いってことは。
「イルカ先生、俺のことが大好きなんですね。」
ニマニマとする顔を抑えられない。
イルカ先生は「ぎゃーっ。」と叫ぶと耳を押さえて。
「もっと言ってください。もっと聞きたいです。ああ、言いたいのに嫌いだなんて。」と叫んでいた。
これを反対にすると、もう言わないで聞きたくないってことだな。
言いたくないのに好きだなんて、って。
反対なことでも俺のことが嫌いとは言えないらしい。
「ふふふ。」と口から笑いが漏れた。
た、楽しい〜。
「もしかして、俺が来るまでイルカ先生で遊んでいました?」
五代目に聞くと苦笑い。
シズネも野次馬もさっと目を逸らした。
紅も遊んでいたクチか。
「イルカ先生で遊んでいいのは俺だけです。試薬の効果が切れるまでイルカ先生は俺の保護下に置きますから。」
そう宣言して俺はイルカ先生も手を掴み、火影の執務室を抜け出した。
あと、半日どう過ごそう。
イルカ先生は俺を睨んでいたけど。
口はしっかり閉じていた。





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