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廃墟探索




「廃墟探索〜。」
カカシは盛大に眉を潜めた。
「やですよ。面倒くさい。」
五代目に呼び出されて何事かと思えば、里外れにある古びた洋館を見てきてほしいと言う。
「そう言うな、カカシ。依頼主は報酬をたくさん出してくれるそうだし。お前の左眼で何かいないか視てほしいんだよ。」
「何かって幽霊とかでしょ。」
古い洋館は幽霊が出ると実しやかに噂されている。
カカシは付き合ってられないとばかりに肩を竦めた。
「誰か他のやつに頼んでください。俺も暇じゃないんで。」
じゃ、と踵を返して部屋を出ようとすると、五代目が切り札を出してきた。
「サポートにイルカを連れて行っていいからさ。」
カカシは足を止めて五代目の方を振り返る。
目がキランとしたように見えた。
「二人きりで?」
「二人きりで。」
「夜に行っていいんですか?」
「真夜中とかがいいねぇ。」
「んじゃ、今晩にでも行って来ましょうか?」
「それはいいねえ。」
五代目はニヤリとした。
カカシもニヤリとした。




イルカというのは、実はカカシの恋人だ。
ごく最近、あることが切っ掛けで恋人となったのだが。
その恋人は、とてつもなく怖がりで可愛い人だった。




「イルカ先生。」
カカシが受付けに行くとイルカが真面目に働いていた。
「任務依頼ですよ。」
何事かという顔のイルカの前に、ぺらりと任務書を差し出す。
「五代目からです、俺のサポート任務ですよ。」
「そうですか、カカシ先生のサポートなんて、光栄・・・。」
言いかけて、任務依頼書の内容を見て絶句する。
「えと、廃墟探索・・・ですか。あの、里の外れにある大きな洋館の?」
「はい、そうです。」 カカシはにこにこしているが、対してイルカの顔は青ざめていく。
洋館は本当に幽霊が出るという噂なのをイルカも聞いて知っていた。
「あの屋敷って、確か幽霊が出るって。」
「それを確かめに行くんですよ。」
「だ、だって、出るって。」
「その噂の真偽を確かめるのが依頼です。」 「あ、あの。」
イルカはカカシから顔を背けて小さい声で言った。
「す、すみませんがキャンセルでお願いします。」
「何で?」
カカシは面白くなって聞いた。
イルカの怖がる顔は、すごくいいかも、とか思っている。
「だ、だって行くのって・・・夜、ですよね?」
「うーん、幽霊って夜じゃないと出ないしね。」
勢いよくイルカは立ち上がった。
ガタンと音をたてて椅子が後ろに倒れる。
「俺、急に腹痛が・・・。医者に行ってきますっ。」
早口で言い切ったイルカはダッシュした。
これでもかという速さで受付け所の出口を目指したが。
「だーめ。」
出口の一歩手前でカカシに後ろを取られて、あっさり捕らえられた。
「この任務はキャンセルできません。」
「嫌です駄目ですカカシ先生。俺、本物の幽霊なんて無理ですっ。」
喚くイルカをカカシはあっさり肩に担ぎ上げた。
「夕暮れ間近ですよ、そろそろ現地に行きましょうかね〜。」
あ、その前にご飯でも食べてね、と暢気に言っている。
「二人きりで行くんでしょう?たった二人で幽霊になんて敵いませんてば。」
「もう、二人きりで行かないと意味ないでしょ。」
深夜の廃墟デートですよ、とカカシは嬉々として言い、受付けに一言断るとイルカを担いで受付け所を出て行った。
受付けに残った面々は「廃墟デートなんて絶対行きたくない。」とか「あの洋館、本当に出るらしいのになぁ。」とイルカの無事を祈りながらも冷静に仕事を再開するのだった。






結局、廃墟に行ったもののイルカは洋館の中に一歩足を踏み入れた途端、余りの怖さにか気を失なってしまった。
仕方なく、カカシはイルカを背負って一人で探索し、左目で洋館の隅々まで視たものの特に何も発見できなかった。
「ちっ。」とカカシは舌打ちし「こんなことなら家で、ホラー映画でも見ていればよかったな〜。」と、ぼやく。
家でならイルカ先生は悲鳴を上げつつ俺に抱きついてくるからね〜。
そんなことを思いながらカカシはイルカを大事に背負い直して、夜更けの洋館を後にしたのだった。







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