銀世界
朝、イルカが何故だか張り切っていた。
防寒コート、手袋、マフラーを準備している。
起きぬけのカカシは、そんなイルカをボーっと見ていた。
イルカの淹れてくれた熱いコーヒーを飲み、カカシは漸く口を開く。
「イルカ先生、何してんの?」
今日は休みでしょう?と聞く。
「ああ。つい、さっき電話で緊急任務が入ったんです。」
「任務〜?」
カカシは渋い顔した。
今日は二人で過ごすはずだったのに。
久しぶりの休日だったのに。
そんなカカシの気持ちも露知らずイルカは至極楽しげだ。
浮き浮きしている。
「何の任務なの?」
カカシは不機嫌を隠そうともしない。
任務の内容がアレなら断らせようとも思っていた。
「屋根の雪下ろしに、道路の雪掻きです。」
「ってことは除雪?」
「あ、そうですね。」
そういえば、この時期にしては珍しく昨夜は雪が降り続いていた。
雪が一晩中、降ったのならば、さぞかし積もったことだろう。
「じゃ、俺、行って来ますね。」
イルカはテキパキと防寒具を装備する。
「カカシさん、今日はお休みでしょ。ゆっくりしてて下さいね。」
朝飯は用意してありますからねー、と元気よく飛び出して行ってしまった。
雪が降って嬉しい子供のように。
そんなイルカを見送り、カカシは呟く。
「イルカ先生とゆっくりしたかったのに。」
何となく雪に負けた気分だ。
「もう、しょうがないなあ。」
朝飯、食べたら行ってみよう。
休日くらいはイルカの傍にいたいから。
任務なのに雪で楽しそうにするイルカを見たいから。
寒いけど、少しくらいは我慢して。
好きな人と一緒にいよう。
そう思い、カカシは朝食を食べ終わるとイルカと揃いのマフラーと手袋を身につけ、銀世界へと足を踏み出したのだった。
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