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「た・・・ただいま」
任務から帰ってきたカカシは玄関先で笑った。
「えへへ」みたいな子供のような。
否、子供の顔で笑顔になっている。
それも七、八歳くらいの。
身長はイルカの半分くらいで。
「あの、イルカ先生」
驚くイルカの視線から逃げるようにもじもじと体を揺すっている。
両手の人差し指だけを擦り合わせて上目遣いでイルカを見上げるカカシは子供特有の可愛さがあった。
「俺、任務先で敵の術に掛かっちゃって」
「・・・それで子供の姿に?」
「うん」
コクリと頷くカカシは丸っきり子供だ。
「術の効果は短くて、すぐに元の姿に戻れるはずだって言われて」
そして、そのまま帰されたのだ。
「すぐって、どれくらいですか」
「明朝までには戻るって言われました」
効果は長くても一晩らしい。
「そうですか」
柔らかな笑みを浮かべたイルカはカカシの頭をそっと撫でた。
「お帰りなさい、カカシさん」
撫でたカカシの頭は小さかった。



小さいながらも食事も大人のカカシと同じくらい食べて、小さいのにいつものカカシと同じように過ごしている。
「ええと、カカシさん」
イルカはワザとらしく、こほんと一つ咳をするとカカシの手から読んでいた本を取り上げた。
「子供には教育上、このような本はよくありません」
大人のカカシの愛読書である年齢制限のある読み物だ。
「えー、イルカ先生」
それくらい、いいじゃない。
「第一、外見は子供でも中味は大人なんですから」
「それでも駄目です」
きっぱりとイルカは言い切った。
「これでも俺は教育者ですから」
イルカは現役のアカデミーの先生だ。
「いくら中味は大人のカカシさんだって分かっていても」
やはり大人向けの本を子供が読んでいる姿は抵抗があるのだ。
「大人に戻ってから読んでください」
明日には戻るんですから今晩くらいは我慢してくださいね、と。
カカシの意見はあっさり却下されてしまった。



「明日の朝には元に戻るのなら」
衣服は大人用でいいですねと言われて、風呂上りのカカシはいつもと同じように大人のパジャマを着ている。
「ぶかぶかで動きにくいです」
「でも可愛いです」
イルカの微笑まれてカカシの意見はあっさり流される。
カカシを見つめるイルカの黒い眼はいつもより深く優しく見えた。
「カカシさん」
不意にイルカの手が伸びてくる。
そのまま、すっぽりとイルカの腕の中にカカシの体は納まった。
背中に回ったイルカの腕に抱き締められている。
きゅっと抱き締められる腕に力を入れられて二人の体はより密着する。
「・・・イルカ、先生」
自分から聞こえる子供の声。
子供だからなのか、子供の体になってしまったからなのか。
変な緊張感が体に走る。
傍から見れば子供が大人に抱き締められていると言う、普通の図なのに。
イルカだってアカデミーで、よく生徒の子供を抱き締めている。
カカシの緊張を知ってか知らずか、イルカは黙ってカカシを抱き締めている。
───そうだ。
カカシは思い至る。
───俺は子供の頃。
こんな風に大人に抱き締められたことがなかった。
もしかして、あったかもしれないが思い出せない。
子供はこんな風に大人に抱き締められるものなのか・・・。
何の代償も成しに無条件で庇護下に置かれる子供。
初めて味わう体験だから緊張するんだなとカカシは納得した。
この行為に愛情が含まれているからこそ抱き締められて緊張する。
抱き締めるという愛情深い、この行為。
ただただ安心感をカカシに齎した。



イルカの胸に抱き締められているカカシに微かに振動が伝わってきた。
イルカが笑っている。
声に出さず、密やかに。
「どうしたんですか」
「いえ」
小さなカカシさんがかわいくて。
「それに」
子供だからでしょうか・・・。
秘密を告白するかのようにイルカはカカシの耳元で囁いた。
「子供のカカシさんは抱き締めようと思えば、すぐにに抱き締めれるんですけど」
少し言い難そうに。
「大人のカカシさんには」
それが出来ないなあって。
「どうして?」
尋ねるとイルカがカカシの頭の上で首を傾げている。
「さあ・・・。どうしてでしょうね」
抱き締めて腕の中のカカシの頭を撫でるイルカの嬉しそうな様子が直に伝わってくる。
──ああ、そうか。
「イルカ先生!」
細く小さい子供の腕をイルカの背に回してカカシは、ぎゅうっと音が出るくらい抱き締めた。
「俺はここにいますよ!」
「え?」
「だから」
見上げると黒い眼がカカシを見下ろしてくる。
「いつでも俺を抱き締めていいんですよ」
遠慮せずに。
大人の俺に遠慮せずに。
大人同士対等であろうとする分、素直になれないのだろう。
素直になってほしい。
「だって、俺はいつでも大歓迎なんですから!」
「・・・・・・はい」
頷いたイルカの頬は色づいていて可愛くて。
何で今、俺は大人じゃないんだ!
嘆いていた。
大人ならイルカをもっとたくさんいっぱい抱き締めて。
包み込んであげられるのに。




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