デートの二人
ある晴れた秋の日。
サクラはいのと休みが久しぶりに重なったため、一緒に里中に繰り出した。
気になっていた新しく出来たお店でアクセサリーを見たり服を買ったりして女の子らしい楽しい休日を満喫する。
「ねえ、サクラ。あれ、見て。」
少し疲れたので、いのとアイスクリームを買って食べていた時だ、いのがある方向を指差した。
「ん、なあに?」
サクラは、三段に積み重ねられたトリプルアイスを落とさすように、いのの指差す方向を見た。
そこには目を引く男性二人。
サクラといののアカデミーの元先生と、サクラの上忍師をしている現先生がいた。
「ねえ、あれさあ。」
意味深にいのが言う内容がサクラには、ぴんときた。
視線の先の二人は手を繋いでいる。
成人している男性二人が指を絡ませて、楽しげにしているのだ。
「見てないふりをした方がいいかな?」
いのが、ひそっとサクラに囁いてくる。
「えー、そうねえ。面倒だから知らないふりをした方が良さそうね。」
サクラもいのも元先生と現先生の、特殊な間柄を薄っすらと察していたので、二人のことを視界から強制的に消すことにした。
にも関わらず、元先生の方が二人に気がついてしまった。
「サクラ!いの!」
嬉しそうに近づいてきた。
繋いだ手は、そのままに。
繋がれたまま、引っ張られてきた後ろの現先生は、非常に面白くないと言った表情をしていた。
大人気なく。
なのに、それには気がつかないのか、元先生は「久しぶりだなあ。」なんて言って、サクラといのの頭を優しげな仕草で撫でる。
後ろの現先生の眉がぴくりと跳ね上がった。
非常に、嫉妬深いところもあるのだ。
渋々、サクラといのは挨拶をした。
「イルカ先生、こんにちは。」
「お久しぶりです。」
それを聞くと元先生のイルカは、にっこりと笑った。
「元気そうだな。」
「はい。」とサクラは頷いてから後ろで仏頂面をしている現先生にも挨拶をした。
「・・・こんにちは、カカシ先生。」
「どーも。」
現先生のカカシは愛想がない。
「あの、えーと。」
話題をどこに持っていたやら、と思ったサクラは、無難に聞いた。
「先生たちは、今日はお休みですか?」
「ああ、そうだよ。」
イルカは、そう答えてからサクラといのの視線が注がれている部分へ、目をやると真っ赤になった。
それはカカシと繋いでいる手である。
イルカは、今更なのにカカシの手を振り解いて、繕った笑みを見せた。
「や、休みだから買い物に来たんだよ。そしたら、カ、カカシ先生とは、偶然、そこで会って、それで、それだけで・・・。」
しどろもどろで言い訳している。
サクラといのは、なんだかイルカが可哀想になってきた。
言い訳しているイルカの後ろでカカシは涼しい顔をしているし、寧ろ、嬉しそうだ。
「だ、だから、これは、べ、別にデ、デートとかじゃなくてだな・・・。」
頭倒、イルカは自ら墓穴を掘ってしまう。
あーあ、言っちゃったわ・・・。
サクラは内心、イルカに同情てしまう。
イルカ先生、カカシ先生の策略に嵌っているわ、と。
だってねえ。
サクラはカカシとイルカが着ている服を、ちらりと見た。
色違いだけど明らかにペアルック着ているじゃないの。
これでは、誰が見てもカカシとイルカが徒ならぬ関係だと言っているようなものである。
きっとカカシの口車に乗せられて、イルカは着てきてしまったに違いない。
言い訳を続けるイルカの後ろから、カカシがとんとんとイルカの肩を叩いた。
「もう行きましょう。ほら、映画が始まっちゃいますよ。」
ぴらり、と映画の指定席券を見せる。
「ね?」
「あ、そ、そうですね。」
「サクラたちにだって予定があるんですから。」
そう言ってカカシは「な?」とサクラたちの方を見たのだが、その目にははっきりと「邪魔するなよ?」と書かれていた。
「さあさあ、行きましょう。」
結局、イルカはカカシの手を引かれて行ってしまった。
最初に見た時のように、指を絡めて手を繋ぎながら。
「すごいわねー。」
カカシとイルカを見送ったいのが、感想を述べた。
そして融けてきたアイスを、ぺろりと舐める。
「恋する男って強いわ〜。」とカカシの行動力に感心していた。
「そうね。」とサクラも相槌を打つ。
「あの映画の券、指定席ならイルカ先生が絶対断らないと思って買ったのよね。」
「キャンセルしたら、もったいないとか言いそうだもんね。」
サクラといのは、きゃーきゃーと言いながらアイスを食べて恋の話に花を咲かす。
「でもさ。」
アイスを食べ終わったいのが、うっとりとして言う。
「好きな人と、あーやってデートするのっていいわよね。」
「そうだよね。なんだかんだ言って、カカシ先生もイルカ先生も幸せそうだし。」
いつかは好きな人とデートしてみたい。
秋晴れの空を見上げながら、女の子たちは、そう思ったのだった。
text top
top