べリーショート
「あーあ、こんなになっちゃって。」
カカシさんが悲しそうな声を出して俺の頭を撫でた。
いや、正確には髪の毛になるかな。
さっきから、同じこと何回も繰り返している。
「だって、しょうがないじゃないですか。」
何回も言われて俺は困ってしまった。
「任務の都合で髪を切らなけりゃいけなかったんですから。」
そう今の俺の髪の毛は、すごく短くなっていた。
項も耳も丸見えで頭も軽い。
俺は自分でも頭、いや髪の毛を触ってみた。
感触は、やはり短く手櫛も必要ないほどだ。
「そんなに似合いませんか?」
俺はシャンプーは直ぐ済むし、朝に髪を結う必要がないので楽だから、このままでいいかと思っていたのだが、カカシさんが、そんなに言うならまた元の髪型に戻そうかな。
俺が言うと途端にカカシさんは、てれっとした顔になった。
「いや〜、その髪型も似合いますよ〜。」
嬉しそうに、にやっとする。
「髪が短くなったから、項から耳までラインがよく見えて、なんとも秀逸ですよ。」
・・・・・・なんだ、そりゃ。
何故か、写輪眼までぐるぐる回っていた。
「何してるんですか?」
カカシさんの耳を軽く引っ張ても止める気配はない。
それどころか写輪眼は、いっそう高速回転し始めた。
「これは恋人の、いつもと違う姿を残しておきたいという純情かつ複雑、故の男心ってものですよ。メモリアル的なアレですよ。」
カカシさんは訳の分からない理屈を捻り出している。
「だから己の欲求に逆らえないんです。」
自然の摂理ですから、と堂々と胸を張っている。
も〜、しょうがない人だなあ。
俺は少し呆れて、でも、そんなカカシさんが可愛く見えてしまう。
恋は盲目、まさに、その通りだ。
とにかく、早く髪が伸びるように祈ろう。
「あ、そうだ。」
最後にカカシさんが余計な一言を付け加えてくれた。
「髪が短いとイルカ先生、若く見えますね!」
カカシさんに、にこりと笑ってそう言われ俺も、にこりと笑って返事をする。
「俺は、まだ若いんです!」
そういうことにしておいた。
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