AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する


雨の日



里に戻ってきてイルカ先生という人と知り合いになったが、里の外で会うことはなかった。
いつも里の中で会っていて会えば、にこやかに挨拶をしていくる。
人懐こい感じで、当たり障りのない感じ。
まあ、アカデミーの教師をしているので当たり前か。
大勢の子供を相手にするんだから、自分の感情をコントロールをするのに長けているのだろう。
子供相手にいちいち怒ってもいられないし。
それに忍者たるもの、感情は隠すもの。
・・・と思っていたのだが。



雨が、ざあざあ降りのある日、里の外でイルカ先生に出会った。
どうやら俺と同じく、任務帰りらしい。
俺は雨具を装着したので体は濡れていない。
対してイルカ先生は、ずぶ濡れだった。
雨具の準備をしていなかったらしい。
濡れネズミのイルカ先生は俺を見止めると律儀に挨拶をしてきた。
こんな、土砂降りの雨の中でだ。
大きい雨粒がイルカ先生の体に容赦なく、当たっている。
体は、さぞかし冷たくなっているだろう。
現に顔色が悪くて、唇も色がない。
いつもの元気なイルカ先生とはいい難い。
俺は、そんなイルカ先生を眺めながら、ぼんやりと思った。
こんな人でも任務に出るのだなあ、と。
アカデミーの教師は任務なんて出ないと漠然と思っていたのだ。



「それでは失礼致します」
イルカ先生は雨を物ともせずに俺に頭を下げて去ろうとする。
その手を反射的に掴んだ。
ぞっとするほど冷たい。
「お待ちなさいよ」
イルカ先生は振り返った。
「俺んち近いし、寄ってったら?風呂に入って体をあっためなさいよ」
着替えも貸すから、と告げるとイルカ先生は少しだけ眉を眉間に寄せて言った。



「俺、人の物を使うの嫌いなんです。ましてや、他人の服なんて着たくない」
きっぱりと言われた。
意外・・・。
それが俺がイルカ先生に、多大なる興味を持った切っ掛けであった。


また雨の日



text top
top