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当たり年



「あ!」
家の中で、ある物を見つけたイルカは声を上げた。
「こんなところにこんなものが」
被っていた埃を手で払いながらの茶箪笥の上の隅にあった物をまじまじと見つめる。
「すっかり忘れていたなあ」
それは昨年の暮れに買った宝くじであった。
連番で十枚、暮れの雰囲気に押されて勢いで買ったものだった。
「これ」
イルカは宝くじを手にとって眺めてみた。
「当たっているのかな?」
当選の日にちは過ぎている。
「えーと、なになに」
宝くじの裏の注意事項を読んでみた。
「当選発表から一年間、引き換え有効」
ほっと一安心する。
「まだ、大丈夫なんだ。当たっていたら引き換えできるんだな」
もちろん、現金とである。
「とってもなあ」
イルカは肩を竦めた。
「当たったことないけどな」
まあ、そのうち当選番号を確認すればいいか、とその場はそれで済ましてしまった。



後日。
職場の宝くじ通に当選番号を教えてもらったイルカは家に帰ると早速、宝くじの番号と見比べてみた。
まずは一番低い等の番号からだ。
宝くじ通によると一等から見ていくのが『つう』らしいのだがイルカは当たるとは思っていないので普通に低い等から順番に調べていった。
「まずは11、39、73はなし」
当たっていない。
次のを見てみる。
「119、515、823もなし」
全然、当たらない。
「次の番号は1227、1230もなし」
イルカの買った宝くじは当たらなそうである。
とうとう、最後の番号になってしまった。
つまり一等だ。
「最後の番号は・・・」
ちょっとどきどきしてしまう。
「14106」
十枚ある宝くじを順番に見ていくと一枚の宝くじの番号で目が止まった。
イルカは見間違いかと思って目を擦ってみる。
ついでに頬も抓ってみた。
それから、もう一度、番号を見た。
「14106」
確かに、そう書いてある。
「まさか・・・」
まさかまさかと何回も呟いては宝くじを見てしまう。
「当たっている、本当に・・・」
イルカの宝くじは本人の予想を外れて大当たりしていた。



「すごい・・・」
宝くじを見て、ごくりと唾を飲み込む。
「夢じゃないよな?」
宝くじが当たるなんて夢のような話だ。
低い等以外でという話だが。
「もしかして幻でも見ているのかな」 自信がなくなってくる。
「起きたら全部、夢の話でこれは現実じゃないとか」
判断が難しくなってきたところへ、タイミングよく同居している人の声がした。
玄関先で「ただいま〜」と言う声がしたのでイルカは慌てて出迎えに行った。
「カカシさん、お帰りなさい」と。



帰って来たカカシはイルカの話を聞くと珍しそうに宝くじを見つめた。
そして喜んでくれた。
「すごいじゃないですか!当たるなんて」
「ですよねー。俺も、まだ信じられなくて」
イルカは嬉しいというよりも驚きの気持ちが勝っていて、何だか呆然としている状態だ。
「宝くじって本当に当たるんですねえ」なんて言っている。
「ほんとにびっくりですよ」
イルカは言って、やっと笑った。
「宝くじが当たるなんてついていますね。今年は当たり年かな」
「当たり年?」
イルカの言葉に疑問を感じてカカシが質問するとイルカは、にこやかな顔になる。
「だって今年になってから好きな人に想いが通じたりと良いこと尽くめですから」
「まあ、そう言われると。俺だってねえ」
カカシが照れたように頭をかく。
「好きな人と、こうやって一緒にいられるようになるなんて思いもよらずって感じですよ」
「俺もです」
仄かにイルカは赤くなって俯いた。



その光景を好ましく思い、ちょっとだけ邪まなことを考えていたカカシだったが、そのカカシの考えを察したのかイルカは「そうそう」と宝くじの当選番号と一緒に書いてもらった当選金額を見て目を瞠った。
「4、40000両!」
ちょっとした金額だった。
イルカの買った宝くじは木の葉の里だけでやっている地方版の当選金額の小さい宝くじだったが、それでも当たった金額はイルカにとっては大きかった。
だが・・・。
イルカは、その金額を見て顔を顰めた。
「4って数が悪くありませんか?」
職業柄、どうしても縁起担ぎしてしまう。
4とは縁起が良くない数字だった。
「え〜、そうですか〜」
カカシは、のんびりと言う。
「4は幸せの『し』です〜よ」
「幸せ?」
顔を上げたイルカの隙を突いて、ちゅっと口付ける。
唇と唇が重なって離れた。
既にイルカの顔は真っ赤になっていた。
「イルカ先生、大好き!」
にっこりと笑ってカカシが言うとイルカからも「俺も好きです、カカシさんのこと」と小さい声が返ってくる。
照れながらもイルカはカカシに愛を伝えてくれるのだ。
「さ、じゃあ、夕飯にしましょうか」
帰りがけに買ってきた荷物をカカシは食卓の上に並べ始める。
今日は特別な日だから色々と奮発して買ってきた。



「お寿司にケーキ、お酒でしょ。たくさん買ってきましたよ。食べたいって言っていた一楽のラーメンは明日にでも食べに行きましょう」
食卓の上には、ずらりとご馳走が並んだ。
「わ、すごーい!」
イルカは宝くじが当たった時より嬉しそうな顔になる。
「イルカ先生、プレゼントは特にいらないって言うから、せめて豪勢にしてみました」というカカシの言だ。
「ありがとう、カカシさん」
にこにことイルカは笑っている。
とっても満ち足りた感じで幸せそうに。
「今年は宝くじが当たって誕生日は豪華で、それに」
イルカは傍にいたカカシに抱きついた。
「好きな人に好きと言ってもらえて良いこと尽くめの年です」
「それは良かったです」
抱きついてきたイルカはカカシは優しく抱き締め返して耳元で、そっと囁いた。
「ハッピーバースデー、イルカ先生!」
心からのカカシの言葉にイルカは満面の笑みで頷いたのだった。





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